2024.11.06 18:00
2024.11.06 18:00
ファン目線で聴けるメンバーがいることがバンドのパワーになってる
──バンバさん、さなえさんは今この3人でバンドをやっている意味はどんなところにあると思っていますか?
さなえ 私はバンド組むまではエレクトーンをやっていたんです。ヤマハのエレクトーンのデモンストレーターという仕事をやっていて、ずっとひとりで音楽をやっていたので、自分以外の人と一緒に音楽をやるっていうのは、自分にとっては新しい経験だから面白そうやなって思ったのが最初だったんです。で、やったらバンドの良さにも気付けたし、ひとりでやってた時の楽しさも改めて感じることができたので。音楽の視野が広がったなって思います。
バンバ あとはやっぱりライブじゃないですか。気持ちいいんですよ。そこに快楽がありますね。グルーヴがバチバチに出てるほど完璧かって言われたらまだまだなのかもしれないけど、でも一体感を感じるのが気持ちいいなって思います。最初の方と比べたらレコーディングにかけてる時間とかも圧倒的に短くなってるし、そのライブ感は楽曲にも入ってるのかもしれない。
──特にこの「アイノリユニオン」に関しては、もちろんタイアップっていうのもあって、他者との交わりみたいなものがより重要というか、前提だったわけじゃないですか。そういう状況も含めて、よりバンド感や開けた感じが出やすいという状況だったのかなって思います。
音山 ああ、確かに。あとはライブで演奏してみてまた気付くこともあるかなって思いますね。
──pachaeの音楽は、基本的に音山さんが中心になって作っていると思うんですけど、レコーディングの現場ではどういうコミュニケーションの中でやっているんですか?
バンバ でも、意外と仕切る感じでもなくて、なんか作って満足しているところもあるのかなって思いますけどね。
さなえ 別にロジカルに説明する感じでもないですし。もらったデモを聴いて……私はそのデモを聴いた感想をわーって伝えます。
──感想って、たとえば「アイノリユニオン」だったらどんなことを伝えたんですか?
さなえ この曲はイントロからすごいワクワクするような展開だったので、最初から最後までほんまにこと細かく、全部感想を言った記憶があります。「このイントロのフレーズ、めちゃくちゃ面白そうだから早く聴きたい」とか「Aメロは〜」とか。長文になりがちです(笑)。
──じゃあ、曲ができるたびに長文感想を送ってるんですね。
音山 そうですね。おじさん構文くらい文字入ってる(笑)。
──メンバーにそこまで言ってもらえるのは気持ちいいんじゃないですか?
音山 いや、気持ちいいと思っちゃうと、それを求めて作っちゃうんで。まあ「ありがとう」って気持ちではいますけどね。でもそこに関しては彼女が変わってると思うんです。アーティストでこのテンション感っていうのは、それが個性なんで。本人は気づいてないでしょうけど、ある種のファン的な立場で曲を聴いている人がメンバーにいるっていうのは……僕はファン目線で聴けない性格になっちゃってるんで、そういう目線で見てくれる人がいるっていうのは大事ですね。
さなえ まあ、素直に伝えてるだけなんですけどね。自分も弾くっていうのはすごい考えてるから「難しそうやな」っていうのも感じるけど、やっぱり曲を送ってきてくれたことに対して全力で……。
音山 だって、普段からpachaeの曲聴いたりしてるもんな?
さなえ 全然聴きます。楽しんで聴くっていうよりは、ライブに向けて集中して聴くって感じですけど。ドライブで聴くとかっていう感じじゃないです。
バンバ 車で流してなかった?
音山 プレイリストに入れてるんちゃうかなって(笑)。
さなえ あ、でもセットリスト順に曲をまとめて、練習とは別に聴くというのはあります。
──だから、ファンがやってる「予習」でしょ?
音山 予習と復習ね。練習じゃなく聴いてるのは確かにさなえならではですね。
バンバ だから僕は逆にファンすぎないようにしてます。たとえば、じゃあ音山がもう歌えないです、じゃあ、僕らで新しいアレンジでやらないとあかんとかってなったときに、同じ曲を聴きすぎてたらもうそこで終了しちゃうから。音源はあまり聴かへん。
音山 世の中のバンドマンはだいたいそうやと思うんですよ。だからさなえみたいなメンバーをひとり入れればいい(笑)。それがバンドに対してのパワーにはなると思うんで。
──そうやって第三者的な目線で曲を受け取ってくれる人が身近にいるというのは曲を作る上でのメリットにもなってるんじゃないですか?
音山 そうですね。俺、マジ自分のこと好きすぎて、否定されてもまったく落ち込まないんです。作った段階で「超いいに決まってる」って思ってるんで。もし「微妙」って言われても「微妙やったか」って受け止めれるんですよ。俺の中では超最高なだけなんで。だから、「いつもと同じように超最高やったか」っていうのを聞けるっていう環境がさなえによって成り立ってますよね。そこで俺が自分のことが好きでいないと、逆にその意見に頼っちゃう。その子が「今回微妙」って言ったら、曲が作れなくなるんで。
──ああ、なるほど。
音山 だから、「やんな?」っていう。最高の体で聴かせて、絵文字いっぱいの「最高」ってメッセージをもらって、「イケてるやろ」って。