2024.08.06 18:00
2024.08.06 18:00
『MOTHER マザー』で衝撃のデビューを飾ってから4年。今や映画界になくてはならない存在へと成長した奥平大兼が、8月2日(金)から公開中の映画『赤羽骨子のボディガード』でまた新たな魅力を開花させた。
「懸賞金をかけられたヒロインを、クラスメイト全員がボディガードとしてバレずに守る!」という荒唐無稽な設定が話題を呼び、瞬く間に人気を博した同名コミックを映画化した本作で、奥平はクラスの司令塔・染島澄彦を演じている。
これまでのフィルモグラフィーとはまた毛色の違うエンターテインメント作品だが、唯一無二の存在感は健在。弱冠20歳の才能が、スクリーンに旋風を巻き起こす。
今までの感じでやると浮くと思った
──奥平さんはこれまでどちらかというと社会性の高いシリアスな作品での印象が強くて。今回みたいなエンタメ色の強い作品というのはちょっと意外な感じがしました。
僕も意外でした(笑)。去年、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』というドラマに出演させてもらって。ちゃんと制服を着る役自体、今まであったんですけど、同世代と比べると少ないほうだったんですね。でも、制服を着てお芝居するなんて今しかできないことじゃないですか。だから楽しむべきだなって、『最高の教師』をやって勉強になって。今までとはちょっと色の違うお芝居にチャレンジしてみるのもありなんじゃないかって、自分の中で漠然と考えていたんです。
そんなときにこの作品のオファーをいただいて、僕の中ではちょうどいいタイミングだったんですよね。だから、僕でいいのであればとチャレンジさせてもらいました。
──本作で、奥平さんはクラス最強の司令塔・染島澄彦を演じます。
まず台本を読んで、それから原作を読んだんですけど、今回映画化されているのは原作でもわりと序盤のエピソードなんです。原作ではその後もいろいろと物語が進んでいて。だから今回澄彦を演じるにあたって、どれくらい原作を意識するかは結構難しかったです。
──そのさじ加減はどのように決めていかれたのでしょう。
原作の澄彦はわりと明るいキャラクターなんですよ。でも映画では明るいところはほとんど見せていなくて。主人公の荒邦と関わっていく中で、どう澄彦が変わっていくかが、映画の重要なポイント。澄彦が明るすぎると、荒邦を徐々に認めて心を開いていく流れが見えにくいなと思ったんですね。だから、映画の澄彦に関しては原作よりも冷静で、ちょっと淡々としているところを強めに打ち出していきました。
──今までも寡黙な役を演じる機会はあったかと思いますが、こうしたエンタメ色の強い作品だと、またちょっと佇まいも変わるのでしょうか。
最初の顔合わせで、(威吹荒邦役の)ラウールくんと(赤羽骨子役の)出口(夏希)さんと(棘屋寧役の)髙橋(ひかる)さんの4人で台本読みをしたんですけど、僕だけ芝居のトーンが違いすぎて、これは今までやってきた感じでやると浮くなと思いました(笑)。ただ、僕までエンタメ色が強すぎると、司令塔としての説得力がないなとも思ったんですよね。なので、エンタメ要素として笑える場面でちょっとニコッとするところはありつつ、でも基本的にはあんまり周りには流されず、その場にいるようにしました。
──ハイテンションなキャラクターが多かっただけに、自分もちょっとはっちゃけてみたいなという気持ちになりませんでしたか。
それはありましたね。みんながわーっと盛り上がっているシーンなんかは、僕も混ざってわちゃわちゃしたいなって、ちょっと羨ましくなりました。でもそこは周りを見るという澄彦なりの面白さを貫いて。原作ではみんなと絡む澄彦も描かれているので、もし続編があれば、そういう澄彦も見せたいですね。
──本作は、比較的同世代の共演者が多い現場でしたね。
同世代の子も多かったんですけど、年上の方も多くて。(海代朱雀役の)芝(大輔)さんは40歳。自分の2倍の年齢の方とクラスメイトをやれるのはなかなかない機会だなと思いました(笑)。現場でも若い子たちがキャピキャピしているところに、年上の方々がわりと合わせてくれた印象があって。おかげですごい年上でも全然ためらいなく話せましたし、年長組の方が面白い方ばっかりで、撮影の合間はUNOとかジェンガをやって遊んでいました。
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