2024.03.27 19:00
photo:ATSUKI IWASA
2024.03.27 19:00
UA(Vo)、浅井健一(Gt,Vo)、TOKIE(Ba)、椎野恭一(Dr)によるAJICOがEP『ラヴの元型』をリリースした。サウンドプロデュースに鈴木正人、荒木正比呂を迎えて約3年の沈黙を経て再び動き出した最新のAJICOは、なぜここまでグルーヴィーでブライトネスなサウンドになったのか? 彼らは現在「TOUR 2024『アジコの元型』」を展開中だが、BezzyではEPリリースとツアー初日の直前のタイミングでUAと浅井に話を聞いた。
二人が大いに語る、前回のツアーの回想から最新EPの制作風景、キャリアにおけるそれぞれの変化、そしてツアーのビジョンまで。今やUA、ベンジー、AJICOファンにはお馴染みの独特な掛け合いも込みで示唆に富む発言の数々を楽しんでもらいたい。
ちゃんと令和のAJICOになった
──ちょうど昨日(※この取材の前日)、お二人が3月限定で木曜ナビゲーターを務めるJ-WAVE『THE KINGS PLACE』が始まりましたが相変わらずめちゃめちゃ面白くて。3年ぶりの復活ですが、前回の「噛み合わないまま噛み合ってる」感じにUAさんの“スルー力”が一層加味されて、いよいよ夫婦漫才の域に達しているというか……。
UA 夫婦漫才感はちょっとヤバいですね(苦笑)。多分浅井さんが慣れたんじゃないですか? 私にスルーされることに。
浅井 俺のギャグが高尚過ぎるもんだから、UAが面白さに気付いてくれないんだわ。
──新作のお話をうかがう前に、そもそもお二人は前回のツアーをどう感じていたのでしょうか。
浅井 俺から話すと、楽しかったんだけど、今思うと自分のギタープレイが青かったなって。ほかのみんなはすごい域まで達していたんだけど。今よりもちょっと未熟な部分があって。だから、今ちょうど今度のツアーに向けて練習しているんだけど、もう前のライブはあまり自分の頭の中になくて、 これから始まるツアーのことしか考えていないですね。だから次のツアーが今すごく楽しみです。
──AJICOにおける浅井さんには、UAというボーカリストの横でプレイするギタリストとしての楽しさもあると思いますが。
浅井 そうそう。しかも(鈴木)正人くんがキーボードでコードを弾いてくれるおかげで、俺は結構自由に弾ける。ただ、それに気付いたのが前回のツアーの最後の方だった。だから今回は最初からそこに徹せられる楽しみもあるし、思いっ切りやるつもりだよ。アンプも新しいのに替えたし。
──おお。何に替えられたんですか?
浅井 34年ぐらい使ってたマーシャルからベースマンに。マーシャルもいいんだけど、UAが耳栓しなきゃいけないくらいのボリュームにしないといい音が出ないから。ベースマンは音量ちっちゃくてもいい音出そう。そこも研究したいね。
UA 私は前回のツアーの音源をあれから全く聴いていなかったんだけど、今回、EPにDVDが付属することになって。当初、スタッフからは「5、6曲収録しようか」と提案されていたんだけど、どうも抜き出して選ぶという行為に至れない自分がいて。結局、何も聴かないまま、「全部でよくない?」と提案して、それを通してもらえたんで嬉しかったんですが、最近の自分の心の在り方として、なんか振り返る気がしないというか、反芻するイコール心が動いていない感じがしちゃって。ちょっと子供っぽいかもしれないんだけど。
──それは以前の心の在り方は違った、ということですか?
UA そうですね。それこそ前回のツアーやる時は、20年前のAJICOの音源も曲によっては聴いたんですよ。やっぱりあの頃の自分たちは年齢も含めてAJICOという現象のパワーみたいなものがあったんだけど、それはもう出来ないというか、良い意味でも悪い意味でもなく、単に事実として「こうはならないな」っていうのはすぐに思ったから。「どうなるのかな」と思いながらも毎回本当に本気で取り組みましたね。私は普段、どちらかと言えばコーラスやハーモニーを入れたがる方なんだけど、粒で聴こえる感じのAJICOのロックに正人くんが鍵盤で参加してくれたことで、コーラスやハーモニーにも似た華やかなメリハリが付いて、ちゃんと令和のAJICOになったし。自分でもとても歌い易かったですね。
──浅井さん、何か話の途中で笑っていらっしゃいましたが。
UA 私の話が長くなると笑い出すの。「頑張ってるな」みたいに(笑)。で、多分、ほとんど聞いていない。
浅井 聞いとるよ、ちゃんと。一生懸命だなあと思って(笑)。
UA 失礼な(笑)。まあ、カナダで暮らしているとだいたい英語だし、日本に帰ってきたばかりなので日本語でいっぱい喋れるのはちょっと楽しい。
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