2024.03.13 18:00
2024.03.13 18:00
日本・フィリピン・シンガポール合作映画『ブルーイマジン』が3月16日に新宿K’s cinema他にて順次公開を迎える。性暴力やDV、ハラスメント被害者のトラウマに寄り添い、救済するためのシェアハウスを舞台に、女性たちが力を合わせ、立ち上がる姿を描く。
主人公は俳優志望の斉藤乃愛。かつて映画監督から受けた性暴力の被害を誰にも話せずにいたが、「ブルーイマジン」入居を機にシェアハウスの仲間と連帯し、決起する。
演じる山口まゆは14歳でドラマに初出演し、これまで演じた数々の役柄でその演技力の高さが話題となった実力派。昨年には日本大学芸術学部を卒業し、これから俳優としてさらに飛躍する23歳の彼女が抱く“信念”とは。
フィクションすぎないリアルを描けたら
──本作『ブルーイマジン』への出演が決まったときの気持ちはいかがでしたか。
題材が繊細なお話だったので、脚本を読んだ感想は、こういうことが自分のいる業界で起きていると考えるとちょっと怖いなと思いました。でもすごく前を向いてる作品だったので、事実を丁寧に伝えていかなくてはいけないなと思いました。
──繊細な事情を抱えた乃愛という役に対して、山口さんご自身はどのように寄り添おうと思いましたか?
乃愛は過去に性被害を受けて苦しんでいるので、準備をしていく中で性被害について調べて、たくさん考えました。でも心の奥底にある痛みや苦しみをどれだけ考えてもなかなか理解しきれなくて。理解しようとしてもわからないところもありました。だからこそ嘘つかずに、丁寧に寄り添いながら、フィクションすぎないようなリアルな気持ちを描けたらいいなと思って、役作りをしました。
──松林監督とも現場で話し合いを重ねながら撮影を進めていったんでしょうか。
松林さんは「山口さんの考える乃愛でやってほしい」とおっしゃってくれたので、私が脚本を読んで気になった作品の流れ、乃愛の感情の流れと松林さんの思い描く乃愛をすり合わせながら一緒に作り上げていきました。
──シリアスなシーンも多い作品ですが、同年代の共演者の方がたくさんいらっしゃった中で、カメラが回っていないときの雰囲気はいかがでしたか。
みんな真面目というか、それぞれが悩みながらやっていた感じはありました(笑)。
──仲良かったけれど、現場では和気あいあいというよりは真剣に考えながら過ごしてたっていう感じでしょうか。
そっちの方が多かったかもしれないですね。
──山口さんご自身の話も聞かせてください。斉藤乃愛は抱えた悔しさから行動を起こす主人公でしたが、これまでを振り返って山口さんが悔しかったという経験はありますか?
コロナ禍だったので、成人式がなかったんですよ。私の年代がちょうど真っ只中で。大学生時代と20代前半がコロナに左右されてしまったので、それはちょっと悔しかったですね。
──劇中ではお兄さんに相談されていますが、山口さんご自身は悔しいこととか辛いことがあったときはどなたにご相談しますか?
最近だと会社(事務所)の人が多いですかね? うちの会社は人数がかなり少なくて、一人一人真摯に向き合ってくれるので、会社に行きますかね。
──なかなか「うちの会社」って言わないですよね(笑)。よく話されてるのが伝わってきます。山口さんご自身は長女ですが、妹さんからご相談されることもあったりも?
妹からはあんまないですかね……妹の方が大人なんですよね、達観してるっていうか(笑)。すごく大人びてますね。
──山口さんもすごく大人っぽいイメージがありました。しっかりされてるというか。
大人を目指してはいるんですけど、自分自身はまだまだ子供だなとは思います。キャピキャピが苦手なので、同年代と比べるとかもしれないです(笑)。
──今回の作品では「連帯」することで世の中を変えようとする登場人物たちが描かれています。山口さんは何かを「変えたい!」って思ったとき、リーダーに立てるタイプですか。それともリーダーを支えるタイプ?
今まで“連帯して戦う”っていうことがなくて。だから戦うとしたら、一人で戦うことが多かったかもしれないです。
──「乗り越えた」みたいなことも近いと思いますが、日々一人で何かを乗り越えているみたいな感覚?
よく反省してますね(笑)。日常でこれダメだったなとか。自分で日々課題を課して生きてるかもしれないです。毎日いろんなことを“改善しよう”っていう気はありますね。でも実際すごく大きいものを乗り越えた、という気持ちになる時は誰かに助けてもらってた時かもしれませんね。
──ちなみに最近だとどんなこと反省されましたか? お味噌汁好きを公言されてますが、お味噌入れ過ぎた……とか何でも(笑)。
あ、お味噌汁で言うと舌の火傷はよくしますね、早く飲みたくて(笑)。あとは、人にぶつかったときに謝っとけばよかったなとか、ゴミ拾っとけばよかったなとか、そういうことはありますね。
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