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ヒップホップで社会を生き抜く! 第24回

ジェイ・Zのリリックで学ぶビジネススキル “ヒップホップ初のビリオネア”が語る人生アドバイス

2023.11.12 17:00

写真:AFP/アフロ

2023.11.12 17:00

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Billboard誌が選ぶ「最も偉大なラッパー」リストにて1位に選出され、ビジネスマンとしても様々な功績を残してきたアイコン、ジェイ・Z。デビュー前から自身のレーベル〈Roc-A-Fella Records〉を立ち上げ、ソロアーティストとしてリリースした14枚のアルバムが全米1位を獲得し、老舗ヒップホップレーベル〈Def Jam Recordings〉の代表を務め、2008年にはエンターテイメント/スポーツ・エージェンシー〈Roc Nation〉を創設した“ヒップホップで最も稼いだアーティスト”だが、彼のリリックからは多くを学ぶことができる。

米ヒップホップを追っている人であれば、2021年からSNS上で彼に関するとあるテーマが議論されていたことを知っているだろう。それは「500,000ドル(約7500万円)をもらうか、ジェイ・Zとディナーミーティング。どちらがいい?」という議論だ。多くの人がお金をもらうことを選択するなか、リアーナやカニエ・ウェストをビリオネアへと導いた凄腕ビジネスマンであるジェイ・Zから知識やアドバイスを伝授されることは7500万円以上の価値があると語る人もいた。

そのなかで、先日ジェイ・Z本人がその議論に終止符を打ったことが話題になっている。CBS Newsのインタビューに登場した彼は、「アドバイスは全て音楽に込められている」と語ったのだ。

「お金を選んだほうがいいし、その状態で俺は何を言えばいいんだ……そもそも俺のビジネスの知識などは俺の歌詞に全部込められてるし、音楽は10.99ドルで購入できるしな……俺はそんな分が悪い取引を受けろとは言えないな。500,000ドルを受け取って、家に帰ってアルバムを買ってじっくり聴くんだ……そこには全部込められてるからね!

実際に言葉を全てじっくり聴いて、言っていることを全て繋げ合わせたら、そこには全てがあるとわかるだろう。俺がラップ内で起こると言ったことは全て起こったし、俺がやりたいと言ったことも、全て実現した。そこには既に俺の人生と旅のブループリントがある」

「ヒップホップで社会を生き抜く!」第24回では、ジェイ・Zの歌詞に込められているビジネスアドバイスと、彼が実際にどのような行動を起こしてきたかを紹介したい。

チャンスは待たずに自ら創る

協力してくれる人たちはいない/誰かに餌を与えられることを座って待つな/もし建物を買えないのであれば、少しでも棚を埋めれるように貯めろ/そして自分のために使えるようになるまで貯めろ 「Entrepurenuer (2020)」

俺らはストリートに良くない金の使い方を教わった/宝石屋と協力して部外者を監視する/俺は深く考えて次のレベルに到達した/金を稼ぐ夢を実現させるために優秀な人材を採用した「Can I Live? (1996)」

ジェイ・Zは1996年に1stアルバムをリリースしたとき、26歳だった。クラック・エピデミック全盛期にニューヨークを生き抜き、ドラッグディーラーとして生活していた彼はラッパーとしてデビューする夢を持っていたが、年齢やマーケティング上の理由で売り込んだ全てのレーベルに拒否されたのだ。そこで彼は諦めずに、誰かに機会を与えられることを待つのではなく、デイモン・ダッシュとカリーム・バークとレーベル〈Rock-a-Fella Records〉を立ち上げた。彼らは自主制作でCDを焼き、車のトランクから販売することからビジネスを始めたのだ。

彼らはドラッグディーラーや街の若者を雇い、プロモーション用のポスターを街中に貼っていった。ストリートで話題になった後、〈Priority Records〉と流通契約を結び、1stアルバム『Reasonable Doubt』を自主レーベルからリリースしたのだ。

彼はメジャーレーベルに拒否をされ、自主レーベルを立ち上げたことについて「俺は最初からアーティストだけではなく、CEOにもなるしかなかった。レーベルと契約しようと苦労していたが、夢を一人で達成することはあまりにも難しかった。夢を諦めるか、自分たちで派手に成功して、あいつらを見返すかの二択しかなかった」ともコメントしている。

狭く深いスタートから広く浅い拡大へ

お前がゲットーに行かなくても、俺の歌詞からその環境を理解することができる/抜け出せなくて憤りを感じている若者から発砲された流れ弾から隠れる経験をせずともな/さっき気分が悪くなるレビュー記事を読んだ/何も持っていないサグや若者たちが共感する音楽にお前らがレーティングをつけることなんてできない/俺の音楽は彼らの道を開くための希望になっている、お前らのためじゃない「Renegade (2001)」

2001年の「Renegade」は彼の音楽やヴィジョンを理解できない批評家に対して書かれた曲だが、初期の彼の音楽が誰に向けて書かれたものかが理解できる内容となっている。ドラッグディーラーや街の若者を雇い、ストリートで話題になることを注力した彼は、いきなりメインストリームに広まることを狙うのではなく、特定の層に深く刺さる音楽を作っていった。これは起業家としても参考になる戦略だろう。1stアルバム『Reasonable Doubt』でストリートでの経験についてラップした後、2003年の「Moment Of Clarity」にてメインストリームで売れるためにあえて“浅い”歌詞を書くようになったともラップしている。

「俺は客が理解できるように歌詞を浅くして、2倍の金を稼いだ/それによって批判されるが、それでも求められる/もし本当にスキルが売れるのであれば、俺はタリブ・クウェリのようなリリシストになっているだろう/本当はコモンのようなラップがしたいが、500万枚売って以来コモンのようなラップするのは止めた」「Moment Of Clarity (2003)」

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