2023.07.26 18:00
2023.07.26 18:00
声優活動に加え、バンド形式の5人組声優ユニット・Poppin’Partyとの活動と並行して2021年4月にソロアーティスト活動を再始動させた愛美。今年は3クール連続でTVアニメOPテーマを担当することがアナウンスされており、その第1弾となるTVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のOPテーマ「MAGICAL DESTROYER」は、原作者のJUN INAGAWA、ラッパーのJUBEE、AA=の上田剛士がタッグを組んだことも大きな話題となった。
そしてその第2弾としてリリースされる3曲入りシングル『煩悩☆パラダイス』の表題曲は、愛美がヒロイン・蒼葉結月を演じるTVアニメ『てんぷる』の書き下ろしOPテーマ。作詞は彼女が担当している。アニソンをきっかけに声優界へと飛び込み、音楽と密接な活動を展開する彼女は、どんなこだわりを持って今作の制作に励んだのだろうか。彼女の本質と挑戦を探る。
タイアップ曲は作品ごとの言葉選びが面白い
──3クール連続TVアニメOPテーマ第2弾は、愛美さんが作詞を手掛けた「煩悩☆パラダイス」。愛美さんがヒロイン・蒼葉結月を演じるTVアニメ『てんぷる』のOPテーマです。愛美さんがアニメのOPテーマの歌詞を担当するのは同曲が初めてだそうですね。
いつかアニメのOPテーマの作詞をやってみたいなとは思っていたんですけど、まさかソロアーティスト活動再始動からこんなに早く担当させてもらえるとは思わなくて。うれしすぎて気合い入りまくりです(笑)。1年半程前に初めてアニメのEDテーマの作詞をさせていただいた経験も、今作に生きているなと実感しています。
──2021年12月にリリースしたTVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』第二部EDテーマ「LIGHTS」ですね。愛美さんにとって初めてのアニメタイアップ書き下ろし作詞でした。
「LIGHTS」の作詞のときに、「愛美」としてタイアップの作詞をするときの目線や感情表現に悩んだんですが、自分の感情と作品の伝えたいものの交わるところを探していって、それを言葉に落とし込んでいけばいいんだと思ったんです。あの経験がなかったら、今回こんなにスムーズに楽しみながら作詞はできなかったのかなと思います。
──アニメのテーマソングを担当する声優アーティストさんがアニメタイアップを書き下ろしする他アーティストさんと大きく違うのは、高確率でご自身もその作品に演者として出演なさっていることだと思います。愛美さんは「煩悩☆パラダイス」の作詞の際、そのあたりのバランスをどう考えましたか?
「煩悩☆パラダイス」に関しては、自分が演じている蒼葉結月の気持ちも入れています。それが『てんぷる』という物語の軸となってくると思ったし、『てんぷる』の世界の登場人物を演じているからこそ、深く掘り下げられる物語の内容やキャラクターの気持ちもあるので、それは絶対に入れたいなって。結月を演じているからこそこの歌詞が書けたし、結月を演じているからこそ結月だけに焦点を当てないようにもしました。
──そうですね。いろんなキャラクターの視点を感じられます。
作品全体を象徴するような曲こそ主題歌だと思うので、物語の大きなテーマである「煩悩」をフィーチャーしたり、『てんぷる』のドタバタラブコメディの世界観を楽曲でも反映させたかったので、頂いたデモの中からこの曲を選ばせていただいて、『てんぷる』という物語を主人公にして書きました。タイアップ曲の書き下ろしは「アニメ」や「原作」という答えがあるぶん、作品によって全然違う言葉選びができるのがすごく面白いなと感じていて。「煩悩☆パラダイス」も作詞中は悩んだらいつも原作漫画を読んで、『てんぷる』が伝えたいことや印象的なワードを引用させてもらって。本当に素敵な言葉ばっかりの作品なんです。
──《人は一人で生きるにあらず》や《全ての縁を大切にし感謝すること》など。
どの言葉も言われると「その通りだな」と思うのに、言われないと意識しないことであり、人にとって大切なことだと思うんです。声優活動も10年を超えてきて、初心を忘れそうなときにこの言葉たちに出会えて、身の回りのいろんなことに感謝しようとあらためてしっかり思いました。演じるときって、自分の役だけのことを考えがちなんですけど、主題歌の作詞をするにあたっていろんなキャラクターの感情を考えたから、物語に対する解像度がすごく増して、演者としてもお得でしたね(笑)。お色気シーンもあるドタバタラブコメだけど、ちゃんと深みがあることを「煩悩☆パラダイス」でも表現したかったんです。
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