2023.07.15 19:00
2023.07.15 19:00
「規格が合うところ」に興味がある
──ちなみに、他のインタビューで今後は海外での活動を目指したい、と発言されていたのを拝見しました。その思いはなぜですか?
ゲータレードってわかります?
──アメリカのスポーツドリンクですよね。
日本に輸入されてるゲータレードを見たらわかるんですけど、日本のペットボトルとは規格が違うんですよ。700〜800mlはあるのかな、日本の500mlペットボトルよりも大きいから、冷蔵庫にうまく入らない。俺は、ゲータレードなんです。日本の作品だと、規格が合わなくてできる仕事が少ない。今回の『シュレック・ザ・ミュージカル』みたいなそもそも「規格が合っていない主役」というのはやらせてもらえるけど、他の作品だと「規格が合っていない」んだな、ということはよく感じていて。例えばヒール役や存在感のある役というので表現することはできるし、そういう配役をしていただくことは本当にありがたいんですけど、自分でも「規格が合うところ」に行ったらどうなるか。そのことに、すごく興味があるんです。
──spiさんの場合、たしかに判断される基準が変わりそうですね。
その中で戦ったら、俺はどうなるんだろうと。多分、「アジア人」扱いなんでしょうけど、例えばニューヨークで他の国の俳優たちと横並びになったときに、どう評価されるのか。それが気になるというのがまず1つ。もう1つは、単純に海外で映画作品とかやってみたいなと。ロサンゼルスを散歩しながら、明日撮影か〜、日本帰りたいな〜とか思ってみたいなと(笑)。日本でミュージカル映画を作る、というのもやりたいことにはあるんですけどね。
──海外への挑戦は「やってみたい!」という感じですか? それとも不安だけど踏み出してみよう、という感じなんですか?
面倒くさい(笑)。だって、普通に家でダラダラしてたいですし。何もしないで全てを手に入れたくないですか?
──そうですね(笑)。
でも、海外には行ってみたいなと。多分俺は、この俳優という仕事、エンターテイメントに関わる仕事からは離れないでしょうし、俺が得意な分野はもうここしかないな、という気持ちがある。なにより、俺の活動で喜んでくれる人がいる。そのために頑張ってるような気がしているんですけど、同時に「社会貢献」ということを考えるんですよ。「世界」をターゲットに社会貢献をする、そのために日本で自分ができることはなにか、と考えたら「2.5次元作品を世界に持っていく」というのが自分の目標だったんですね。でも今、日本の2.5次元作品が続々と世界進出しつつある。じゃあ次は自分自身が海外進出して、そしてどうするか、何ができるか……というのを目下探し中です。この『シュレック・ザ・ミュージカル』が終わったら、とりあえず発つことになると思います。
──俳優さんからなかなか「社会貢献」という言葉が出ることはないので、とても興味深いです。
そうですかね? 以前、ニューヨークにオーディションを受けに行ったときに「あなたはアジア人だから役はないんだけど、やってることは素敵だから続けてください」って言われて。その時に、俺はアジア人なんだ?! と思ったんですよ。ずっと日本では「アメリカ人」と言われてやってきたんだけど、アメリカに来たらアジア人って言われた。じゃあ俺、アジア人じゃん?! となり。だったらアジア人として社会貢献できること、俺の得意な分野、今住んでる国、全部何となく照らし合わせてロジカルに考えたらさっき言った「2.5次元を世界に持っていく」というのが俺の社会貢献だな、と繋がったんですよ。次の一歩をどうするか、ですね。
──そう考えると、今回のこの『シュレック・ザ・ミュージカル』フルバージョン公演は子供たちの無料招待枠もありますから、「社会貢献」の1つともいえますね。
そうですね。もともと、「子育て世帯になにかできないか」というのは個人的に考えていたので、こういう形で実現できるのは嬉しいです。ただ、実際に子供がどういうことを考えて日々を生きているかを知らないといけないかも?とも思ってます。この間SNSに流れてきた動画なんですけど、小さな子供がくしゃくしゃの紙に水をかけて、それが広がるのを見てめちゃくちゃ喜んでるんですよ! 大人たちからしたら思いつかないようなことが、子供たちには極上のエンタメになる。難しすぎないか?! と(笑)。今回の公演の中で、そういった発見を日々できたらいいですね。