1stアルバムにみるバンドの“今”を砂原良徳×LEO今井が語る
「結果いい形になった」TESTSET、想定外を選んだ先の想定内
2023.07.12 18:00
2023.07.12 18:00
「TESTSET、熱いマインドで出来上がってます。少なくともきっかけは」──キャリアを重ねた記名的なアーティスト集団というイメージの強いTESTSETではあるが、きっかけには熱いマインドが存在したのではないかという問いへ、LEO今井から返ってきた言葉だ。FUJI ROCK FESTIVAL ‘21に特別編成として出演した砂原良徳とLEO今井に加え、サポートとして彼らにゆかりのある白根賢一(Dr/GREAT3)、永井聖一(Gt/相対性理論)の4人。緊張感に満ちたステージを共にした当該ライブ以降もフェスやライブへ“バンド”としてのオファーを受け続けたことが現在のTESTSETにつながっている。
その後、2022年8月に1stEP『EP1 TSTST』をリリースし、約1年の時を経て今回、1stアルバム『1STST』をリリースする。ここで聴けるのは単にテクノとロックの混交ではなく、このメンバーならではの音楽的な坩堝であり、しかも潔くしたたかにポップであることをも並列している。今回は砂原良徳とLEO今井の二人にTESTSET誕生期に遡ってインタビューをスタートしてみた。
ほぼ予測に近い感じのところにいる
──2021年のフジロックは緊急事態下のMETAFIVEだったわけですけど、そのメンバーでそのまま続けてこられた大きな理由はなんだと思われますか?
砂原良徳(以下、砂原) 理由は何か一つじゃないんですけども。まあ単純にあそこで4人で編成してやってみて、リハーサルで一回音出してさらっと割とできちゃったねっていう、その感じがまず一つありまして。あとは彼(LEO今井)と僕ですけども、METAFIVEのセカンドシーズンっていうのがこういろいろ思い通りに活動を結局できなくて。そのためにとっておいたエネルギーが残っていて(笑)、せっかくだからどっかに使いたいなあっていうことで、「続けてもいいよね」っていうような思いもあったのと、あとやっぱり決定的なのはフェスから4人で出てくださいっていう依頼があったことがもっとも大きいことで。それでその時に改名というか新たに屋号を決めまして、それで続けてきたっていう感じですね。
──メタを続けていくにあたって具体的にアイディアがあったのか、アイディア未満だけどやる気がすごいあるみたいな感じだったんですか?
LEO今井(以下、LEO) ある程度私の中では……METAFIVEのそのセカンドで言えば「Full Metallisch」って曲と「The Paramedics」と、あとある程度「Snappy」っていう曲が割と模範になったっていうか、こういうのがどんどんできそうだなっていうのが漠然とありましたね。
──TESTSETはサウンドは違うんですけど、今あがった曲にも通じるのはブルータルな印象なんです。
LEO そうですね。うん、それは意図的に出しました。
──なるほど。ではTESTSETらしさみたいなものを自覚されたタイミングってありますか?
砂原 らしさを自覚したのは実はアルバムができてからかもしれないですね(笑)。それまではらしさを無理やり出そうというふうには別に考えてなくて。まあバンドとしてやっていくんだったらアルバムは出さなきゃいけないと思うんですけれども、そこまでのプロセスの中でまあ出てくるだろうなっていう予測はしてたので、ほぼその予測に近い感じのところに今いるっていう感覚です、自分は。
──まりんさんの予測っていうのはこの4人だからみたいな感じですか?
砂原 そうですね。だからMETAFIVEとは……共通点ももちろん流れの中でやってるんであるんですけども、新しい要素が入ってきて曲も作ってますから。あの永井くんも白根さんも。そういう意味で今までになかったものが入ってきて、また違う形になるだろうなっていう。やっぱりね、そのままMETAFIVEの流れだけしかないんであればあんまりやる意味はない感じがするんで、新しい要素っていうのはやっぱ欲しかったですから。そういう意味では非常に良かったと思ってますね、今は。
──まりんさんはTESTSETのことをJuvenileさんのblock FMの番組で「自分で選べない学校のクラスみたい」っておっしゃっていましたが。
砂原 なんかそう言いましたね。プライベートで4人で会って飲みに行こうかっていう感じじゃないんですけど(笑)、まあたまたま事故が起こりまして、その事故をリカバーするために集まった4人でやるっていうのは、自分で決めたというよりは学校のクラスで同じになったやつとなんか一緒にやってみようか、まあ年齢は違うんですけど。まあそういう感覚にちょっと近いですね。やっぱり僕ぐらいの年齢になるともうバンドやるとなるともう仲のいい人とやろうかっていう感じで、お互いに結構わかってる人とやろうかっていう感じの人が多いような気がするんですけど。でもわかんないとこがあるんで、未知数な分、まだまだ開拓の余地があるっていうか、そういう意味ではまだ掘ってないところが全然あるというふうには思いますね。
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