主演女優2人が明かす映画『ベビわる』舞台裏と人生の分岐点
髙石あかり×伊澤彩織の間にある絆と尊敬、再びの共演で深まった“演技を超えた”関係
2023.03.25 18:30
2023.03.25 18:30
グダグダもアクションも120%
──アクション以外のシーン、会話の場面では、伊澤さん演じる”まひろ“の“コミュ障”が前作より改善されていた印象もあります。演技プランとして、違いを出そうと意識していたのでしょうか?
伊澤 前作はたしかに”コミュ障“全開な感じでしたけど、1作目で描かれていた18歳から2作目で描かれている19歳までの1年間には、まひろなりの努力もあったのかなとは思っていて。例えば、死体処理業者・宮内(茉奈)役の中井(友望)さんとしゃべるシーンでも頑張って話をつなげていたり。1年間でまひろに何があったのかは描かれていないけど、演じる上では、成長を想像してもらえるようにとは考えていました。
──髙石さんは、劇中の顔芸がさらにパワーアップしていた印象です。
髙石 え〜、本当ですか!? 自分から、顔芸を「パワーアップさせよう!」とは考えていなかったです(笑)。
──自宅でちさととまひろがくつろぐシーンなど、劇中のやり取りが演技とは思えないほど自然です。きっと、素のお二人も仲がいいのかなと。
伊澤 ふざけるのが好きなんですよ、私たち。2人でいると自然とふざけ合ってしまうから、楽しいです!
髙石 止まらないからね。お芝居でセリフを発していても、脱線してどんどん横道にそれていく(笑)。
伊澤 それができるのは、(髙石の)ツッコミが上手いからなんですよ。顔芸でも楽しませてくれますし(笑)。
髙石 顔芸しているつもりはないんですよ(笑)。
伊澤 フフフ(笑)。プライベートでもずっと楽しいもんね。
髙石 伊澤さんの家へ遊びに行くときもあって、先日は最寄り駅まで迎えに来てくれたんです。でも、伊澤さんのサンダルが右足だけ壊れていて。片足でジャンプしながら迎えに来てくれたので「何してるんだろう」と思いました(笑)。
伊澤 遅刻すると思って、駅までダッシュしたんです。
髙石 合流してから、2人でサンダルを買うため100均に行きましたよね。伊澤さんの自宅では、模造刀で「ぐるぐるバット」対決をして、楽しかった。
伊澤 模造刀におでこを付けて10周回ったあと、ちゃんと刀を振るのがルールだったんです。あかりちゃんが勝った。
──仲のよさがひしひしと伝わってきましたが、互いに認め合う部分もありますか?
伊澤 一緒にいると楽しくて、カメラが回った途端ちさとになる印象があるし、撮影しているシーンを面白くするため「今をどうするか」を常に考えているので尊敬します。
髙石 私は、「このシリーズの顔は伊澤彩織さんだ」と思ってるんです。作品の強みは、グダグダした日常からアクションで一気にスイッチが切り替わるところで、私はグダグダ感を120%で表現しようと思っています。伊澤さんはグダグダ感も表現できて、アクションでも120%を発揮しているのがすごいなと思います。
──そんなお二人が出会ったこのシリーズへの出演で、身の回りの変化もあったようですね。
髙石 お仕事でご一緒する方のほとんどが見てくださっていて、ちさとを演じたことで舞い込んできたお仕事もありますし、このシリーズが繋げてくれたものはたくさんあります。
伊澤 前作で「第31回日本映画批評家大賞」で新人女優賞をいただくことができましたし、数えきれないほど、たくさんあります。
──反対に、大好評のシリーズへの出演で、イメージが付き過ぎたがあまり思わぬ影響もあったのかなと……。
伊澤 金髪じゃないときに気づいてもらえない(笑)。「『ベイビーわるきゅーれ』に出ていて」と言って、「この金髪の子……ああ!」というやりとりは何度かありました。
髙石 私は「意外と落ち着いてるね」と言われます。作品でのテンションが基本だったら、疲れちゃいそう(笑)。
──髙石さん演じるちさとは、強気に相手をまくしたてるし、まひろにバシバシツッコんでいきますから。
髙石 そうですね。でも、ちさともゼロのときはゼロで、その状態と仕事での私は似ていると思います。100%でふざけているときはちさととどこか似ていますし、阪元監督が私たちのキャラクターも考慮して、当て書きしてくださったからこそだと思います。
伊澤 阪元さんが見たい私たち、“ちさまひ”の続編の脚本を作ってくれたので、またあかりちゃんと演じられて楽しかったです。前作は、『2』の公開を記念して、一部の劇場で再上映されるので、前作をまだご覧になっていないかたはぜひDVD、配信、劇場で観ていただき、『1』と『2』両方楽しんでほしいです!