フジロックにも出演する世界のトップランナーが旧友に語る
ルイス・コールにとって“良い音楽”とは?新作から辿る音楽遍歴と制作哲学
2023.02.03 12:30
2023.02.03 12:30
LAを拠点とする超絶技巧のドラマー、シンガーソングライター、プロデューサーのルイス・コール。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、クインシー・ジョーンズ、フライング・ロータスらから絶賛され、サンダーキャットとのコラボでも知られる彼が、昨年10月14日に〈Brainfeeder〉レーベルより新作『Quality Over Opinion』をリリースした。
ジャズから自由を学び、抜群のポップスセンスと超絶ドラムが繰り出すファンクネスが込められたDIY音楽の傑作と名高い今作。オリジナルでファニーな世界観で音楽ファンを魅了し、収録曲「Let It Happen」は第65回グラミー賞にノミネートされている。そんなルイス・コールがライブのために昨年12月に来日。東名阪4公演を全てソールドアウトさせた彼に、〈Brainfeeder〉所属以前から度々共演経験のある筆者(Kaz Skellington)がインタビューを敢行した。
なおルイス・コールは今年FUJI ROCK FESTIVAL ’23へ出演することが決定。このインタビューで彼の心の内に触れ、再び日本で繰り出される唯一無二のステージを楽しみに待っていてほしい。
日本の人たちとは特別な繋がりを感じる
──ルイスと友達になってからもう長いし、前にもインタビューをしているから正直もう何を聞けばいいのかわからないけど、新鮮な質問をできるように頑張るよ。
全然なんでも聞いても大丈夫だよ!
──私はルイスが今の“ルイス・コール”に進化する過程を見れたことが嬉しくて。例えば2016年に渋谷で一緒に路上ライブをやったときは誰もルイスのことを知らなかったし、2017年に一緒にライブしたときにはお客さんが80人ぐらいで。でも今は渋谷を歩いてるときにファンに声かけられるまでになった。日本でここまでファンベースが成長したことについて、どう感じる?
とんでもなく新鮮な気持ちだよ。自分がそうやって公で人に気づかれるようなアーティストになるとは思ってもいなかった。とても不思議な気持ちだし、多分いつまで経ってもその状況に自分が一番驚いてると思う。
──アーティストによっては最初からビッグな目標を持っている人はいるけど、ルイスは最初からこうやって外国でファンに声をかけられたり、グラミー賞にノミネートされたりするようになると思ってた?
全く思っていなかったよ。賞とかで自分の名前を見るとは思わなかった。でも自分が作れるベストな音楽を作ることにフォーカスしていたし、もちろん成功はしたいと思っていた。自分のパッションを追いかけて、人生のクオリティを上げるために充分なお金を稼ぎたいとも思っていた。自分がパッションを持って作りたいと思ったアートを作ることが、僕の本当にやりたいことだから、だからここにいる。
でも自分の予想をはるかに超えたよ。こうやって外国にたくさんファンがいるようなアーティストになれるとは思わなかった。信じられないし、みんなが良いと思ってシェアとかしてくれるのが本当にありがたいよ。みんなに感謝してる。
──日本でライブをやっても稼げないから来日をしてもツアーをやらないという海外アーティストが多いなか、ルイスの場合は日本のファンベースがかなり大きいように見える。
多分日本が一番大きいんじゃないかな? このツアーでも思ったけど、他とは全く違うエネルギーを日本は見せてくれる。もちろん日本のオーディエンスは自分が好きなものを深く応援する国民性があるのもあるかもしれないけど、僕の音楽は特に日本の人たちに響いているようなんだ。理由はわからないけど、僕が作っている音楽と、日本の人たちと文化には特別な繋がりがあるようなんだ。もちろん僕も日本を愛しているし、特別な感情を持っている。
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