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ブロードウェイの傑作が現代の日本バージョンに

生田絵梨花を中心にミュージカル界の若手実力派が集結! 『MEAN GIRLS』開幕

2023.01.30 21:00

2023.01.30 21:00

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日本での上演で意識されているポイント

さらに、今作が「単なるスクールカーストもの」にとどまらないのは「適役」となっているプラスティックスの造形もあるだろう。レジーナ役の石田ニコルは劇団☆新感線『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』などでの好演で一気にミュージカル界での注目度も高まっているが、スタイル抜群で上背もある彼女がレジーナとして登場してきたときの説得力たるや! しかしレジーナにはレジーナの事情もあり、そして彼女の取り巻きであるグレッチェン(松原凛子)は自己肯定感が低く、カレン(松田るか)は自他ともに認める「おバカ」だが実は……? というキャラクター。一見“ワキ役”に見えるガールズそれぞれに見せ場があり(カレンのシーンがとにかくキュート!)、必ず共感できる役が1人は存在する。この作品の強さは、そんな細部のきめ細やかさにある。

石田ニコル、松原凛子、松田るかが演じるプラスティックスの登場シーン

タイトルの『ミーン・ガールズ』とは「意地悪な女の子たち」という意味。元の映画がカルト的な人気を誇ったのは、前述のような見事なキャラクター造形でエンタメとして「女の子たちが抱える普遍的な悩み」を見事に描き出していたから。このブロードウェイ版はその本質はそのままに、SNSの普及など細部を現代版に「アップデート」した形となっている。しかし元の舞台は、劇中で使われるスラングだったり、アメリカ社会における背景などをふまえないと分かりづらい部分があるのも事実。

今作の演出・上演台本・訳詞を手がけた小林香が苦心したのもそこで、初日前の記者会見でも田村が「絵梨花ちゃんと香さんがすごくディスカッションしている様子にびっくりした」と語っていたが、現場では出演者も一体となって細かな試行錯誤を繰り返しながら作品を作り上げていったようだ。会見で小林は「原作の脚本を読んだとき『これをこのまま日本で上演してして大丈夫か』という気持ちがまず先にあったけれど、脚本のティナ・フェイさんが一文字一文字書きあげた作品。それをなるべく誠実に演出するのが私の仕事だと思うが、カルチャーや時事問題の認識はだいぶ違うので、日本のお客様により伝わるような『日本バージョンの翻訳』というのを心がけた」と語った。

初日前会見より石田ニコル、生田絵梨花、田村芽実、小林香

作品を観てもらえばわかるが、主人公のケイディもけして品行方正な主人公ではなく、むしろ人気者というポジションに浮かれてしまい、いろいろと “やらかし”てしまう。しかし見栄や欲望や弱さから自分を見失ったり、“やらかし”たりということの1つや2つ、誰もが10代には経験しているのでは? いや何なら今でも身に覚えがある人もいるのではと思う。だからこそ「誰もが輝く星である」と歌い上げるラストナンバー『I See Stars』が胸に響く。

どんな人でも勇気づけてくれる“ガールズ・パワー”を全身に浴びることができる、そんな作品。ぜひ生でそのメッセージを受け取って欲しい。

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作品情報

ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』

ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』

企画・製作:アミューズ
東京公演主催:アミューズ/フジテレビジョン

東京:2023年1月30日(月)~2月12日(日) 東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
福岡:2023年2月17日(金)~2月19日(日) キャナルシティ劇場
大阪:2023年2月23日(木祝)~2月27日(月) 森ノ宮ピロティホール

公式サイト

キャスト&スタッフ

演出・上演台本・訳詞:小林香
出演:生田絵梨花 田村芽実 石田ニコル 内藤大希 松原凜子 松田るか 小野塚勇人(劇団EXILE) 中谷優心/黒須洋嗣/壮一帆 伊藤かの子 工藤彩 黒田陸 篠本りの シュート・チェン 鈴木満梨奈 鈴木里菜 中嶋紗希 増山航平 松村桜李 村上貴亮 山﨑感音
脚本:ティナ・フェイ
音楽:ジェフ・リッチモンド
作詞:ニール・ベンジャミン
音楽監督:前嶋康明
振付:木下菜津子、當間里美
美術:松井るみ
照明:高見和義
音響:山本浩一
映像:石田肇
衣裳:中村秋美
ヘアメイク:宮内宏明、前田真里
エレクトロニックミュージックデザイン:ヒロ・イイダ
オーケストラ:新音楽協会
歌唱指導:満田恵子
リハーサルピアノ:飯田緑子、大隈一菜
共同翻訳:土器屋利行
翻訳協力:高橋リーザ
演出助手:長町多寿子
舞台監督:藤本典江

「仮面ライダーエグゼイド」(2016年)ポッピーピポパポ役で注目を浴び、その後「賭ケグルイ」(2018年)

NHKよるドラ「だから私は推しました」(2019年)、「フォローされたら終わり」(2019年)、NHK連続テレビ小説「スカーレット」(2019年)、「ちむどんどん」(2023年)他、多数出演。映画「あしやのきゅうしょく」(2022年)、舞台「我が家の家族」では主演を務める。近年ではブロードウェイミュージカル「MEAN GIRLS」(2023年)に出演し活動の幅を広げている。

2024年4月からブロードウェイミュージカル「ハネムーン・イン・ベガス」にヒロイン:ベッツィ・ノーラン役で出演する。

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