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INTERVIEW

グラミー2部門ノミネート中の“USインディーの至宝”

Big Thiefにみるバンドの本質、瞬間を奏でる尊さ

2023.01.23 18:30

2023.01.23 18:30

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バラバラのジャンルが集結した中心点

──同じツアーでも、その日その日でライブは全然違うだろうから、ツアー全公演に行ってみたいって思ったんです。そういう意味ではグレイトフル・デッドとかフィッシュみたいな匂いもすごく感じて。世界中にツアー全公演に来てくれるようなファンはいるんですか?

バック アメリカツアーに限らず、海を渡ってくる人もいたりするし、毎回アメリカツアー30ヵ所すべてに必ず来てくれていたカップルがいたり。USAツアーはずっとついてきてくれる人たちもいるし、そんなにめちゃくちゃ多いわけではないけど、いるとは思います。

ジェームズ 僕らも今曲数が80曲ぐらいあって、ツアーをやる中でローテーションで全曲やりたいと思っているから、そういう人たちも増えているのかなって。

Big Thief – Red Moon (Official Video)

──30分くらいのサイケデリックな演奏とかフリーセッションもライブで聴いてみたいと思いました。

バック 時々起きるし、観てくれたガーデンホールのライブでも起きたよね(笑)。

──やっぱり(笑)。本当に何が起こるかわからないんですね。

ジェームズ これからも年々僕らは変わっていくと思っていて。私生活では子どももミュージシャンになっているかもしれないし。

バック デスメタルになる可能性もあるし(笑)。

Photo by Kazma Kobayashi

──バンド結成の経緯や音楽的ルーツを聞いてもいいですか?

バック たまたま全員1年以内にブルックリンに引っ越してきた4人で。僕とエイドリアンはもともと一緒に音楽をやっていて、ロックバンドをやりたかったんです。それからベースのマックスが加入するんだけど、その時ジェームズがエンジニアをやってくれて。だから最初はレコーディングだけ参加してたんだけど、そのあと正式加入することになったんです。それが2~3ヵ月で起きた出来事で、すごく速いスピードで一緒にやろうってなってから5年間ずっとツアーをしています。全員バークレー出身なんだけどバークレーでは知り合ってなくて、ニューヨークに出てきてから共通の知り合いとかを通じて知り合ったんだ。

ジェームズ 音楽的に言うと、僕はもともとテキサスでラグタイムとかブルースとかカントリーをずっと聴いていて。マックスと出会った時僕はずっとブルースを聴いていて、彼はジャズ・ベースを聴いていたんです。エイドリアンはミネアポリス出身で小さい時から音楽をやっていて、バックはシカゴでずっとロックをやっていて、ジャンル的にはバラバラだけど集結した中心点がビッグ・シーフなのかな。

──ジェームズが最新作はプロデューサーを務めてるということなんですけど、ブルックリンはプロデュースもできるミュージシャンがすごく多い印象があります。バンドにいながらエンジニアをやるってことは、ブルックリンにいたからこそなんでしょうか。

ジェームズ 全員ではないと思うんですけど、ブルックリンは場所的に他のところに比べたら多いかもしれないです。大体そういう人って、プロデューサーになる前はもともとミュージシャンだったりバンドをやっていたり、みんなにかっこいいって言われている人たちで。基本的にはミュージシャン兼プロデューサーという形でやっている人が多いです。昔のプロデューサーは楽器すらできなくて曲を聴いただけでビジネスをしていた人たちも多かったし、それはそれでかっこいいと思っているけど、今は両方やっている人が多い。自分の家に小さいスタジオを持っていて、そこに友だちを呼んでできるってこともたぶんあるとは思います。バックも今、小さなスタジオを立ち上げているんです。

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ソロ活動はバンドにどう影響するか

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作品情報

Big Thief 5th ALBUM『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』

『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』ジャケット

『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』ジャケット

Big Thief 5th ALBUM『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』

2022.02.11 Release
●2CD 国内盤 2,800円(税別)解説+歌詞対訳冊子/ボーナストラック追加収録
●CD輸入盤 2,200円(税別)
●限定LP輸入盤 3,850円(税別)※SOLD OUT
●LP輸入盤 3,850円(税別)※SOLD OUT

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収録曲

Disc 1:
01. Change
02. Time Escaping
03. Spud Infinity
04. Certainty
05. Dragon New Warm Mountain I Believe In You
06. Sparrow
07. Little Things
08. Heavy Bend
09. Flower of Blood
10. Blurred View

Disc 2:
01. Red Moon
02. Dried Roses
03. No Reason
04. Wake Me up to Drive
05. Promise Is A Pendulum
06. 12,000 Lines
07. Simulation Swarm
08. Love Love Love
09. The Only Place
10. Blue Lightning
11. Dragon New Warm Mountain I Believe In You (Tucson) *Bonus Track For Japan
12. Light Is As Is *Bonus Track For Japan

ビッグ・シーフ

アーティスト情報

エイドリアン・レンカー、マックス・オレアルチック、バック・ミーク、ジェームズ・クリヴチェニアで構成されるニューヨークのブルックリンを拠点とするインディー・フォークバンド。

2015年に結成、2016年に1stアルバム『Masterpiece』をリリース。2017年には2ndアルバム『Capacity』リリース。2019年には3rdアルバム『U.F.O.F.』と4thアルバム『Two Hands』をリリース。『U.F.O.F.』はグラミー賞でベスト・オルタナティブ・アルバムにノミネートされた。

最新作は2022年にリリースされた2枚組5thアルバム『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』。グラミー賞のベスト・オルタナティブ・アルバムとベスト・オルタナティブ・パフォーマンスの2部門にノミネート。

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    #インタビュー#ヒグチアイ#本間昭光#本間昭光のMUSIC HOSPITAL

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