最新曲「共感されなくてもいいじゃない」をリリース
高橋李依が歌に込める自分自身、歌手活動で覚えた“相乗効果”のためのバランス感覚
2022.10.22 19:00
2022.10.22 19:00
0を1にしている作業が毎回刺激になる
──「不健康社会」では作曲のみだった永井葉子さんが「共感されなくてもいいじゃない」では作詞作曲という形で参加されてますよね。
永井さんも、私のやりたいことを掴んでくださっているんです。何度かスタッフさんを挟んでやりとりをさせてもらっていく中で、今作の主人公であるアイリーンってこういう子です、みたいなところも説明させていただいて。あと、私はこの歌詞がお気に入りですとお伝えして、ここは削らずにいってもらおう、など話をしました。
──その箇所って具体的にどのあたりなんでしょう?
「嫌味は恥じたらどうでしょう」って言い回しがすごく好きでした。それと、主人公のアイリーンは、「わたくし」っていう一人称なんですが、この曲は高橋李依が歌ってるので「わたし」にさせていただいていて。ただ、アイリーンと出会ったときに抱いた力みたいなものを、私はまとって歌いたいなと思い始めていて。高橋李依が歌ってるんですけど、アイリーンらしさというか。アイリーンから感じた気迫、戦う力みたいなものが落とし込めそうだなと思う、ちょうどいい距離感の歌詞を活かしてもらっていますね。あと「もういっそ笑おう」って部分がすごくアイリーンっぽかったし、私高橋李依としても言える言葉だなって。そのシンクロ感で結構選ばせてもらっています。
──そういうところもアーティストならではの動き方ですよね。その場その場で起こったことがきちんと反映されるというか。
ですね。たぶんキャラソンだったら私何にも意見出てこないと思うんです。私はこう感じてるんですけどって。全然使ってるとこ違うなって感じます。
──両方とも面白いですか?
面白いですね。よく声優さん同士で、0を1にする仕事ではないって話が挙がるんです。台本があって、キャラクターの絵があって、シナリオがあって、私達の仕事があるっていう。そういうやり方が毎日ある中で、楽曲制作って本当に0を1にしているなって。普段絶対にやらない作業ばっかりなので、毎回すごく刺激になってます。
──この曲でも特に珍しい展開を見せるのが、ラスサビの「一切合切」の箇所でブレイクしてから、唯一サビのメロディが崩れて、そこから合流していく回収。その手腕はすごくカタルシスだと思って、大好きです。
嬉しい。私も大好きです。
──ここで崩れるっていうのは、なかなかやりたくても怖くてできない作業ですから。
サビが全体的に常に高いから、そういう遊び心みたいなところが最後に来るんだみたいな。同じ印象になっちゃうんじゃないかなって心配もあったんですけど、ラスサビで遊んでくれたり、最後の「敵味方代償だって」の後にくるピアノの旋律も変えてくれているじゃないですか。ルート通りに行ってるようで、実はこっそりかなり遊んでます、みたいなのが本当にしたたかで上品で、まるで旋律からもアイリーンを感じるような雰囲気がしますね。
──1番ABサビで2番もABサビがあって間奏があってラスサビがあって。でラスサビにリフレインがあって、イントロに戻って終わる。これって一番美しいJ-POPの展開なんです。けど、どこかに必ず外しが入ってる。かつ、ラスサビであえて崩しにかかるところがあるから、サビ始まりにしたんだって。本当に刺激的な曲でした。
最後の最後までお気に入りだったので嬉しいです。
──純粋にJ-POPとして珍しい形ですよね。いわゆるこのアニメが好きな人たち向けているとは思えないぐらいロッキンなギターソロだったり。これは作曲者と編曲者のアイデア?
そうですね。ソロメロディに関してお任せしていたんですけど、格好よさもアイリーンらしいなと思って。ただただ綺麗だけじゃない令嬢が今作の主人公でもあったりするので。
──ライブはすでにZepp DiverCityでやってらっしゃるんですよね。
誕生日のイベント(「高橋李依 Birthday Event 2022」2022年2月26日)っていう括りで、前半にキャラソン3曲と、後半自分の楽曲を3曲、同じ曲数を披露させていただきました。その時点での持ち曲が5曲だったので、次やるときにはフルでライブができるぐらいの曲数ができていたらいいなとも思い描いていました。とは言え、なんとなしに曲を作るつもりもなくて。私の中からしっかりと感情が出てきて、歌が1曲ずつ生まれたあとに、いずれ自分の楽曲主体でのライブをやりたいなと思っています。
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