最新曲「共感されなくてもいいじゃない」をリリース
高橋李依が歌に込める自分自身、歌手活動で覚えた“相乗効果”のためのバランス感覚
2022.10.22 19:00
2022.10.22 19:00
歌手として新曲「共感されなくてもいいじゃない」をリリースした高橋李依。同曲がオープニングを飾る『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』では主人公のアイリーンの声も担当、ほかにも『魔法つかいプリキュア!』『Re:ゼロから始める異世界生活』で主演、来年もすでに【推しの子】主人公アイ役、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』神谷薫役など多数の話題作出演が発表されるなど、まさに破竹の勢いの活躍をみせている。
アーティストとしては2015年に声優ユニット・イヤホンズでの活動がスタートしているが、意外にもソロ歌手としてのデビューは昨年。兼ねてよりソロデビューを待ち望む声が寄せられるなか、なぜ“満を辞して”の始動を選んだのか。決断までの背景や葛藤、そして怒涛の譜割が続く歌唱難易度MAXの新曲「共感されなくてもいいじゃない」に詰めたこだわりなど、”歌手・高橋李依”の活動について、並々ならぬ思いを楽曲さながらアップテンポに語ってくれた。
──前作のEP『透明な付箋』を持ってソロアーティストとしてのキャリアをスタートなされた形ですが、2014年頃から歌手的な活動はされていましたよね。
2015年にイヤホンズを結成させていただいて、いま7周年なんですけど、(イヤホンズは)声優ユニットなので、また別物だなってソロアーティストを始めてから感じています。
──前作と今作を聴かせていただいて、今作はより地の声にフォーカスしたというか。いち個人・いち人間としての表現の振れ幅があって、すごく面白いなと感じまして。
実はイヤホンズも結構珍しいユニットで。最初はキャラソンだったんですよ。1stアルバムを出すタイミングで、演じているキャラ自身が声優役なので、声優さんだったら色んな声出せるみたいなところでがっと幅を広げて、アーティストとして続けていきましょうっていう判断が行われて。割とシームレスな流れでキャラソンから声優ユニットに変わっていったチームなんです。
──そこで原作の縛りから外れて、3人にフォーカスした形で自由に羽ばたいていけるようになったんでしょうか?
キャラクターだったらこう歌うみたいなことを考えない作り方のおかげで、今度は3人の声質の相性を考えてだったりとか、プロデューサーさんが思う実験的なことに挑戦したりと、また違った楽しさのあるユニット活動をやらせていただいていますね。
──そういった経験を経てのソロデビューという形ですが、どの段階で高橋李依としてやっていくべきなのか、やっていきたいのかという気持ちが芽生えたんでしょう。
具体的に何年の何月からっていうのは覚えていないんですけど、イヤホンズをやり始めて間もない頃に、実はソロデビューのお声掛けはいただいていたみたいなんです。ただ私が、自分の声優業におけるキャパシティの問題などで全く考えられていなくて。あと、自分はイヤホンズがあるからいいかなと思っていたんですよ。なので「自分にはご縁がないもの」って、はっきりインタビューで答えたこともあって。
──絶対聞かれますもんね。
「いやぁ、私は全然そんな気はないです」って言っていたら、数年かけてそれが呪縛っぽくなって、やりたくなったときに何にも言えなくなっちゃったんですよ。そんな数年を過ごしながら、周りでデビューした子たちから、ソロ活動を声優業にも落とし込めているという、いい話をたくさん聞くようになって。自分は結構慎重派なのでマイナス要素ばっかり探しちゃってたんですよ。ソロ活動をしたら声優業が疎かになるとか、両立ができなくなるとか、作品にとって良くない影響が出てしまうのではないかとか。いろいろ考えていたんですけど、実際にされている方がそうでもなさそうだと知り、「やりたいな」と薄ぼんやり思い始めて。そんな中、コロナ禍前あたりに軽くお話が出たので、これは逃しちゃいけないなと。でも、数年悩んでいた自分がいたから、ここまで待って今決断するにはしっかりとした理由がないといけないなと思ったんですね。
──自分で言ったことと決着をつけるためでもあるわけですね。
過去の自分を納得させるためというか。理由を1個ずつあげてみたら、めちゃくちゃいっぱいあって。例えば、ちょっと不純な動機かもしれないんですけど、単純に歌がうまくなりたいと思った時に、作りながらディレクションいただいて経験を積むのもうまくなる方法だなとも思ったし、自分が大好きなキャラクターソングを生で披露して人と共有したいなとも思ったんですよね。生で披露するにはライブを制作する方々の力が必要だと思いまして。仲間が欲しいといいますか、自分のこれやってみたい、あれやってみたいという思いを具現化してくださるチームが欲しいなと思ったんです。高橋李依という声優はもちろん裏方の作業ではあるんですけど、こういう特徴がありますよって知ってもらう一歩として、次のステージに上がりたいなと思ったし、そういった理由がたくさん出てきて。たまたまコロナ禍で考える時間もたくさんあって、決断してやることを決めました。
次のページ