2022.10.13 12:00
ギャップが好きだ。
いわゆる意外な一面なわけだが、第一印象のそれが大きく左右すると思う。
しかもマイナスから入れば入るほどそれはポジティブに働くように思う。
かく言う私も黙っていると怖がられること多々だが、少し笑えば良い人だと思ってもらえるのでラッキーだ。
さてそこで今回の『カラオケ行こ!』。
和山やま先生は話と登場人物にギャップをもたらす天才だと思う。
物語は簡潔にいうと少年とヤクザのカラオケの話だ。
ね、すでにギャップだらけでしょ。
中学の合唱部部長の少年・聡実くんと歌が上手くなりたいヤクザ・成田狂児の梅雨から夏にかけての物語。
歌が上手くなりたいアラフォーのヤクザがまず合唱コンクールを観に行って、優勝した学校の中学生の部長に教わる。
ね、意味わからなくて最高でしょ。
しかもそれが組長がカラオケ好きな上に絶対音感の持ち主で、下手なやつには腹を立ててもう一つのマイブームである刺青を絵心ないド素人の組長自身で彫るというお仕置きを回避したいからだという。
ね、品が悪いのに品が良いところあってでも品が悪くて最高でしょ。
聡実くんと狂児のやりとりがまた良い。
聡実くんが物怖じせずズバズバと本音を言うし、狂児は狂児で全く持って強引マイペースを崩さない。
顔面強いのに、ちゃんと思春期真っ只中の少年に寄り添った少年思いの面も出してくるんですわ。
顔面強いのに。
単行本で言うと一巻にまとめられているので、あっという間にすぐ読める。
読後感はヤクザという設定とは裏腹にまさに夏休みの少年の冒険映画をみたかのような暖かさと一抹の寂しさを感じられるだろう。
少年は狂児との出逢いで1つ大人になる。
この二人の行く末をいつまでも見ていたくもあるがお互いの性格的にはどうだろうなあ、なんていつまでも想像できる楽しさ。
何度でも言わせて欲しい。
ひと夏の大冒険感がたまらん。
梅雨から始まってるけど。
なんかひと夏感とさせていただきたい、そんな作品です。
狂児がいつも歌うはX JAPANの『紅』。
どんな歌声でどのくらいの上手さなのか。
読めば“キ”ける。
ね、読みたくなったでしょ。