2022.09.19 16:00
それぞれの「つくること」へのこだわり
音楽とコーヒーの共通点の糸口を見出したところで、それぞれにコーヒーづくり、音楽づくりのこだわりについて語ってもらった。
難波 コーヒーは淹れるのが大変であれば大変であるほど美味しさに結び付くのかは分かりませんが、美味しいコーヒーにするために心がけていることってあるのですか?
マダム なんか言ってくれます。「もうちょっとお湯ちょうだい」とか。「もうそろそろやめて」とか。それと、ちょっと色が薄くなってくるのでこのぐらいかな、とか、そういうのありますね。
難波 それって最初から分かるわけじゃなくてずっと続けているうちにわかるということですよね。音楽との共通点はありますか?
もか どうですかね?メロディを作ってて、「絶対これはいいぞ」みたいなピンとくるところが似てるかもしれない。理論とかじゃなくて感覚で掴んでいくみたいな。
難波 職人のようなところですかね。もかさんはコーヒーも自分で淹れられるし。
もか 昔、コーヒーの豆屋さん?輸入食品のお店でバイトをしてた時期があって、それからブラックコーヒーがすごく好きになって。で、豆の味の違いがだんだん分かるようになってきてから、だんだん挽くやつとかも楽しいなあ、と。
難波 面倒でも豆を手動で挽く「無」の時間がよかったりもしますよね。ところでもかさんは何歳くらいから音楽をやってるんですか?
もか 最初はピアノを3歳ぐらいから初めて、それからサックスをやったりギターをやったりという感じで今まで気づけばやってたという感じです。
難波 歌うことや楽器を弾くことが好きなんですか?
もか 最初は歌うことがすごく好きで、歌を歌うためにギターとか練習してたんですけど、最近だんだんギターを演奏することもすごく好きになってきて。 弾けば弾くほど面白さが分かってきたかなっていう。
マスター さっきのコーヒーの話じゃないですけど、職人っぽいですね。一個一個の細部に入っていって、そこをこう突き詰める感じが好きなんですね。
もか そうかもしれないです。
難波 音楽と密接な生活になってからもう長いのですね。
もか ひとりで歌い始めてからはたぶん10年ぐらいです。
難波 なるほど。こちら、ニュープリンスは創業60年くらいですね(笑)
もか 私もあと6倍ぐらい頑張らなきゃ(笑)。
難波 マダムは二代目ですよね?
マダム 私が10歳になる頃、父がお店を出しました。昭和39年、前の東京オリンピックの時からずっとだから60年近くですね。
難波 本格的に手伝い始めたのは何歳くらいのときですか?
マダム 学校卒業してから結婚するまで手伝ってたんですよ。それで結婚して家出て、その期間はやっていなくて、父の具合が悪いからっていうことでまた。だからちょっとブランクがあったんですけど、それからずっと手伝うようになって。いろんなこと教えてもらって、なんとかできるように育ててもらったから。姉が亡くなってからは私だけじゃ大変だから、そこで息子がやりたいっていうから、頑張ってやりなさいってことで再開したんですよ。
難波 すごく素敵ですね。バンドメンバーみたいで。
もか たしかに。
難波 もかさんの音楽は聞かれましたか?いかがでしたか?
(「魔法」をみんなで聴く)
マスター これって岡山で生まれたからとかありますか?ちょっとゆったりした空気感。
マダム この近くのお嬢さんも結婚して岡山に帰るらしいんだけど、ちょっと似た感じがある。
難波 「魔法」はどういう時に生まれたんですか?
もか これはドラマの書き下ろしとして、原作を読みながら作りはじめました。でも自分の気持ちを書かないとあんまり残す意味はない感じがして、主人公と自分の共通点を探していた時に、私たちは素直になっていくことが大切だって思うようになって。そこでその素直になっていくことを自分の中ではテーマにしようって気持ちで書いていきました。
難波 いつもはどういう時に心が動いて詞が浮かんだりするんですか?
もか いつもは自分のことを俯瞰的に見てしまう瞬間がよくあって。で、そういう時に今の自分ってこういう状況だなって思ったことを書き残しておいたりっていうのが毎日ちょっとずつあって、ギターとか弾いてて、「あ、いいかも」ってメロディーが出たときに「これで行きたい」みたいな言葉があったら、その一文から書く感じですかね。
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