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チャラン・ポ・ランタンのキッチン・カー 第1回 by 小春

手料理が急に食べたくなる現象

2022.07.21 12:00

2022.07.21 12:00

共に時間を過ごしたことのある恋人はどいつもこいつも
食べ物にこだわりのようなものを持っている人が多かった。

グリーンカレーはどこどこのスパイスを使わないと美味しくならないだとかどこどこのタイミングで肉を入れないとどうだとか、寿司はどこの店がイイとかあそこは美味くないとか。横で私は特に感想もなく「へー」という返事をするだけだった。
正直なところ彼らほど食に優劣をつけるほど違いがわからなかった。「今日は失敗した〜」という日と「大成功した〜!」という日の料理の味の違いが分からない。別に全部が全部同じだけ好きかと言ったらそういうわけでもないんだが、隣にいる人があーだこーだ言っているとどんどんどうでも良くなってくる。

ある一定数こういう人間は居ると思う。
だけどこの感じを全面に押し出すとありとあらゆる人間から「人生損してるよ。美味しいものを食べないと。」みたいな雰囲気を出されるのでなるべく出さないようにしていた。食べ物に興味がないわけではないんだけども、近くの人間が興味あればあるほど謎に興味が薄れていく現象というものが起き続けていた。
そんな中、皆、突然言い出すのである。

「小春の作ったものが食べたい。」

なぜだ、なぜなんだよ。今まで見てきてわかってるだろ。貴方のようなこだわりもなく、アコーディオンだけに興味があって、こだわりがあるのは音楽と音楽にまつわるものだけだし、何か作ってあげたいとか思ったことなんて1度もないんだよ。その違いのわかる舌みたいな人が好む味とか気にしてこなかったし別に此処に食べに行きたいとか意思を貫いたこともなければ「これは美味しくないね」とか言ったこともないじゃん。イイじゃんテイクアウトしようよ。このある一定の期間付き合うと手料理食べてみたくなる現象って何なの。困った。何も作れない。

ひと昔前、中学時代は米を炊く、味噌汁を作る予定の鍋に出汁パックを入れる、という2つの手伝いを行っていたような記憶がある。しかしながらそこに対して興味とかもなかったせいか全然思い出せない。そして実家は母アキが鍋で炊くご飯が好きだったのか何なのか知らんが鍋でしかご飯を炊いたことがなかったので炊飯器の使い方もよく分からない。そしてご飯はいつも母アキが作っていた。

高校時代に動物園にデートに行った時は、多分こういう時に手作りのおにぎりとかあるとイイんだろうと思い、母におにぎりを作ってもらった。
「おにぎり作ってきた(母が)」別に嘘はついていない。自分が作ったとは言ってない。まずいものを無理やり食わせるより100倍親切だと思う。料理は、得意なやつがやればいいんだよ。

料理が得意な人としか付き合ったことがないのも、自分で作る予定がなかったからだった。
なのになんで突然小春の手料理が食べたくなる。自殺行為かな。肝試し的なやつなんだろうか。朝ごはんは自分で作っていたこともあったけども、それは自分が食べるものだから作れるわけであって、他人の味覚など知らん。頼む。気が変わってくれ。
数ヵ月そのリクエストを放置すると、いつの間にか言われなくなっていた。

キッチン用具を買うようになるのはそれから数年後の話になる。

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アーティスト情報

もも(唄 / 平成生まれの妹)と小春(アコーディオン / 昭和生まれの姉)による姉妹ユニット。
大道芸人の姉とただの高校生だった妹2人で2009年に結成。2014年にエイベックスよりメジャーデビュー。
2021年9月より独立。同年9月18日には小春がプロデュースした手頃な値段のボタンアコーディオン「Bébé Medusa」の予約販売を開始。一晩でボタンアコーディオンを531台売り上げる。

自分たちで会社を経営しながら、自分たちの世界を今後も大きくしてゆく予定。

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