2025.10.10 19:00
2025.10.10 19:00
ネガティブな感情は1日で終わらせる
──続いて4月に先行配信されていた「ヴィクトリア~勝利への扉~」は、ご自身のどんなルーツに紐づいていますか? 曲調的には宇宙や神話規模のスケールを感じさせる壮大なアップナンバーに仕上がっていますが。
この楽曲は「五月病に負けないようにしよう!」というテーマで制作していて、みんなの背中を軽く押せるようなエールソングとして歌詞を書いたのですが、楽曲自体で意識したのは“THE王道アニソン”なんですよね。私、いつか王道アニソンを思い切り声を張りながら歌いたい願望がありまして(笑)。この曲は1stアルバムのコンペの時に出会って、アルバムに収録するにはインパクトが強すぎるけど、いつか絶対に歌いたいと思い、デジタルリリースで形にさせていただきました。

──SNSにこの曲のショートムービーも上げていましたよね。青山さんが戦隊ものっぽい赤い全身タイツを着て色んな人を応援するような内容で。
はい、あれは激弱戦隊ヒーローみたいな感じですね(笑)。頑張りたいけど、実力が足りなくて、弱くなってしまう感じを表現したくて。特に2番にある“もう、イエスマンはやめたんだ(無理なものは断れ)”で始まる歌詞は社会人の皆さんに向けたメッセージなんです。私は平日にイベントを開催させていただくことも多くて、ファンの方から「定時にあがりたいけど難しい」「用事を断れない」という相談をいただくことがあるんですね。でも、人生は1回きりなんだから、本当に自分が行きたいのであれば「今日は予定があるので帰らせてください」と言えるような心持ちでいた方が、人生を楽しめるんじゃないか。そういう応援ソングにしたいなと思って作りました。
──なるほど。ちなみに青山さんのアニソンのルーツも聞いてみたいです。
ルーツは『銀魂』の主題歌ですね。それこそアニメきっかけでバンドを知ることが多くて、軽音部の時はDOESさんの楽曲をよく練習していました。他にも『けいおん!』の放課後ティータイムやSCANDALさんの楽曲、当時のアニメの主題歌のカバーをよくやっていたので、その辺りがルーツになると思います。
──3曲目の「OAO」はファンク~シティーポップ調のお洒落なナンバー。タイトルは“One and Only”の略語らしいですね。
はい、“唯一無二”という意味になります。この曲は作詞のコライトに挑戦してみたい気持ちがあり、Yumika Kondoさん・TSINGTAOさんと私の3名で共作しました。1stアルバムでは頑張って自分の力で全曲書きましたけど、やっぱりボキャブラリーにも限界がありますし、特に英語の歌詞となると、どうしても文法を気にしてしまうところがあるので、サウンド感やメロディーとして聴いた時の滑らかさを大切にした歌詞の書き方という点ですごく勉強になりました。

──青山さんのルーツという意味では、どんな部分がそれにあたりますか?
中学生の頃にハマっていた韓国アイドルになります。私、一度ハマるとグッズを大量に集めるタイプで、アニメにハマった時は部屋中がアニメのポスターやグッズだらけになるし、K-POPにハマったら全部韓国アイドルのポスターになるんです。で、勉強に集中しようとなったら、ポスターは全部剥がして英単語や漢字を壁に貼りまくるタイプで(笑)。今回のミニアルバムのテーマをルーツにするとなった時、小中学生の頃にKARAさんなどのK-POPにハマった時期があったことを思いだして、ああいうお洒落な感じの曲をやりたいなと思ったんです。歌も熱唱するというよりも、ちょっと気怠そうな感じで、日本語のフレーズも英語っぽく聴こえるように意識して。サウンド全体で楽しんでもらえるように作った曲です。
──続く「モントレゾール」は、バレエの定番曲フリッツ・クライスラー「愛の喜び」をサンプリングしたワルツ調の楽曲です。
最初のレコード盤に針を落としたようなサウンドから始まるのがすごくお洒落で、そこから華麗な3拍子に変わっていくのがすごく良くて、絶対に歌いたいと思った曲です。歌詞を書くにあたって意識したのは、私のこれまでの思い出の品を大切にしまってある「宝物ボックス」。その中にある宝物のひとつ、私が4歳の時に初めてのバレエの発表会で履いたバレエシューズの目線で歌詞を書きました。宝箱にしまわれてずっと出されない気持ちを、恋愛の要素に置き換えて、共感していただきやすいようにしています。私は新しいものに興味を示すタイプなのですが、過去の楽しい思い出や大変なことも忘れたくない。そういう思いを込めて作った楽曲になります。
──ちなみにバレエに打ち込んでいた頃の青山さんは、どんな子供だったのですか?
とにかくバレエが大好きで、学校から家に帰ったらすぐバレエのレッスンに行く日々を送っていました。それこそプロになりたかったのですが、ただ、私は身長が低いので、子供の時点でそもそもバレリーナに向いていなかったんですよね。男性とペアで踊る演目の場合、相手と身長差があると役をもらえないという現実を小学生の時に知ってしまって。筋肉が付くと身長が伸びにくくなるので、私だけ筋トレはやらすに身長を伸ばすことを優先するよう言われていたのですが、結局あまり伸びず。バレエは好きだけど、早い段階でバレリーナになるのは無理だと自覚していたので、その想いを口に出したこともなかったです。だから、もう次の道を探そうと思って。

──それでバレーボールに転向したと。
多分もうやりきった気持ちが大きかったんだと思います。趣味として続けていくのもいいけど、4歳の頃から十数年クラシックバレエ漬けの生活をしてきたので、何か新しいことを始めたい。新しいことに挑戦して、自分の世界を広げてみるのもいいかなと思って。
──前向きに考える力がすごいですね。青山さんはポジティブかネガティブで言えば、どちらのタイプですか?
ポジティブだと思います。ポジティブに置き換えるのが得意なタイプで、ネガティブな面が出ても1日で終わらせるっていう。私はストレスに弱いので、ネガティブなままだと体調を崩してしまうんです。それは小さい頃からわかっていたので、「無理かも……」ってなった時も「じゃあここから上がるにはどうしたらいいか?」ということを前向きに考えるように頑張っていました。
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