INIのボーカルメンバーがオリジナル曲リリースで得た学びとは
「2人とも、しがみついてでも届けたい歌がある」尾崎匠海×藤牧京介が“おざまき”活動に賭けた夢
2025.09.07 17:00
2025.09.07 17:00
2人で意見を言い合いながら歌詞を作るのは楽しかった
──「Unrequited Love」はドラマのように情景が浮かぶ曲ですよね。もしお2人がこの曲の主人公のように「自分じゃない人を好きな人に恋をして、見守ることしかできない」という片思いをしたらどうしますか。切なすぎませんか、彼は?
尾崎 僕だったらどうするんだろうな。でも、届かなくても手に入れたいですよね。
藤牧 僕は……、こういう思いはしたくないな。自分のことを好きではない人は、追わないですね。
──追われたい派なんですね。
藤牧 その分、与えてくれたものは全力で返しますよ。
尾崎 京介はこの曲でいうと、主人公が好きな人が好きな人だ(笑)。
藤牧 あ~(笑)、そっちか! でも、誰も報われないんですよ、この曲では。いろいろ想像がふくらむのもこの曲の素晴らしさですよね。こういう切なさを歌詞で伝えられる曲は今までなかったから、新鮮です。
尾崎 僕、こんな思いしたことないかも。
藤牧 僕は、全然ありますよ。国宝級イケメンは自分が追ったらすぐ手に入っちゃうから、「追う」とか言えるんだよ!(笑)
尾崎 違う、違う、違う。僕だって、失恋したことあるよ。

──人は傷つかないと優しくなれませんから、失恋も大事な経験ですよ。
藤牧 そうそう、人生は深いんだよ。
──もう1曲の「プロポーズ」は、お2人で作詞をされていますが、どのように作っていたのでしょう。
藤牧 「Unrequited Love」は片思いがテーマだったので、もう1曲は、隠さずストレートに気持ちを伝える方向性にしたかったんです。
尾崎 最初に話し合ったのは、「僕たちは歌で伝えているから、音符や音楽にまつわるフレーズを入れたいね」ということでした。あの話をしたのって、飛行機の中だっけ?
藤牧 空港ね。
尾崎 そうだ。空港でその話をして、飛行機の隣の席で考えて。
藤牧 いろいろ変わっていったよね。完成作には「愛してる」というストレートな言葉があるけれど、最初はもっと日常的なニュアンスで進めていて、「なんか違うかも」となって。
尾崎 それで、最後の最後にガラッと変わって。
藤牧 そうそう。「シンプルに行こう」という方針に変わって、ストレートな言葉を入れるようになったんです。
──そうなんですね! どういう分担になっているのですか。
尾崎 AメロとBメロが僕で、サビを京介が書きました。サビが与えるインパクトって重要じゃないですか。「シンプルに、ストレートに」という方針になって、サビの歌詞を「想うように 想うように」、「願うように 願うように」とフレーズを2回続ける手法にしたのですが、あれ、効いてるよね。ぜんぜんくどくないし、より想いが伝わる気がします。勉強になりました。
藤牧 最初は「想うように 届くように」だったんです。でも、「想うように 想うように」の方がわかりやすいなと思って。
── 一緒に話し合いながら書いていったのですか。
藤牧 いえ、「別々に書き上げよう」と始めて、途中経過を確認したら、匠海は冒頭が出来ていてサビができていなくて、僕はサビだけができていたんです。「じゃあ、2つを合わせよう」ということになった(笑)。
尾崎 新しい挑戦でしたね。それぞれ自分ひとりでの作詞はしたことあるけれど、2人で意見を言い合いながら作るというのは初めてだったので、楽しかったですね。
──お互いの歌詞を見て、そこからインスパイアされるものもあったんでしょうね。
尾崎 そうですね。京介のサビがあったから、「夢の 続きを」という最後に繋がるフレーズが思い浮かんだり。2人で共作したからこそ出てきた言葉も多いですね。
──タイトルの「プロポーズ」は、最初からあったテーマなのでしょうか。
藤牧 最後に決めました。2人で作ったストーリーを見て、「これは、プロポーズだね」って。
──歌詞と曲は、どちらが先にあったのですか。
藤牧 曲が先です。
──多田慎也さんに作曲を依頼したのはなぜですか。
藤牧 2人とも学生の頃から嵐さんが大好きだったし、ほかの方に提供している曲も好きな曲が多くて。つまり、「多田さんの曲、みんなも絶対好きでしょ!」ということになって(笑)。たくさんの人に届けたいから曲は多田さんにお願いして、歌詞は「自分たちでやろう!」となりました。

──じゃあ、曲を聞きながら歌詞を書いたんですね。
尾崎 そうですね。シンセで入っているメロディーを聞きながら。
藤牧 匠海が、そのメロディーをけっこう変えるんですよ。
尾崎 ははは(笑)。
藤牧 僕はメロディーに歌詞をカチッとはめ込んでいたのに、匠海は自分の歌詞に合わせてメロディーを変えちゃって。
尾崎 すみません、やっちゃいました(笑)。
藤牧 いや~、びっくりしましたよ(笑)。多田さんが、レコーディングでディレクションをしてくださったのですが、すごく優しくて、匠海の変えたメロディーを「それでいきましょう」と言ってくださったのでよかったよ。
──レコーディングは順調に?
尾崎 すんなりはいったけれど、すごく難しかったです。キーがものすごく高いので。
藤牧 そう。「なんでこんなに高いの?」と何度も思った。2曲とも高いんです。
尾崎 サビはユニゾンで支え合っているけれど、それでもきつかった。練習しないと(笑)。
──作曲家の方たちは、2人の高音が素敵だと思っているということなのでは?
尾崎 そうなんですかね……。それにしても、びっくりするほど高かったです。
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