今の自分の“顔”をどう思う?最新主演映画では孤独な青年役に
「この仕事は、終わりがあるから美しい」青木柚を成長させる一期一会、今年向き合った変化とは
2025.09.07 13:30
2025.09.07 13:30
ウジウジしているだけの自分を見せたくない
──本作のキャッチコピーは、「ずっと一人だった」。これは聡太郎自身の心情でもありますが、青木さん自身もそんなふうに感じることはありますか。
感じるほうだと思います。周りの人ともいい関係を築けているとは思うので、常に孤独を感じるとかではないですけど、いい意味で結局一人だなってずっと思っていて。それをネガティブに捉えすぎず、一人でも楽しめるユーモアを持っていたいなって。

──そう思うのは、本質的な部分で人と人は理解し合えないみたいな、あきらめを持っているからですか。
自分でも自分のことがわからないのに、他人とわかり合えるかなっていう考えがベースとしてあります。だからと言って人を拒絶しすぎるのはあまり良くないんじゃないかとも思っていて。こういう自分を必要としてくれる友達がちゃんといて、その人たちのことを信じられなくなったら、自分は本当の意味で独りになる。一人だなと感じることと、本当に独りぼっちになってしまうことは全然違うなって思います。
──自分がすごくしんどいときに、夜中の2時でも友達を呼び出せる人ですか。
いや、呼び出せないですね。でも呼び出されたら行きます。
──人のSOSには敏感だけど、自分のSOSは出せないんですね。
たぶんウジウジしているだけの自分を見せたくないんです。時間を無駄にさせちゃってごめんねって思っちゃう。だから、本当に仲良い人とお茶するときも、自分の最近の悩みとか考えていることを言うし、聞いてもらうんですけど、帰り道とかで気を遣わせちゃったなって思って、つい変なことしてふざけたくなる。ネガティブな空気のまま別れたら次に会いたくなくなるだろうなとか考えちゃいます。

──そんな青木さんが思う、一人でも楽しめるユーモアってどういうものですか。
何か没頭できるものがあるってことかな。それこそ空想とか? 今はもうさすがにやらないですけど、昔は夜一人で帰るときにMVごっことかしてました。頭の中でいろんなところにカメラを置いて、今ここは引きの画で撮ったほうがいいなとか、聴いてる曲に合わせて勝手に編集してるんです。そういうことをやってると、一人だけどめっちゃ楽しい。街でもたまにいるじゃないですか、振りを抑えられていない人が。今、絶対K-POP聴いてるな、とか、それHANAじゃん、っていうのが見ててわかる人が(笑)。
──いますね(笑)。
そういう人を見るとうれしくなります。どうぞそのまま帰ってください、みたいな。やめる必要はないぞ、俺は応援してるぞって心の中でめっちゃペンライト振ってるんですけど(笑)。
──青木さん自身も振りが漏れてないですか。
漏れてますね。足とかめっちゃ動いちゃう(笑)。
──今日は何を聴いてきました?
それこそHANAの新曲を聴いてきました。スニーカーがこうなってました(と、振り付けをちょっと真似する)。
──普段からトレンドの曲は積極的に仕入れるタイプですか。
最近の曲に関しては人とカラオケに行ったときに、今はこれが流行っているのか!と把握しています。幅広いジャンルを聴く方ではあると思います。

──この『天使の集まる島 』はいつか出会うべき人に出会う前の聡太郎の物語だと言えます。青木さんにとって、出会うべくして出会った人は誰ですか。
誰だろうな。出会った人みんなそうだと思うんですけど、今の自分につながっているという意味では小学校のときの担任の先生ですね。
──その先生が思い浮かんだ理由はなんですか。
ちょうど自分がこの仕事を始めたときに受け持ってくれた先生で。いわゆる普通の学校で自分だけ芸能活動という、人とは違う仕事をするって結構向かい風があるものなんですけど、僕が仕事を始めると決まったときに、先生がみんなの前で「これから青木くんがこういうお仕事をするから、みんなでサポートしてあげてください」って大々的に説明してくれたんですよ。おかげで自然とみんなが僕のやってることを受け入れてくれて。まだそんなに仕事をしていなかったのもありますが、誰かから変なことを言われることもなく小中と過ごせたのは、すごくありがたかったなって。
──最初に先生が環境設定をしてくれたというのは大きいですね。
今も僕が何か作品に出てると、小学校の同級生からメッセージを貰うんですけど、そういうつながりをつくれたのも先生のおかげだなって。先生とも年賀状をやってた頃は母親を通じて年賀状のやりとりをさせていただいて。今はメールになりましたけど、「これ、観ました」って連絡をいただきます。
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