初主演映画『蔵のある街』がくれた自信、飾らない素顔に迫る
あきらめ癖は俳優としての“切り替え力”に、20歳の実力派・山時聡真を成長させる向上心
2025.08.25 18:00
2025.08.25 18:00
坂元愛登くんがライバル心に火をつけた
──本作は、故郷の素晴らしさを実感させてくれる映画でもあります。山時さんは東京育ちなので、逆に故郷がある人に対して羨ましさを感じるところってありますか。
ありますね。みんな、上京エピソードがあるじゃないですか。あれがすごく羨ましくて。大学にも上京組が結構いるので、ひとり暮らしの話を聞くと羨ましいなと思うし、親元を離れて自立している子はすごいなと思います。
──山時さんにとって、故郷や地元ってどんなものですか。
自分が生まれた街からはもう引っ越してしまったんですけど、今でも時々行くことがあります。幼稚園の雰囲気とか、なんとなく記憶には残っていて。当時の友達ともたまに会います。年齢的にも20歳になったので、やっと飲めるようになりまして。小さい頃から知っている友達と一緒にお酒を飲んでいるときは、いつの間にか大人になったんだなって、お互いの成長を実感しました。

──山時さんは今年の6月6日に20歳の誕生日を迎えました。20歳の初乾杯は誰としましたか。
いちばん仲の良い友達としました。
──いいですね。お酒はいけるクチですか。
比較対象があまりいないので、まだちょっとわからないですけど、周りの人から聞いたところによると、全然飲めるほうみたいです。
──ご家族とはいかがですか。20歳を機に、改めて伝えたことはありますか。
先日、父と二人で家で飲みました。あんなこともあったねって、子どもの頃の話をしているときは、自分もちょっと大人になったなと思いました。父も結構酔っていたので、「今後どういう作品をやっていきたんだ」と取材みたいな感じでいろいろ聞かれたんです。そのときに、これからの抱負を話したりもしました。
──ちなみにどんな抱負を?
25歳から一気に加速したいなと。もちろん今からどんどん加速していきたいんですけど、25歳のタイミングでまた一つギアを上げられたらいいなという気持ちがあります。舞台をやってみるとか、海外に行ってみるとか、どういう内容かはまだ全然わからないですけど、25歳で何か大きなことを成し遂げられたらいいなって。
──山時さんといえば、やっぱり『君たちはどう生きるか』を思い出す人も多いと思っていて。あれから2年経ちますが、この2年はご自身にとってどんなものになりましたか。
本当にいろんな作品に出させてもらいました。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』や、最近だったら『ちはやふる-めぐり-』など、同世代の役者と一緒に芝居をする機会も増えたし、いろんな人と仲良くなるきっかけをもらえた2年間でした。あと『民王R』では公安の役をやらせていただいて、そんなふうに今までにない役をいただけるようになったのもうれしかったです。

──同世代の仲間とお芝居をするのと、年上の先輩方に揉まれながらお芝居をするのと、どちらがより刺激を受けますか。
今は同世代かもしれないです。最近すごいなと思う年下の子が増えてきて。焦る気持ちもありますし、負けてられないぞとライバル心に火がつくこともあります。自分の向上心を加速させてくれるという意味では、同世代の存在は大きいです。
──ちなみに、それは誰のことですか。
『ちはやふる-めぐり-』で共演した坂元愛登くんですね。学年で言うと僕の3つ下なんですけど、芝居に対して熱心で、役づくりが半端じゃないんです。自分の役に合った香水をつくったり、その役の人物がよく使っている道具を自分で買って普段から使うようにしていたり、細かいところまでこだわってやっていて。こんな16歳がいるんだって、ちょっと焦りました。愛登くんがここからさらにどう成長していくのかすごく楽しみですし、いつか二人でダブル主演などさせていただく機会をもてたらいいなと、ひそかに夢見ています。
──じゃあ、そんなすごい同世代に対して、これだけは負けないと思える山時さんの強みはなんでしょうか。
切り替えです! 僕、普段が明るすぎて、よく何も考えていないように見られがちなんですけど、撮影に入るとパッと切り替わるんです。マネージャーさんからも「人が変わったみたいだった」とよく言われます。
──さすが、一夜漬けが得意な短期集中型だけありますね(笑)。
そうなんです(笑)。そこは強みだと思うので、これからも大切にしていきたいです。

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