日本のロックを牽引する存在となった4人の進化と変化に迫る
go!go!vanillasが新曲で追い求めた抜きの美学、彼らはなぜ常に“最高”を叩き出せるのか?
2025.08.05 18:00
2025.08.05 18:00
この曲はまた違う世界から来た民って感じ
──この楽曲について、個々のプレイについてもお話を聞いていきたいんですけども。まずはセイヤくんのビート、もう繊細なハットワークで。
セイヤ お、まさにそこなんです。
──いや本当に、ある意味ジェットセイヤのギャップ萌えが。
全員 (笑)
セイヤ そうっすね(笑)。デモって基本的に打ち込みの音源で来るんですけど、やっぱ人間味を入れたくて。歌詞も人間味あるし。そこをどう表現しようかみたいな、超シンプルじゃないですか16の。でもハットワークの不規則な感じというか、歌詞とリンクさせてるみたいなとこは一番俺が聴いてほしいところですね。あとはもう本当にモダンな雰囲気もあり、フィルはシンプルに、歌詞とメロディーを引き立たせる感じになっております。

──こういう「チキチキ、タキチキ」みたいなのとガシガシいくのと、両方楽しめるようになってきた感覚もあります?
セイヤ けっこう前からあります。
──そこがあるのはやっぱり強い。
セイヤ そうですね。ファンクとか、そっちの要素の曲も昔からあるんで、プレイヤーとしてはその応用というか。
──ベースは逆に一定のビートを縫ったり止めたり、指板の移動もかなりありつつで。そこが個人的にたまらなかったんですけど、どうですか。プレイに込めた思いは?
プリティ 全体で大きくリズムを取って、広い目線を持つっていうのが大事だなって今回凄く思いましたね。そのためにも「脱力」って凄く大事で。脱力しつつ、しっかりリズムを自分の中に流すっていうのを意識しました。

──ギターに関しては、フレーズをギター以外に置き換える作業を楽しみながらやったのかな? と思いました。
柳沢 トランペットとシンセがメインテーマっていう感じになってますね。
──これは2人(牧&柳沢)でやったの?
牧 基本僕が入れたものですね。さっき言ってたドラムのファンクのクラシックなビートのテンポもそうなんですが、昔のギタリストって基本的にリズムなんですよ。メインのテーマをラッパが吹いたりするっていうファンクのベーシックなスタイルで、それをやりたいと思って。 今回バッキングコードみたいなのも入れてないんです。基本的にサビとかで広い白玉みたいなのは弾いてますけど、僕もギター弾いてないし、よりリズムを際立たせるって部分で、ベースもけっこう低いローとか出したりしてサステインが伸びる感じにしたので。
だから縦のリズムをドラムと親和性高くやるっていうのは、ギターに任せようと思って。なのでデモ段階ではギターのフレーズも、アンプシミュレーターでベースアンプに音を入れてたんですよ。リズムを重視してよりボトムがある音にしようっていう、パッドに近い使い方というか、ドラム・ベース・ギターの3つで1個のリズムが生まれる集合体みたいな感じにしてます。みんなが役割分担するんじゃなくて、1つに完結するように。
──あまりにもイントロの「トゥクトゥク」のハモリとフレーズが気持ちいいから、てっきりあのリフで引っ張ってくるもんかと思いきや。
柳沢 そこしかない(笑)。
牧 最初しか出ない(笑)。
──でもそういう慈恵的なプレイみたいなものは、進太郎くんも凄い楽しくやるタイプ?
柳沢 そうですね。というかどっちかと言うとコードプレイの方が得意なんで(笑)。あとドラム叩くのも好きだから、そういうチキチキしたカッティングプレイみたいなのは昔からめちゃめちゃ好きで。最初にデモが届いた時に「ギター入ってるところ以外は任せる」みたいな連絡が来たんですけど、ほぼ入れなかったですね。抜いて完成してる状態だったんで、「いるか?」ってなったのが正直なところで、シンセとかと溶け込んで1つの音色になるみたいなのを意識しました。サビとか「音どれだっけこれ? 俺何やったんだっけ?」ってくらい溶け込んでるから、コードとか忘れたらコピーするのやばいかもしれない(笑)。
だからライブでの表現はムズいなって思うところですね。『Lab.』の曲も今までと違うアプローチが多かったんで、どうやってやろうかなみたいなのあったんですけど、この曲はまた違う世界から来た民って感じなので、ライブで今やってる楽曲たちと横並びにしたときにどうやるのがベストなんだろうっていうのを考えながらやっていかないとなって思いますね。

──デモに対するアプローチ、曲に対するアプローチの話をそれぞれ聞いてみたらみんな楽しそうで、ちゃんとやりたいことをしっかり入れ込めてるっていうのが伝わってきます。
柳沢 一番最後にちょっとネオソウルの、インスタでよく見るギター1人でコードワーク弾いて上げてる人のコードっぽいのを入れたくて。そこは作って入れさせてもらって。
牧 あ、ラストね。
柳沢 そうそうそう。これまでの曲はリフ終わりみたいなのが多かったから、最後ああいう、しっぽり終わるみたいなのはあんまりなかった感じがして、凄く新鮮で楽しかったです。
──曲をリピートしたら、そのしっぽり終わりからかなりイントロが不穏な感じに聴こえるっていう印象もあるよね。これは意図して? 入り口と出口が全然違うっていう。
牧 それは意識しました。『SAKAMOTO DAYS』の世界観がまさに日常と狂気のグラデーションだと思って。
──なるほど。そこはリピート聴きして気づいたところだったから、ぜひリピートで聴いてみていただきたい。
柳沢 無限リピート系ですよね。ずっと続いていって。
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