30年後、吉田羊が語る“あの夏に隠された切なすぎる真実”とは
戦後長崎で広瀬すず、二階堂ふみ、松下洸平らの感情が交錯する『遠い山なみの光』本予告解禁
2025.07.16 07:00
©︎2025 A Pale View of Hills Film Partners
2025.07.16 07:00
9月5日(金)より全国公開される映画『遠い山なみの光』のメインビジュアルと予告編が解禁された。
原作は1989年にイギリス最高の文学賞であるブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞し、二つの世紀を代表する小説家となったカズオ・イシグロの鮮烈な長編デビュー作。監督は『ある男』(22)で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞含む最多8部門受賞をした石川慶が務め、1950年代長崎と1980年代イギリスに生きる3人の女たちの知られざる真実を描く。
日本人の母とイギリス人の父を持ち、大学を中退して作家を目指すニキは、長崎で原爆を経験した後イギリスへ渡った母・悦子の半生を作品にしたいと考える。娘に乞われ、ずっと口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子。それは30年前、戦後間もない長崎で出会った佐知子という女性と、その幼い娘と過ごしたひと夏の思い出だった。しかし、ニキは次第にその物語の食い違いに気づき始める。
長崎の悦子には広瀬すず、佐知子に二階堂ふみ、イギリス時代の悦子に吉田羊、ニキにはオーディションで選ばれたカミラ・アイコ、さらに悦子の夫に松下洸平、その父親に三浦友和と日英映画界の至宝キャストが集結。そのほか日本パートには柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜が出演し、豪華実力派キャスト物語を彩る。
解禁となったのは、本作に登場する3人の女たちが印象的なメインビジュアル。長崎の山なみを背に凛とした表情でこちらを見る悦子(広瀬すず)、ミステリアスな佇まいの佐知子(二階堂ふみ)、30年後にイギリスで暮らしている悦子(吉田羊)が幻想的な美しさで迫るビジュアルとなっている。
併せて解禁された予告編は、本作の原作者カズオ・イシグロの「人間ははね、ときに他人を欺くためではなく、自分を騙し、困難な真実から目を背けるために嘘をつくんですよ。」という一節から始まる。
1980年代、イギリスに暮らす悦子(吉田羊)は、娘のニキ(カミラ・アイコ)に「ここへ来る前の話を聞かせて、長崎のこと」と問いかけられる。過去へ思いを馳せる悦子の顔が、30年前に長崎で暮らしていた頃と重なっていく。「あんときは、1人で立ってられんかったんです」と戦争直後を振り返る悦子(広瀬すず)。そして佐知子(二階堂ふみ)は「あの辺は原爆でなにもかもふっとんじゃったから、しばらくは本当に大変だった」と凛とした強さで語る。悦子のお腹の子を心配し「君があの日、被爆せんやったとは、本当に良かった」と愛情を見せる夫・二郎(松下洸平)のセリフが続き、二郎の父・緒方(三浦友和)からは「二郎はあんたには優しかね?」と温かい言葉を投げかけられる。長崎の記憶を語る悦子は「素敵な思い出よ」とつぶやくが、そんな母に対してニキは「嘘」と言い放つ。
そこから画面は一転、「私がついた嘘」という文字と共に、鋭い表情の悦子と「私、佐知子さんに言っとらんことのあると」という言葉が重なる。「きみにも、もう少し母親らしく振舞ってもらいたかよ」と言葉をぶつける二郎に対し、「母親らしく振舞うって何?」と静かに問いかけ、自由奔放に人生を謳歌する佐知子を意味ありげな視線で見つめる悦子。最後につぶやく「大丈夫ね、希望があるとやもん」という一言に込められた強い想いとは。