2025.04.02 18:00
2025.04.02 18:00
俳優は、時に日常では決して体感し得ることのない感情をその身に宿らせなければいけない。狂気の淵に立たされたとき、演じる俳優はどんな境地にあるのだろうか。
ディズニープラス スターにて独占配信中の『ガンニバル』。待望の続編であり完結編となるシーズン2で明かされるのは、「人を喰っている」と囁かれる供花村の秘密だ。はたして供花村の過去に何があったのか。その真実に辿り着いたとき、誰もが人間の醜さと欲深さに戦慄するだろう。
忌まわしき過去の中心に立つのが、若き日の後藤銀と神山正宗。物語の鍵を握る重要人物を恒松祐里と倉悠貴が演じる。その二人に、狂気と向き合った日々を振り返ってもらった。
ロック画面を開くたびに「村人め〜!」みたいな気持ちになりました
──本作の根幹を担う供花村と後藤家の呪いについて、お二人はどんなことを感じましたか。
恒松 親が嫌っているからとか、昔から後藤家に逆らってはいけないと言われているからとか、自分ではよくわからない理由で後藤家に対する憎しみの連鎖が生まれていることが怖いなと思いました。その理由がわかるのがこのシーズン2。恵介たちがこの呪いにどう区切りをつけるかに注目していただきたいです。
倉 (恒松を見て頷いて)その通りです。
──回答を省エネしないでください(笑)。
恒松 あはは。
倉 いや、でも本当にその通りで。村社会って日本独自のものだなと思っていて。この『ガンニバル』は、侍とか武士とか、海外の方が持っている日本のイメージを塗り替える作品になっているんじゃないかなと思います。

──自分たちの作品が世界に見てもらえるという喜びは大きいですよね。
恒松 日本人にしか描けない世界観とか、日本語ならではの言葉の表現があると思うんですけど、それに対して海外の方が感動してくださるとすごくうれしいですし、いち役者としてそういう作品に今後もどんどん出ていきたいなという思いはありますね。
倉 『ガンニバル』は世界を狙える高水準の作品だと思っています。そんなクオリティの高い作品に出られたこと自体が光栄ですし、(監督の)片山(慎三)さんも「韓国に負けじと頑張っていかなきゃ」とおっしゃっていたので、僕も精進していきたいです。
──ちなみに、お二人は供花村に住めますか。
恒松 いや〜(笑)。そもそも私は都会っ子なので。車生活できけるかなっていう(笑)。
倉 今回、供花村のロケ地として使わせてもらったのが、兵庫県の養父という地域なんですけど、大変でしたよね。
恒松 大変だったよー。
倉 コンビニが近くに1軒しかないんです。
恒松 泊まっていたホテルは湯船がなくてシャワーだけで。
倉 都会に慣れてると、なかなか生活するのは大変な気がします。

──今回、お二人は銀と正宗というキーパーソンの若かりし頃を演じました。
恒松 銀は、お母さんが自分を産んだときに亡くなってしまって。誰も味方がいないまま、女の武器を使って生き延びてきた女性。ドラマでは描き切れなかった壮絶な生涯が原作の漫画で細かく描かれていたので、銀を理解するためにも、とにかく漫画を何度も読み深めました。その中で核になってくるのが、村への復讐心。その気持ちをちゃんとつくっていこうと思って、漫画の中で銀が村の人から肥料用の排泄物を浴びせられる場面があるのですが、そのコマを撮影中はずっと自分のケータイのロック画面にしていました。
──あそこはすごく胸が悪くなる描写ですよね。
恒松 またそのときの村人の顔がすごい笑顔なんですよ。その表情で、銀を同じ人間と思っていないことがわかるというか。撮影が半年に渡ったので、半年間、ずっとロック画面がその場面だったのですが、ケータイを開くたびに「うわ! 村人め〜!」みたいな気持ちになりました(笑)。
倉 僕もまず漫画を読んで自分の中でイメージを膨らませていったんですよ。実直で素直な人物に見せたほうが狂気的に見えるかなと思ってやってみたら、現場で違うことを言われて(笑)。狂気の種類が何パターンかほしかったみたいで。インして3日目に、御神体の間で銀さんと再会する場面を撮ったんですけど、監督から「この砂を銀さんだと思ってくれんか」と言われました(笑)。
恒松 そんなこと言われてたんだ(笑)。
倉 言われた、「もっと艶かしく」って。

──漫画では銀さんの狂気の笑みが印象深く描かれていましたが、そのあたりの再現についてはいかがですか。
恒松 漫画では、正宗の見えないところで銀がニヤッと笑みを浮かべるのですが、ドラマでは生身の人間がやるということもあって、監督と相談してあえてちょっと弱めてみたんですね。というのも、銀の中にはもしかしたらラブの気持ちもどこかにあったんじゃないかという気がして。ずっと味方がいなかったところに、こんなにも慕ってくれる人が現れたら、そういう気持ちが生まれても不思議ではないと思ったんです。なので、どっちにも見えるような表現をしたいなと思いました。

──確かに。銀と正宗の間に生まれた感情というのは、愛なのかなんなのか解釈が分かれるところです。
倉 最初はラブでしたけどね。
恒松 正宗はずっとラブだったんじゃない?
倉 池で会ったところは銀さんとも本心で話せているような感じがありました。この二人っていろいろ話はしているけど、ずっと噛み合っていないんですよね。ずっとちゃんと会話できていない感覚がある中で、そんなふうにちゃんと話ができた瞬間が2〜3回あって、たぶんそのときは銀も本心だったんじゃないかな。
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