2025.02.13 18:00
2025.02.13 18:00
映画『遺書、公開。』のリレーインタビュー第4弾は、髙石あかりが登場。序列3位、自殺した姫山椿の親友である御門凛奈を演じている。
その強烈な存在感は、共演者もこぞって彼女の名前を挙げるほど。若手俳優が火花を散らし合う本作で、さらなるスパークを誘発する火薬庫の役割を果たしている。
そんな髙石の素顔はというと、“裏の顔”なんてまるで感じさせない真面目で謙虚な努力家。2025年のエンタメの中心に立つであろう22歳の「今」に迫る。
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悔しさは自分に向くだけで、人には向かない
──Bezzyでは映画『遺書、公開。』のキャストの皆さんにリレーインタビューを行っていまして。先にお話を聞いた松井さんが、髙石さんのことをキレる演技“1位”と絶賛されていました。
私自身は普段怒りという感情が少ないタイプなんです。だから今回、こんなにたくさんの怒りを生み出すことができて楽しかったです。
──あれだけの感情を放出するのは難しかったと思うのですが、撮影ではスムーズに役に入ることができましたか。
私の中で「アクション!」という掛け声とカチンコの音がスイッチになっていて。そこで景色がガラッと変わって、オフのときとオンのときとでは教室の皆さんの見え方も全然違ってくるんです。なので、そのあたりの切り替えはわりとスムーズだったかなと思います。
──集中を高めるための本番前のルーティンがあったりするんですか。
いえ、むしろ本番前はどれだけ素でいられるかを大事にしています。今回は特に怒りのお芝居が多かったので、それ以外の時間はあえてみんなといっぱいしゃべって、楽しいという感情を増やせるように意識していました。
──普段怒りが少ないとおっしゃっていましたが、喜怒哀楽でいちばん多いのはどれですか。
楽しいがいちばんですね。その次が喜。怒と哀はあんまりないかもしれないです。周りからも楽観的と言われることが多くて。もちろんネガティブな感情がないわけではないんですけど、たぶん自分でも気づかないうちにそれを楽しいに変換しているんだと思います。
──ということは、役で怒と哀を表現するときも自分の中にある感情や経験した出来事をベースにしているわけではない?
ではないと思います。基本的に、役と自分は別個の人間だと考えていて。その役の感情について考えるときも、自分に置き換えるのではなく、あくまでこの役だったら……というところからイメージしています。
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──映画の中で描かれるように、友達同士といえども嫉妬や劣等感に苛まされることはあると思うんですね。ネガティブな感情が少ない髙石さんですが、友達に対してそういう気持ちを抱くことは?
ないです。
──本当に……?
あはは。基本的に「自分とは違う人だから」って考えちゃうんですよね。だから、あんまり他人に感情のベクトルが向かないんです。ベクトルが向くのは自分自身。たとえば悔しいと思うことはもちろんあります。でもその悔しさは、できなかった自分とか、思うものが出せなかった自分に向くだけで、人に向くことがないんです。
今回も、同世代の俳優の皆さんと一緒にお芝居をしましたが、どの役もその人が演じるからそういうキャラクターになるわけで、私が演じたとしても絶対に同じにならない。自分とまったく違うお芝居が見られるって、もうそれだけで何をやっても面白いんです。そこに負の感情はまったくなくて。皆さんのお芝居が素晴らしすぎたのもありますが、どうやったら私はこれを吸収できるだろうって、そっちに必死で。本当に贅沢な経験をさせてもらいました。
──羨ましいとか、どうしてあの子ばっかりみたいな気持ちにならないんですね。
どうしてあの子ばっかり、みたいなのはないですけど、羨ましいとは思いますよ。すごいお芝居を喰らって、自分もあんなふうになりたいと思う気持ちは全然あります。でもそれはあくまで自分に対する刺激で、嫉妬とはまた別物かなという気がします。
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