Bezzy[ベジー]|アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

INTERVIEW

舞台『まつとおね』に懸ける想い、二人の友情に感じたことは

「正解がないことだから、考え続けたい」蓮佛美沙子が信じるエンターテインメントの持つ力

2025.01.29 18:00

2025.01.29 18:00

全ての画像・動画を見る(全16点)

推しは、わーちゃんという3歳の男の子です

──『まつとおね』の能登地震の復興祈念公演ですが、そこに対する葛藤もあったと公式のインタビューでおっしゃっていましたね。

葛藤は正直今でもあります。私たちが演劇をすることで、復興がまだ進んでいない地域の方に嫌な思いをさせてしまうかもしれない、とも思いますし。ただ、それでもエンターテインメントが生きる活力になっているとおっしゃってくださる方もいらっしゃって。能登地震とはまた別の災害を経験された方にご意見を伺ったとき、その方は何も楽しみがない避難所生活で、ドラマを観る時間が唯一幸せな時間だったとおっしゃっていたんですね。綺麗事かもしれませんが、私はそのどちらの声も置いてきぼりにすることはしたくないと思っていて。復興が進んでいない地域には物理的な支援を続けつつ、その上で、生きる活力になると言ってくださる方が一人でもいるならば、そこに懸けたいという想いです。

──演劇をすることに否定的な人たちの気持ちも置いてきぼりにしたくないという姿勢に、蓮佛さんのお人柄を感じます。

こういうことって、たぶん正解はないと思うんです。だからこそ、自分たちに何ができるか考え続けていきたい。この作品をきっかけに県外から足を運んでくださる方がいるなら、それも復興の一つの力になるかもしれないし。今話している考えも、あくまで現時点での途中経過。やっていく中で気持ちが変わっていくこともあると思うので、とにかくそのときそのときで誠実に能登という土地と向き合っていきたいです。

──蓮佛さんもエンターテインメントに心を救われた経験はありますか。

あります。それこそ今撮っているドラマがそうで。準備稿を読んで、すごく泣きました。

──『バニラな毎日』(NHK総合)ですか。

そうですそうです。特に後半の流れが自分と重なるというか。こういう想いをしているのは自分だけじゃないんだなって。自分が演じる役の設定に救われたのは、今回が初めてでしたね。

あと、過去に恋愛をして、すごく傷ついたときに『君の名前で僕を呼んで』を観て救われたこともありました。ラストのお父さんの台詞がすごく好きで。エンタメって、自分の世界が広がるから。ハッピーなものを見たらハッピーな気分になれるし、シリアスなものを見たら辛かったのは自分だけじゃなかったと思えたりする。どちらかと言うと、落ち込んでいるときにエンタメを見て救われることが多いです。

──ここからは蓮佛さんの横顔がわかる質問をいくつかさせてください。最近、プライベートで新しく始めたことはありますか。

すごく地味なんですけど、メイク前にパックをするようになりました(笑)。乾燥肌である自覚はあったんですけど、化粧品でそんなに変わらないでしょと思っていたんです。クリームも塗ってるし、これでダメなんだからそういう人なんだとあきらめていたんですけど、今やってるドラマのメイクさんがいろんな提案をしてくださる方で。やってみたら、すごくメイクノリが良くなりました。こんなに変わるんだっていう発見が面白くて、やっぱり目に見えて変化があると楽しいですね。すみません、地味な答えで(笑)。

──国内で、まだ行ったことはないけど行ってみたいところはありますか。

岡山に「Setorini Bizen(セトリーニビゼン)」というリゾート施設があって、7月にオープンしたばかりなんですけど、海に面した素敵な場所にあって、雰囲気も海外みたいで。地元の鳥取からだと車で3時間くらいなので、いつか家族で行ってみたいです。

──最近、人に言われてうれしかった言葉はありますか。

友達がすごく悩んでいて、電話で話を聞いていたら、友達から「話せてよかった。元気が出た」と言ってもらえて。シンプルな言葉ですが、そんなふうに言ってもらえるのはうれしかったですね。

──推している存在はいますか。

実はいます!! この1〜2年、すごく推しているというか、大好きで大好きでたまらないのが、わーちゃんという3歳の男の子で。InstagramとTikTokと、あとYouTubeもやってるんですけど、もう可愛いんです! ぜひ見てほしい。(と言って、スマホを取り出し、お気に入りの動画を探す)パパさんが毎日夜の7時に更新してくれるので、その更新が私の楽しみになっています。(動画を見せて)可愛くないですか?

──本当だ(笑)。素朴な感じがしていいですね。

すごくひょうきんな男の子で、そのユーモアが素敵だなって。よくご家族で旅行に行ってるので、そのYouTubeとかも観ています。

──気持ちが沈みそうなときの立て直し方ってありますか。

私は紙に書きます。自分が何にモヤモヤしたり腹が立っているのかわからないことがあるから、そういうときは紙に書いて言語化します。気持ちの正体がわかったら、どうすればいいか対策を立てられるじゃないですか。なので、心の整理のために紙に書くか、あとは友達に話を聞いてもらいます。

──では最後の質問です。自分らしく生きるためのマイルールはなんですか。

この1〜2年のマイルールなんですけど、「努力より脱力」です。いまだに意識しないと、すぐ頑張っちゃうタイプで。力の抜き方がわからなくて、瞑想とかしてみても煩悩が邪魔して邪魔してしょうがないんですよ(笑)。でも、脱力して無になるということが、心身ともに健康でいる上でいかに大事かを、年齢を重ねるごとに実感しています。33年生きてきて、頑張るやり方は身に染みてわかってるから、やろうと思えばすぐできる。今はそれよりも脱力して生きる方法を学んで実践していきたいです。

記事トップへ戻る

全ての画像・動画を見る(全16点)

作品情報

令和6年能登半島地震復興祈念公演『まつとおね』

令和6年能登半島地震復興祈念公演『まつとおね』

2025年3月5日(水)~3月23日(日) 全20回
会場:石川県 能登演劇堂
チケット:一般¥7,700(税込)/障がい者¥5,500(税込)

チケットはこちら

キャスト&スタッフ

キャスト:

吉岡里帆(まつ役) 蓮佛美沙子(おね役)

 

ナレーション:加藤登紀子

原作・脚本:小松江里子

演出:中村歌昇

音楽:大島ミチル

企画・プロデューサー: 近藤由紀子

主催:公益財団法人演劇のまち振興事業団

蓮佛美沙子

アーティスト情報

1991年生まれ、鳥取県出身。
映画『犬神家の一族』(06/監督:市川崑)でデビュー。『バッテリー』(07/監督:滝田洋二郎)でヒロインを演じ、『転校生 -さよならあなた-』(07/監督:大林宣彦)で初主演を務め、キネマ旬報ベスト・テンと高崎映画祭で新人女優賞を受賞。主な出演作に、『RIVER』(12/監督:廣木隆一)、『白ゆき姫殺人事件』(14/監督:中村義洋)、『記憶屋 あなたを忘れない』(20/監督:平川雄一朗)、『天外者』(20/監督:田中光敏)、実写版『鋼の錬金術師』(17・22/監督:曽利文彦)、『スイート・マイホーム』(23/監督:齊藤工)など。現在はNHK夜ドラ『バニラな毎日』とフジテレビ系月9ドラマ『119エマージェンシーコール』に出演中。

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram

COLUMN & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram