2024.12.25 18:00
2024.12.25 18:00
物語が人間のように進んでいくのがバンド
──そういう変化が生まれてくるなかで、片桐さんにとって「バンドであること」というのはどういう意味をもっているんですか？
片桐 「バンド」という言葉よりもHakubiであることが大切かなと思っていて。私という人間の思いの一部分がHakubiになっていて、それはもちろんところどころ広がってはいるんですけど、その一部分のHakubiというものがずっと生きていったらいいなって。Hakubiという人間のような存在がずっと人生を歩んでいけるようにしたいっていう願いがすごく強くて。だからその形が変わることはあまり……恐れていたりもしたんですけど、そんなにネガティブな気持ちを持たず、続いていったらいいなっていう気持ちではいます。
──でも、自分のやりたいことを完全に表現するのであれば、もしかしたらバンドじゃない方が効率がいいかもしれないじゃないですか。
片桐 でも、バンドってかっこいいですからね（笑）。なんであんなにみんなが心を奪われるのかわからないですけど、そのバンドの人生っていうものがあって、きっとみんなももその物語を見たいし、私たちも見たいし。物語が人間のように進んでいくのがバンドかなと思っているので。それは私たちで築き上げているけど、見ている人たちも築き上げている一部だと思うから、「みんなのHakubi」みたいな。それが美しいなと思っているので、その美しいものはずっとやっていきたいなと思います。
──「クロール」を聴いてすごく思ったのは、まさに人間というか、人格みたいなものが出てきたなということで。Hakubiがより生き物みたいになってるなっていう感じがしたんですよね。前はもしかするとHakubiという乗り物に乗って走ってるみたいな感覚だったのかもしれないけど、今は一緒に二人三脚で歩いているような感じがする。歌と音が渾然一体となっている感じもするし。それによって歌もよりよく聞こえてくるようになった気がします。
片桐 まさにそうですね。マインド的には歌が引っ張らなくちゃというか、歌がよいところなんじゃないかっていう気持ちが強かったんですけど、そこから解放されたというか、そうじゃなくて1つの楽器でいいんだよみたいな気持ちで歌えるようになったというか。だからオケも強く、歌も強くみたいな感じで戦えるようになったのかなって思います。
──この曲、〈未来に手を伸ばす〉って歌うじゃないですか。その〈未来〉ってたぶん、これを最初に作った時と今とではまた意味合いが変わってきていると思うんですけど、今ライブではどういう気持ちで歌っていますか？
片桐 今やっているツアーが「underwater」というタイトルで、私たちは水の中でもがいている最中なんですけど、水の下から腕をニョキッと出すみたいな感じで、必死につかみに行かなきゃいけない時だと思っていて。なりふり構わずというわけではないですけど、自分たちがやりたいことがはっきりとわかった感じはするので、それに向かって手を伸ばしている感覚っていうのはあって。だから、曲作った段階では「わからないけど手を伸ばす」みたいな感じだったけど、今は「これだ、やるぞ」みたいな感じで手を伸ばせてるんじゃないかなと思います。
──うん。そういう意味ではすごくポジティブに手を伸ばしている感じですよね。
片桐 そうですね。楽しいよね？
ヤスカワ うん。
──クリエイティビティの部分でもどんどん湧いてきてるような状態？
ヤスカワ めっちゃ湧いてると思う、全然ちゃう曲、出しますね、これから。ややこしいステレオタイプみたいなのをマジでぶっ壊していこうぜみたいな雰囲気があって。
片桐 「Hakubiといえばこれだよね」、みたいな。自分たちにもあったしね。
ヤスカワ 固定概念みたいなものはシーンでも持たれてるし、業界にも持たれてるし、俺らも持ってるんですけど、そこを打破していこうぜ、みたいな。
片桐 だから音楽を作るの楽しいなってすごく思いながら作ってます。
──もちろんサポートメンバーはいるけど、ドラムレスという体制も表現の自由度っていう意味ではいいのかもしれないですね。
ヤスカワ それはめっちゃ思う。2人になって、「これでいこう」みたいなのをシームレスにチームと共有してできるっていうのが、いい作用を生んでいると思いますね。
──サポートメンバーも固定というよりはその都度っていう感じなんですか？
片桐 ライブはこれからは固定されると思いますけど、曲に関しては、その曲に合った方にお願いしている段階で。これからどうなるかはわからないですけど。
ヤスカワ 曲単位で考えてはいるので、それがすごい動きやすいというか、曲にもいい作用をもたらしてる感じがすごくあります。だから、正式メンバーをめっちゃ急いで入れようぜみたいなのもまったくなくて。いったん2人でやって、ほんまにバイブスが合う人いたらという感じですね。
──これから楽しみですね。
片桐 もう、一生曲作ってるんで。
ヤスカワ 今までからすると3倍くらいのペースで曲を作ってます。曲を選んでいく母数も増えたし、方向性とかデモの統一感みたいなのも出た感じがする。
片桐 とにかく楽しくやってるので、待っていてほしいなと思います。
