2024.11.11 18:00
2024.11.11 18:00
今回のメンバーは2人とも激真面目
──曲の並びとしていいですよね。面白かったのが「HUNDRED TABASCO AIRLINE」の歌詞のSFっぽさで。この歌詞の着想ってどういうところでした?
そんなの自分の脳みそから出てきたから何とも言えないよね(笑)。今までいろんな映画見てきたし、全てが記憶の中に入ってるからさ。歌詞作る時にもう自分の中から想像を膨らまして作ってるんで、今まで自分が見てきたすべてのものがその元になってるからね。
──「Fantasy」には皮肉がありますが、この曲に関してはこの愉快なエアラインに乗りたいって思うような。
そうそう。乗りたいって思えるようなものってなんだろうな?とか思いながら戦っとる感じですね、頭の中で。探しまわっているっていうか。
──そういうことも含めて、前作までが行き詰まり感のある日常の中で光が見えればみたいなニュアンスもあったと思うんですが、今回はもうそんなことを気にしてる場合でもないというか。
そうだね。だから音楽が沁みるっていうか胸に入ってくる、その人が元気になるようなのも一つの表わし方だし、こういう楽しくて、なんかカラッと明るくドライな感じなのも音楽のいいとこじゃん。そっちの方向、今までそんなにやってきてなかったんで、作るとまた広い世界が広がってたんで。だから内面的なちょっと詩的な感じとはちょっと違う方向に行ってるかな、このアルバムはきっと。
──「HUNDRED TABASCO AIRLINE」を聴いてると、妄想するのも自由だし自分から体験しに行くのも自由だし、自分で楽しいことやろうって気分になるんです。
うん、家とか車とかで聴いたときにみんなが「この曲おもろいよね」みたいに感じてくれたらいいかな。
──ちなみに今回は(小林)瞳さんと宇野(剛史)君との3人で作った曲がほとんどなんですよね。
今回はその3人で作ったね。必死こいて。一生懸命やってくれたよ。
──瞳さんのコーラスもすごいいいなと思ったんです。
うん。コーラスすごいいいよ。ピッチすごい厳しいけどね。自分のピッチに厳しい。
──コーラスワークとか、Aメロに面白いところがいっぱいあるなと思って。「猿がリンゴ投げた」のAメロのリフレインとか。
うん。ちょっと60sっぽいというか。
──「うさぎのドアマン」も。
今回、「うさぎのドアマン」は俺すごい好きだな。“生まれ故郷 桃”っていうのがね。
──(笑)。この曲も宇宙とか脳内を行ったり来たりしますね。
これは『不思議な国のアリス』じゃない?
──なるほど。この曲、ビートは緩めのスカですが、アイディアは最初のデモからあったんですか?
3人でいろいろ試行錯誤してて、全く違う「うさぎのドアマン」まで行って、全く違う歌詞とコード進行のパターンもあるんだわ。はじめそっちをレコーディングしたんだけど、やっぱこっちに戻して。試行錯誤した甲斐があったね。
──宇野君はどういうベーシストですか。
激真面目だね。2人とも激真面目。激真面目って言葉があるかどうか知らないけど(笑)。
──(笑)。音楽以外のところでも?
瞳ちゃんなんて5ヵ国語ぐらいしゃべれるんだよ。激真面目じゃないとしゃべれんだろ?(笑)で、聞いたのね、どうやったら英語喋れるようになるのって聞いたら「もう努力しかないです」って言われた。
──宇野君の真面目さんはどういう真面目さなんですか。
例えば今だったらライブの構成とか考えてんだけどさ。キーボードの音とか3人だから当然弾けないじゃん? けどここの部分で絶対キーボードあったらいいよなって俺がつぶやいたらコンピューターに入れてきて、足で操作して鳴らすのを全部システム化して、外国からスイッチングのやつ買ってやってんだよ。めちゃくちゃ前向きじゃない? グルーヴも最高だし、頼りになるやつだね。
──それはライブで確かめないとですね。
それこそ「HUNDRED TABASCO AIRLINE」にジェット機音あるじゃん。あれも今度全部出せるからね。
──すごい。ベーシストとしてはやること多いですよね。
めちゃめちゃ多いよ。コーラスもやってるから。彼はだから3人分のことをやると思う(笑)。
SEをベース弾きながらタイミングよく出す役とコーラス。瞳ちゃんは2役だね、コーラスとドラムだから。激真面目プラスそれをやれる能力があるからいいよね。
──激真面目の意味が分かりました(笑)。
激真面目っていうのは人間にとってもすごく大事だと思うよ。日本でも真面目な勤勉な人がたくさんいるじゃん。だからこの社会が保たれてる訳で、怠け者ばっかの国に行くとやっぱ街並みがボロボロだもんね。
──そういう国の味わいもあるけど。
味わいもあるっちゃあるけど(笑)。
──じゃあ、一緒に仕事はしたくない?
俺はしたくないね。俺の知り合いの女の人でNPOかなんかでルーマニアに行って、ルーマニアって毎日大渋滞しちゃう街があるらしくて、近い距離でも2時間かかったりとかしてるんだわ。それはみんながルール守らないんだよね。で、そんなところに地下鉄を作るって話で、日本が協力して5年以内に地下鉄を通すっていうののトップとして行ってんだけど、とにかく向こうの人が全然働かないんだって。だから「全然進まないです」ってすごい悩んでた。まあ頓挫しちゃう要因はいろいろあるけどね。だからその激真面目っていうのは大事。何をするにも。
──浅井さんも激真面目なんじゃないですか。
俺ぜんぜん激真面目じゃないわ(笑)。
──そうですか? こんないっぱいアルバム出して。
ね。「もうできんわ」とか毎回思ってる。作ろうと思うとよぎるけどね。
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