2024.11.06 18:00
2024.11.06 18:00
楽曲制作の支えになっている感情は「怒」
──バンバさんは3年やってきての変化についてはどう感じますか?
バンバ 自分は音源よりはライブでの表現が変わってきたかなと思います。フェスとかにも出させてもらうようになって、ライブはちゃんと意識するようになってきたなって感じがとてもあります。
さなえ ライブは変わってきましたね。
バンバ 久々に観てくれた人の感想とかをSNSで見ていると、だいぶできるようになってきたのかなって。
音山 真面目になったって感じですね。
──最初は真面目じゃなかった?
音山 最初は真面目じゃなかったです(笑)。それをわかった上でやってましたけど。
──「真面目じゃない」っていうのはどういうこと?
音山 まあ、好き勝手やってたんで。
バンバ フリースタイルやったね。
音山 それがいいかどうかも気にせずにやってました。好き勝手できるのはその時だけって僕はわかってたんで。バンドが大きくなっていったらある程度普通のライブをしていくことが大事やし……その普通っていうのは、ファンの方々が求めていることって絶対あるから、それをちゃんと叶えてあげたいって思うと、ある程度普通のライブをやることが大事になるのかなって思ったんです。マジで最初は1曲ごとに3分喋るみたいな、漫談みたいな感じでしたからね。
──それはそれで面白そうですけどね(笑)。
音山 最初はそれで逆に目立ってたと思うんですけど。今はたまに喋っていいタイミングを設けさせてもらって、そこで喋るようにしてます。
──それは確かに普通なんだけど、そもそも音山さんは喋りたい人ってことですか?
音山 別に喋りたくもなかったんですけど……キザなことはあんまり言いたくはないんで。でも自分なりの言い方で、みんなを煽ったりしていきたいなと思って。そもそもライブで他のアーティストとかを見ていても、「みんな同じことしか言わんな」と思ってたんです。さっきのバンドと一言一句同じことを言って、お客さんに響くのかって。逆に言うと、それでめっちゃ響いてる人って、言い方が難しいですけど、それはもうつまり響いてないんです。
──ああ、なるほど。予定調和で満足しちゃってるっていう。
音山 そう、そういう人は響く前提で来てるから。だから「は?」って思われても、「何やろ?」って思わせたらいいと思ってたんです。だから今も、真面目にみんなにMCで問いかけるにしても、マジで自分らしく喋ろうと思ってます。定型文やなって思われたらあんまりだなって。
──今の話、すごく納得がいったんです。というのは、pachaeの曲を聴いていると、音山さんの中には怒りに近いエネルギーがあるんだろうなって感じるんですよね。もちろんポップではあるけど、でも同時に怒りが溢れ出してるような側面もあるような気がして。
音山 ああ……そんな、ブチ切れて書いてはいないですけど、大学ぐらいから、喜怒哀楽の「怒」以外は若干薄くなってきてるんですよ。人間が感情的に書くからこそ、相手の感情を煽れるっていうのは絶対芸術においてはあるんですけど、その中で作り手側が一番冷静にいれるのって「怒」の感情かなって思ってるんですよ。悲しみもコントロールできへんし、楽しい感情も頭回ってへんし、喜んでるやつは周りが見えてへんし。でも怒れる状態って、感情的なのにある程度周りのことが見えてるんです。見えてるから腹が立つわけなんで。
──確かに。
音山 何かに疑問を抱く的なニュアンスの「怒る」に関しては、クリエイティブなことの支えになるかなって思ってて。もちろん寂しがり屋とかすぐ泣いちゃったり悲しくなったりする人も作品を作るのに向いていると思いますけど、そういう人はその人自身が苦労していたりもするので。「怒」はおすすめですね(笑)。
──確かに怒りは一番届きやすい感情かもしれないし、人を突き動かすようなエネルギーになりますよね。
音山 うん、結構そう思いますね。
──それがpachaeの音楽には滲み出ている感じがする。
音山 嬉しいです。
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