2024.09.30 19:00
2024.09.30 19:00
2019年にTVアニメ化され、その後アニメ映画へと続いた人気アニメシリーズ『ギヴン』が、9月20日公開の『映画 ギヴン 海へ』をもって完結。ロックバンド「ギヴン」のメンバーである佐藤真冬、上ノ山立夏、中山春樹、梶 秋彦らを中心に描かれる、音楽への情熱や将来への焦燥、愛情や友情……。多くの感情に揺れながらロックバンドとして駆け上がっていく彼らの姿は、多くの視聴者に愛されてきた。
佐藤真冬役の矢野奨吾、アニメ『ギヴン』の主題歌・劇中歌の制作を手がけてきたセンチミリメンタル・温詞に、完結編の完成を迎えた現在の心境や『映画 ギヴン 海へ』の主題歌「結言」への想いなどを聞いた。
一つの大きな人生を見ているようだった
──『映画 ギヴン 海へ』をもってアニメ『ギヴン』が完結しますが、今の心境はどのようなものですか?
矢野 まずは、完結までアニメを描いていただけたということに感謝しかないです。また真冬を演じられることもすごくすごくうれしかったです。ここまで続けてこられたのは、本当に応援してくださる皆様あってのことなので感謝の気持ちでいっぱいです。
温詞 正直、こんなに長くアニメが続くとは思っていなかったので、矢野くんが言った通り、アニメが完結までいけたことが喜ばしいです。それは本当に応援してくださった皆さんの声があってのこと。たくさんの方に愛してもらえる作品に携われたことを幸せに思いますし、最後まで全力で駆け抜けたいと思っています。
──2019年のTVアニメから、矢野さんは真冬を演じ、温詞さんは主題歌・劇中歌を担当してきました。お二人が思う『ギヴン』という作品の魅力を教えてください。
矢野 難しい質問ですね……。やっぱり、音楽と、繊細でリアルな人間描写のシンクロ性ですかね。劇中で使用されている楽曲を聞くと、彼らの人生の一端に触れることができるような感覚がするんですよね。「この子たちは、こういう思いで、こういう人生を歩んできたんだな」というのが垣間見える。それはすごく繊細に描かれているからこそ感じられることだと思うので、リアルで繊細な人間描写というのは、本作のポイントなんじゃないかなと思います。
温詞 本当に人と人との関係性の描き方がリアルで、自分の人生とも重ねられる瞬間がすごく多い。僕もこの作品からすごく影響を受けましたし、今後の人生の中でも、自分の指標にしたり、心の支えになってくれる瞬間が何度もあるんだろうなっていうくらい、気づきをくれる作品だなと思っています。特に完結する『映画 ギヴン 海へ』はそういう描写がたくさん出てくるし、一つの大きな人生を見ているような作品だなと思いました。
──実際に音楽を生業にしている温詞さんから見て、特にグッとくる場面や描写はありますか?
温詞 どこもかしこもグッときます。原作のキヅナツキ先生はもともとバンドマンだったのかと思うくらい、すごくリアルなんですよね。例えば音楽だけで生きていくことの怖さや不安は、僕も実際に感じてきました。もちろん音楽で自分の想いを伝えるということもやってきたし、音楽に殴られるような瞬間もたくさんあったし、それで自分の人生が動く瞬間もあって。「なんでこんなに音楽をやっている人の気持ちがわかるんだろう」と思います。見ている方には、そんなミュージシャンのリアルな生き様も楽しんでもらいたいですね。
──これまで様々な場面や心情が描かれてきましたが、矢野さんは特に好きなシーンや好きなセリフはありますか?
矢野 これまたすごく難しい質問ですね……。立夏とのシーンですかね。いつも立夏との2人きりの時間はすごくかけがえのないものだなと思っているので。うまく表現できない真冬が、立夏の前だと甘えたり、普段は見せない表情が自然に出せたりする。その瞬間に真冬らしさを感じるんですよね。実際にお芝居をしていても、 立夏役の内田雄馬くんが本当に素晴らしいお芝居で僕を引っ張ってくれるので、すごく楽しくて、かけがえのない時間ですね。
──矢野さんは真冬をどのような人物だと捉えて演じてきましたか? また、その印象や解釈に変化はありますか?
矢野 真冬は繊細で、臆病な子というイメージがあります。そこは僕とも似ている部分でもありますね。ただ思ったよりも普通の子かもしれないとも思っていて。俯瞰して見てみると「高校生でこれだけのことがあったら、そりゃこうなるよな」って思いますね。成長していく姿も含めて、普通の高校生の男の子だなと思っています。その印象は、最初からずっと変わらないです。
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