FUJIROCK FESTIVAL'24特集 #5
庄村聡泰のフジロック’24滞在記──歴史と今を思い出に焼き付けたDAY3
2024.09.12 17:30
TURNSTILE ©︎ Taio Konishi
2024.09.12 17:30
踵?そりゃ痛えさ(2日目の記事を読まないと伝わらない導入)。でも俺は鼻息荒く足音高らかにああ今年も終わってしまううな最終日のグリーンステージのトップバッターを観るべく向かうのだ。台湾から推しが来るのだよ推しが。
ぶっちゃけ今年のフジで1番期待していた最終日グリーンステージのトップであるNO PARTY FOR CAO DONGはヤバかった。本当にヤバかった。超絶に激烈にカッコ良すぎて身悶え狂った挙句、気付けば泣いていた。今年も多く観られた外国籍のお客様であったが台湾からのオーディエンスだと思われる方々がこぞって前方へ詰めかけ、熱い思いでフレーズを合唱している姿に加齢と共にすっかり涙腺が緩くなった40歳(俺)が呼応したのだ。
元々音源は聴いていて、繊細なアルペジオがリードする“静”から急転直下にドヘヴィなリフで攻め立てる“動”へと激しく行ったり来たりを繰り返す楽曲にやられてしまっていたのだが(乱暴に言えば1曲の中でtoeからMUSEへ行ったり来たりするような感覚)、聴き込めば聴き込む程にドラムのフレーズがおかしくなっていることに気付く。手数足数がとんでもなく詰め込まれており、これどうやって叩くの?の連続なのだ。
その真偽を確かめるべく筆者も前方エリアにて刮目。音源以上に繊細で音源以上にヘヴィなアンサンブルに冒頭から度肝を抜かれる。演奏力、そしてバンドのグルーヴ感、ここまで凄まじかったとは。開催直前の記事で触れた「空」が終盤遂にプレイされると客席にまさかのサークルピットが出来上がる。そしてこの曲のドラムがとにかく狂っているもんだからもみくちゃになりながら刮目を続けているとなんと全て音源に忠実にしてそれ以上のスピード感でバッシバシに叩き込まれているではないか。いやあこりゃスゲエ。カッコ良すぎて泣いちまうってば。推しのバンドがまた一つ増えてしまいしたとさ。あ、Dennis Chang(Ba)が明日の叙景のTシャツ着てたからスマッシュさん来年は何卒お願いします(笑)。
まさかのっけから泣かされるたぁ思わなんだと筆者は逆ギレつつもマーキーへ。今年最大の功労者であろう、USの登場だ。何ならその日の朝ホテルを出る際にメンバーとエレベーターで一緒になったので「Looking Forward to Your Stage!」「Thanks! See you there.」的な会話を交わしており、その爽やかな好青年っぷりにさらなる好感度爆上がりの状態であったのだ。
ライブはデビュー作のクロージングナンバーである「Black Sheep」からスタート。性急なリフをバンド一丸となって奏でる合間をフレーズでもアクションでも縦横無尽に動き回るのは今昔連綿と続くロックバンドの歴史においてとっても珍しいハーモニカ専任のメンバーでありメインボーカルのTeo Hirvonenの兄のPan Hirvonenだ。やんちゃな少年のようにステップを踏みながら吹き回るという彼の存在が超キャッチー。楽曲は先の「Black Sheep」的な直球ガレージから「Hop On A Cloud」といったパワーポップ的な楽曲まで幅広く取り揃えがあり、どちらの路線もグッドメロディー。その間口の広さにあれよあれよとマーキーは埋まっていくのだった。好青年でいえば毎曲終わる度に必ずメンバーみんなでぺこりとお辞儀をするのだが、それはもはや高感度爆上げ所の騒ぎではなく“萌え”の境地であったことも書いておかねばなるまい。どうかそのままでいてくれよと願うばかりである。
マーキーに留まりWEEKEND LOVERS 2024 “with You” LOSALIOS / The Birthday (クハラカズユキ・ヒライハルキ・フジイケンジ)を観る。こちらの活字化は何と申し上げるかそれはもう各々の胸に抱いておいてもらい大切にしてもらって終わりにしたいというのが正直な胸中であるが、セッティング中の中村達也とクハラカズユキが隣り合う様は震えたし、先攻のLOSALIOSは「CISCO」をプレイしたし、後攻のThe Birthdayは「I Saw the Light」や「サイダー」をオーディエンスとメンバー間で歌い継いだ。「ハレルヤ」ではTHA BLUE HERBからBOSS THE MCが登場し、ラストではLOSALIOSもアンサンブルに加わり、ボーカルにはYONCEを迎える形で「ローリン」をプレイ。その後に飲んだビールの味はいつもより少しだけほろ苦く感じた。
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