世界が注目する5人組バンドが傑作アルバムを完成させ来日
Fontaines D.C.が語る変化の背景、日本に感じる“ロマンス”とは
2024.08.27 18:30
2024.08.27 18:30
プロデューサーが変わっても到達点は同じ
──「Starburster」では特にグリアンのポエトリーリーディング的なボーカルをパンチするトムの硬いドラミングのビートが最高です。あのビートの秘密も教えてもらえたら。
トム ヒップホップをたくさん聴いていたというのが大きいと思うんだ。ヒップホップのビートをサンプリングして、それをグルーヴにのせることをたくさん試していたというところから、こういったドラムが生まれたんだと思うね。自分としてもすごくハイになっているようなこのドラムはすごく気に入っているよ。
──(編集部から)インタビュアーの彼は日本のロックバンドでドラムをやっていたんですよ。
トム 本当に!最高だね!!(と、言ってグータッチを求める)
──ありがとうございます(笑)。そして8曲目の「Sundowner」はカーリーの作曲で、メインボーカルを歌っています。偶然収録されることになったそうですが、エピソードを教えて欲しいです。
カーリー これは自分ひとりでデモを吹き込んでいて、それを聴いたみんなが「これでいいんじゃない?」という感じだったね。歌い慣れていたので、スタジオでなんとなく仮で歌ったのがそのまま採用されたんだ。グリアンは全然歌ったことがないから、グリアンのバージョンは聴いたことがなくて。コール&レスポンスみたいな感じでグリアンが一緒に歌っていくみたいなこともいいんじゃない?っていう話にもなったんだけどね。やっぱりステージ上で「イエーイ!」って2人で肘を突き合わせて歌うのも気持ち悪いなと思って、それはやらないことになったよ(笑)。
トム 君が新しいボーカリストになればいいんじゃない?
カーリー いや、それはいい(笑)。
──過去作のインタビューでは、プロデューサーのダン・キャリーとの話が結構出てきたんですね。でも新作はレーベルに移籍に伴い、初めて新しいプロデューサーのジェームス・フォードと組んでいますよね。2人の違いなんかがあれば教えてもらえますか?
トム ダンは、スタジオで演奏している時のバンド全体の雰囲気をそのままアルバムに閉じ込めるようなやり方をしてたね。ジェームスの方は、もっと一つずつレイヤーを重ねていくような緻密な作り方をするタイプのプロデューサーだと思う。どちらのやり方もとても好きで、違いはあるけど一つのポイントにまで持って行くのが自分たちの仕事というか、どちらのやり方だとしても同じポイントにまとまっていると思う。
カーリー ダンの方は一枚のアルバムを一つの作品として見ていて、全体を通してアルバム全部の曲が同じようなレベルにいるというか、アルバムという一つの大きな枠組みに収めるという作り方をいるね。ジェームスは一つひとつの曲をまずは積み上げていくという感じで、一曲ずつ完璧に作った後で、アルバムとしてどうまとめるかを考えるタイプのプロデューサー。そこが大きな違いかな。
──また、新作のスタイリングがとても色鮮やかでサイバーパンク的というか、ルックスがかなり刷新されてたのが驚きでした。
トム 一番大きな理由としては去年日本に来たことなんだ。日本でストリートを歩いている人たち、特に女の子のファッションがすごく色鮮やかだったり、個性が出ていたりするのを見て、それにインスピレーションを受けて、自分たちのスタイリングも思い切って変えてみようかという気持ちになったのが大きいんだ。
──日本の影響だったとは、日本のリスナーはみんな喜ぶと思います。
トム 個性的ですごく考えられた服装をしてるからすごい刺激になるよ。
──最後に、本当にワールドワイドに活躍されている中で2人が今一番ロマンスを感じる瞬間はなんでしょうか?
カーリー 生きててロマンスを感じるとき? トムが答えて(笑)。
トム 実は日本にいるときにすごくロマンティックな気分になるんだ。いろんな人たちによくしてもらったり、話したりする交流があって。あとは旅をすることもその一つなんだけど、そういう時にロマンスを感じるよ。
──カーリーは?
カーリー えっと……(顔を赤くしながら)ステージに上がる前に髪にジェルをつけて、髪の毛を立ててるときにロマンスを感じるかな(笑)。