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INTERVIEW

『インサイド・ヘッド2』吹替版キャスト2人の自然体トーク

表現者として必要な感情を一つ選ぶなら?大竹しのぶ&多部未華子が実践する自己肯定術

2024.08.02 19:00

2024.08.02 19:00

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悩む時間があるならもっと自分の人生に夢中になったらいい

──本作には「どんな自分も受け入れる」というテーマが流れています。お二人は自分自身のことは好きですか。それともあまり好きではないですか。

大竹 好きではない、ということはないと思います。もちろんダメな自分がいっぱいいることもわかっていますけど、これもまあいいかと思っているかも。だから進歩がない。

──大竹さんは、コンプレックスとどう向き合っているんでしょう。

大竹 コンプレックス……? え、コンプレックスって……?

──もしかしてあまりコンプレックスというものがないとか。

大竹 容姿とか体型とか、もっとこうだったらいいのにっていう不満は勿論あります。でも、それに対して特に努力をしていないってことは、大して思っていないんだろうなって。

多部 反省点はいろいろありますけど、それも自分だと思っているので、あんまり直そうとはしていないかもしれません。というか、30(歳)を過ぎたら直せないので、開き直るしかないという境地にいるのかもしれないですけど。

──年齢が処方薬になるところはありますよね。とすると、若い頃はどうしていたのでしょう。

多部 私は自分の悩みとか、ここがダメだなと思ったところは、友達に話すようにしていました。そうすると、周りが励ましてくれるじゃないですか。そこで、自己肯定感を高めていた部分はあったかな。

大竹 そうだよね。わかるわかる。

多部 自分で自分のダメなところを直すことはできないけど、それでいいんだと思える強さをそうやって少しずつ身につけていったというか。

──映画に出てくる<大人の感情>のイイナーじゃないですけど、どうしても人と比べて、自分にないものを持っている人を羨んでしまいます。

大竹 羨ましいなとか、すごいなとか、そういうのはありますけど、だからと言って、それで自分が落ち込むっていうことはないんですね。

多部 それこそ20代の頃は、同世代の俳優さんが自分の出たかった作品とかやりたかった役をやっているのを見て落ち込んだりもしましたけど、結局生きてきた環境も違うし、性格も違うし顔も違うから仕方ないっていう結論になるんですよね。

大竹 運もあるしね。自分を責めたら、自分が可哀相。

多部 そう思います。反省はしたほうがいいときもあるけど、自分を責めるのは良くないのかなと。

大竹 私なんてって考えすぎたら、それこそ心の中がカナシミでいっぱいになっちゃう。そんな生き方は暗いじゃない? だったら自分をヨロコビのほうに持っていったほうがいいと思う。それにね、私は思うんだけど、結局他人のことを気にするのって余裕があるのよね。自分にいっぱいいっぱいになっていたら、他の人なんて目に入らない。あれこれ悩む時間があるなら、もっと自分の人生に夢中になったらいいんじゃないかな。

多部 確かに。それが一番ですよね。

『インサイド・ヘッド2』より

──映画の中にはヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカ、シンパイ、ハズカシ、イイナー、ダリィという感情が出てきます。表現者は感情が財産。どれも必要な感情だとは思いますが、あえて一つ表現者にとって必要な感情があるとしたら、それは何だと思いますか。

大竹 表現者として? え〜、難しいなあ……。

多部 大竹さんの答えがめちゃくちゃ知りたいですね、私は。

大竹 難しい……。(と、15秒ほど悩む)

多部 (そんな大竹を見て)全然違う質問していいですか。恋愛をしたとして、フられたときに輝く人と、彼氏がいるときに輝く人がいると思うんですけど、大竹さんはどっちですか。

大竹 えー。それはいるとき。

多部 いるときですか。私はいないときです。

大竹 えー! どうして?

多部 カナシミの感情を持っているほうが輝く気がするんです。悲しいなって思ったり、憂いている自分がいたほうが仕事がうまくいくことが多い気がして。

大竹 確かに。一つだけ必要なものを挙げるとしたらカナシミなのかも。カナシミを知っているほうが優しくもなれるし、ヨロコビにも結びつくし。あともう一つ考えたのは、ハズカシだったんですけど。

──恥ずかしいという気持ちも必要なんですね。

大竹 お芝居って、普段の自分ならまったくやらないようなこともやらなくちゃいけない。そのときに恥ずかしいなって思う気持ちはもちろんあるわけです。でも、その壁をぶち破ることで辿り着く場所がある。新しい表現を追求していくという意味では必要かもしれないですね。

──では最後にお二人のインサイド・ヘッド(頭の中)を占めている感情を教えてください。

大竹 多部ちゃんヨロコビだよね?

多部 ヨロコビですね、今は。

大竹 子どもがいるとそうなるよね。

多部 毎日楽しいです。育児が日常の大半を占めている分、仕事が貴重な時間になっていて。今日みたいに1日お仕事という日がすごく新鮮で、今日もワクワクしながら来ました。かといって育児がつまらないかというと、まったくそんなことはなくて、毎日がすごく楽しいです。

大竹 そうだね。

多部 これから家に帰って明日の準備のことを考えると大変だけど、それはそれで楽しい。今はもう毎日がヨロコビです。

大竹 素敵。私はダリィかな(笑)。

多部 あはは!

大竹 ダリィ、ヨロコビ、ダリィ、ヨロコビ。毎日その繰り返しです(笑)。

『インサイド・ヘッド2』場面写真 ©︎2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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作品情報

インサイド・ヘッド2

©︎2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

©︎2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

インサイド・ヘッド2

2024年8月1日(木)全国劇場公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督:ケルシー・マン
製作:マーク・ニールセン(『トイ・ストーリー4』)

日本語版声優:大竹しのぶ(カナシミ)、多部未華子(シンパイ)、横溝菜帆(ライリー)、村上(マヂカルラブリー/ハズカシ)、小清水亜美(ヨロコビ)、小松由佳(ムカムカ)、落合弘治(ビビリ)、浦山迅(イカリ) 、花澤香菜(イイナー)、坂本真綾(ダリィ)

日本版エンドソング:「プレゼント」Performed by SEKAI NO OWARI

大竹しのぶ

アーティスト情報

東京都出身。75年 映画「青春の門 -筑豊編-」のヒロイン役で本格的デビュー。その鮮烈さは天性の演技力と称賛され、同年、朝の連続ドラマ小説「水色の時」に出演し国民的ヒロインとなる。以降、気鋭の映画監督、舞台演出家の作品に多数出演、主要な映画・演劇賞を数々受賞。世代を超えて支持され続けている名実ともに日本を代表する女優。
近年の主な作品に、舞台「スウィーニー・トッド」 (24)、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」「ヴィクトリア」「GYPSY」(23)、「女の一生」「ピアフ」(22)。映画「わたくしどもは。」(24)、「ヘルドックス」(22)。また「君たちはどう生きるか」(23)、「漁港の肉子ちゃん」(21)で声の出演がある。ドラマ「PICU 小児集中治療室」(22)、「海のはじまり」(24)など他多数。2011年に紫綬褒章を受章。2021年に東京2020オリンピック閉会式に出演。
著書に「ヒビノカテ まあいいか4」(幻冬舎)がある。NHK-R1「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」(毎週水曜21:05~)が好評放送中。11月には主演舞台「太鼓たたいて笛ふいて」を控える。

多部未華子

アーティスト情報

1989年1月25日、東京都生まれ。
2002年に女優デビュー。05年公開の映画『HINOKIO』『青空のゆくえ』でブルーリボン賞新人賞を受賞して注目を集める。09年にNHK連続テレビ小説『つばさ』のヒロインを務め、10年には『農業少女』で読売演劇大賞優秀女優賞・杉村春子賞、エランドール賞新人賞などを受賞。映画、ドラマをはじめ、舞台、CM、声優と多方面で活躍。近年の主な出演作に、ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(20年)、『マイファミリー』(22年)『いちばんすきな花』(23年)、映画『空に住む』(20年)、『流浪の月』(22年)、『遊撃/映画監督 中島貞夫』(23年)、舞台 NODA・MAP『兎、波を走る』(23年)などがある。

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