自分らしく生きるって難しいですよね
急に仮面ライダーの話をしてどうしたんだという感じですが、『僕の月はきたない』もある種欲望が話に関わってくるのです。その欲望を抑え込むのではなく、うまく関わっていく。とはいえ世間一般の多くの人類はそれぞれ抱えた欲望を抑え込み日々生きています。そうしないと世界が回らないからです。だけど、ほんの少しでもわがままになる瞬間が無ければ人間らしくなれないと思います。わがままというと聞こえは悪いですが、 小さいことでも押さえ込まずに自分のやりたいように選択してみる。自分を成長させるために課題を出したり背丈に合わないことをするのも必要なことだと思いますが、そればかりだと自分を見失ってしまうこともあると思います。
SNSが栄えた現代はいつでも理想化された生活や理想化されたスタイル、理想化された隣人を見ることが出来ます。もちろんそんなことは切り取られて加工されたごく一部に過ぎないのですが、まるでそれが全てのように写ってしまいます。同い年なのにこの人はこんな素敵な暮らしをしていいな、一方自分は…。と簡単に対比できてしまう時代です。わたしもよく陥ってしまうのですが、そうではなくそのままの今の自分を受け入れる。
自分を自分として生きることって結構難しいしわがままなことだと思います。人には見せたくない弱みは誤魔化したほうが楽だし、その方が受け入れられやすいと思ってしまうからです。でもそこを乗り越えて、かっこよくない姿もさらけ出してしまったほうがより多くの人に受け入れられると思います。
先ほどは理想化された姿と簡単に対比できる時代と書きましたが、同時に共感が必要な時代でもあると思います。取り繕った姿は本当ではないと薄々気付いていて、そうではなくちょっとかっこ悪かったりツッコミどころがある方が親近感がありとっつき易くなる時代です。さっきから時代時代と何様なのかわかりませんがもう少々お付き合いください。わたしの体感的に理想化のピークは2,3年くらい前で、今は普遍的なものがカルチャーにおいても流行っている気がします。多分コロナ禍が大きな要因になっていて、それまで端末一つあればいつでも世界と繋がることができ、その中でもよりイケてる方になりたいとみんな取り繕った表現をしていましたが、世界的なコロナの流行があってそんなことよりも今ここにいることの価値を尊く感じる人が増えたのでは無いでしょうか。ただでさえ不安定な状況の中で、あるかも分からない理想化されたものよりも多くの人が共感できるものの方が安心感があって受け入れられやすいんだと思います。
『僕の月はきたない』において、古谷さんも琴絵もかっこ悪い姿をたくさんさらけ出しています。現状に悩む二人の姿はきっとたくさんの人に共感されると思います。側から見たらちょっとアホっぽい行動もありのままで取り繕っていないからこそ。ラストの海でのシーンは極まりすぎて笑いながらちょっと泣けてきます。
今回のコラムはこの辺りで終わります。また次回もよろしくお願いします。