2024.05.27 17:30
2024.05.27 17:30
僕がどういう人間かはバレつつある(笑)
──坂東さんも2018年の岩松了プロデュース『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』で岩松作品は経験されていますが、今作では俳優としての岩松さんと共演されていますね。いかがでしたか?
いやもう、舞台に出演した当時は事務所に入って数ヵ月でワークショップに参加、岩松さんの作品を1本も観たことがないような状態で……ことの重大さをわからずに参加していた自分が今となっては恥ずかしいです(笑)。
──岩松さんの演出は緻密で、稽古場でもなかなか厳しいという話をよく聞きますが、大変でしたか?
それはもう……怒涛の千本ノックでしたね。しかもあの作品の出演者はみんな血気盛んな若手俳優ばかりで、稽古場の人間関係もさざ波だっていて、そこに岩松さんの千本ノックでしたから。あのときの経験は本当に忘れられないです。
──そんな岩松さんと、今作では2人きりのシーンもあり。
飲みの場でたまたまご一緒して、ということはこれまでもよくあったんですけど、お芝居を一緒にというのはなかったので、貴重な機会でした。前日寝られなかったですよ、セリフをどうやって言うかを100万通りぐらい考えてました。実際の撮影時はもちろん緊張はありましたけど、岩松さんとの化学反応みたいなものを渉としてすごく楽しめたので、それが画面に良い形で出ているのではと思います。
──岩松さん、俳優としても存在感が凄いというか、「ずるい」ですよね。
そうなんですよ!(笑)。でもプライベートでお会いすると、本当に気さくに話しかけてくださるんですよね。その『三人姉妹〜』の僕の役柄が、仲間の中から一人だけ売れて儲かっていく……という感じだったんですね。それもあるのか「どう? 売れてる?」っていつも会った瞬間に聞かれます。多分一生言われるんだろうな、って思ってます(笑)。
──これまでもいろいろな役柄を演じて来られましたけど、役へのアプローチは作品ごとに変えていく方ですか?
アプローチは、基本的には変わらないですね。動きとか型からは入っていかず、役の内面の感情を大事にして……という風にしています。常に何か喋っている、場の盛り上げ役みたいな役も結構多いですし。素の自分もどちらかというとそのタイプですしね。
──『若武者』の渉のような役柄や、鬱屈した役……それこそ悪人役だったり、自分自身とかけ離れた役を演じているときは、私生活に影響するタイプですか?
全くしないです(笑)。あ、でも『若武者』を撮っていた時は、確かにいつもより口数は減っていたかもしれないですね。大切なことはもちろん監督とかとやり取りしましたけど。ただ、基本的には“この感じ”です。
──そう考えると、今本当にいろいろなタイプの役を演じられていますから、坂東さんの「素のイメージ」があまり想像できない視聴者の方も多い気がします。ご自身では役を選ぶ時に、あえて色がつかないように……的なことは意識されているんですか?
いや、それはたまたまいただいたお仕事がそうなっているだけで。でも確かに、似たような役柄のオファーが来ていない、というような状況ですよね。
──今もこの『若武者』の公開時期にドラマが2本、『RoOT』(テレビ東京)と『366日』(フジテレビ)が放送されていますし、それぞれまた違うキャラクターで。パブリックイメージがつくかつかないか、というのは意識しますか?
それは、しますね。パブリックイメージって、やっぱり役者をやる上ではすごく大事な部分でもあると思うんです。それこそ「(役者は)謎が多い方がいい」というのは本当にその通りだと思うんですよ。役柄はこうだけど、本人はどういう人間なんだろう、という余白の部分を残してあげた方が、どんな役をやったときも先入観なく見られると思うので。SNS一つとってもそう。バラエティーに出るなら出るときの、その立ち姿や佇まいみたいなものものもすごく大事だと思うんです……けど、僕自身はこういう人間なので、既にバレつつあります。
──バレつつありますか(笑)。
はい。バラエティーとかはお断りするという手もあるとは思うんですけど、やはり多くの人に作品を見ていただきたいので、そこに繋がるならば……という。何より、僕はバラエティーも大好きですから(笑)。
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