2024.05.05 17:00
2024.05.05 17:00
役者として大事にする部分を認めてもらえた
──藤井監督とはもう何度も一緒に作品をつくっていらっしゃいますが、今作だから見えた新鮮な部分はありましたか。
今回通訳さんを介して演出される場面が多くて、「言葉って難しいな」とよくおっしゃっていたのが印象的でした。藤井さんは普段から結論を出さずに演出をつけてくださるんです。そんなふうに考える余地を残せるのは日本語だからこそ。言語の壁を前にすると、どうしてもそれが難しくなる。
そこを通訳さんと二人三脚で試行錯誤されている姿が、ご本人は難しいとおっしゃってるんですけど、はた目にはそれさえ楽しんでいるように見えて、そんな藤井さんを見ながら私も楽しくなるという、いい循環が回っている現場でした。
──そんな藤井さんから質問を預かっています。「これだけはやめてくれという僕の直してほしいところを聞いておいてください」とのことですが。
え〜、ないない! ないですよ。直してほしいところ……。何だろう?
──これからも一緒に映画をつくっていくことになると思うので、ぜひ聞いておきたいそうです。
(手を挙げて)あ、はい! 今回の撮影が日本からのシーンでしたけども、色々しょうがないこともあると思いつつ、できればそういうシーンからの撮影はご遠慮願いますとお伝えください(笑)。
──できるだけ順撮りがいいなと(笑)。
しょうがないんですけどね。クランクインのときに現場に入ったら、スタッフのみなさんが申し訳ない顔をしていて、「何も言えないけど、頑張ってください」という空気を感じました(笑)。でも、そうやって任せてもらえるのも役者冥利に尽きる話。腹を括らなきゃと思えたので、それはそれで良かったのかなと。だからないです、直してほしいところは。これからもよろしくお願いします(笑)。
──改めてですが、これまでの藤井さんとの思い出で印象的だったことはありますか。
私は役と向き合うにあたって疑問が浮かぶと何でも監督と共有して、すり合わせをしたくなるタイプで。自分では丁寧にやらなきゃいけないと思っていることが、人からすると「ちょっとやりすぎじゃない?」と面倒くさがられることがあって悩んでいたんです。そしたら、藤井さんが言ってくれたんです、「果耶ちゃんのいいところは、その面倒くさいところだよ」って。
「果耶ちゃんの面倒くさいと言われている部分は、実は面倒くさいことなんかじゃなくて。果耶ちゃんの面倒くささと同じぐらい面倒くさい人と仕事をすればいいんだよ。だから、変わらないでいい。俺も面倒くさいし(笑)」とおっしゃってくれて。自分が役者として大事にしている部分を認めてもらえたような気がして、その言葉はずっと大切にしています。
──難しいですよね。こだわりすぎると、時に人から敬遠されることもあるけど。
そうなんです。そのバランスに悩んでいたときに、藤井さんからそう言ってもらえたおかげで、調和や柔らかい空気も大事にしつつ、守るものは守っていいんだなと再認識させてもらいました。
──いろんなインタビューを拝見していると、性格は頑固だけど、少しずつ柔軟性を持てるようなってきたとお話しになっていますね。
柔軟になっていきたいとは思っています。昔は柔軟なんて知らないと思っていた時期もありましたけど(笑)。今も実際にできているかはわかりませんが、そういうふうに思えるだけで違うのかなと。
……でもどうなんでしょう。(そばにいたマネージャーを見て)まだ頑固みたいです(笑)。
──ジミーとアミのような人生の転機となる出会いというと、清原さんは誰との出会いを思い浮かべますか。
それこそマネージャーさんとの出会いですね。役者をしていると、自分は何がしたいのか、何をすべきなのか、現在地がわからなくなるタイミングが結構あって。人によって夢はあれど、そこまでの道筋を設計するのがなかなか難しいんですね。それをとてもいい距離感で導いてくださっているのがマネージャーさんたち。俳優として、次に何ができるんだろうと考えるきっかけをくださるので、信頼しているし、感謝しています。
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