2024.04.21 17:00
『辰巳』で邦画の楽しさに気づいてほしい
──今後もお二人は待機作が目白押しかと思います。SNSも拝見させていただきましたが、遠藤さんは猫ばかりで(笑)。
森田 (笑)ほんと猫か服でね。
遠藤 そうなんですよ。猫が唯一の癒しでですね。息子みたいなものなので(笑)。ペット飼ってないんだっけ?
森田 実家で柴犬飼ってます。
遠藤 犬! 犬も可愛いよなあ。柴犬ってまた可愛いよね。
──役と自分を切り離す瞬間も大事にされているのかなと。
遠藤 どうなんですかね……気付きたくはないんです、少しずつ私生活が役に侵略されてるっていうのは。意識もしていないんですけど、もしかしたら少しずつやってはいるのかなと思います。シナリオ読んでセリフ入れてるとき、猫がすごい邪魔してくるんですよ(笑)。可愛いんだけどさ、困る時もありますよ(笑)。
──森田さんは先日Fly By Midnight.のライブに行かれていましたよね。聴いてみたらとてもよくて、いい音楽教えていただきました。
森田 最高なんです!
遠藤 そうなんだ。日本人の?
森田 海外アーティストです。二人組でこの間初来日して、大好きなんです。洋楽が好きで。
──そういったアンテナの感度の高さも、役者としての感度を高めることに繋がっていると思いますか?
森田 ある一定の期間、人が好きなものが嫌いな期間が長かったんです。ひねくれ期間というか。小学生時代は友達に同じ服持ってるって言われたら捨てるとか。
遠藤 ははは!(笑)小学校の時から?
森田 そう(笑)。そこら辺の尖りの柔らかいところだけが残った今の自分が気に入っています。あのときはやりすぎたけど、自分の好きなものだけに心を動かすっていう方法を覚えてしまって、逆に人の薦めとか世間の流行りとかを跳ね除けがちなのは、新しいことを吸収しにくいから悪いことだなって最近思っています。
遠藤 そこは柔軟にね。
森田 確かに、好きなものがあまりに定まってるっていうのはあるかもしれないです。
──でも、しっかり自覚はあるんですね。
森田 そうですね。音楽とかも1分聴いただけで好きになるとかもありますし。
──そろそろ最後になってしまうのですが、今は一つの作品を作り上げるのにも、言葉を選ばずに言うと、目配せしないといけない対象が多すぎる。そんな世の中において、『辰巳』は「邦画いいな」と夢を見せてくれた作品でした。
遠藤 すごく嬉しいです。
──それを経て、お二人が“邦画”に対して思うこと、これから『辰巳』を観る方へのメッセージを締めにいただいてもよろしいでしょうか。
遠藤 じゃあ僕から。小路さんの映画のクリエイトの良さって異国感があって、日本映画なんだけれども見たことない美的センスというか。歴史を紐解くと海外にはいっぱいあるんですよ。リドリー・スコットが『ブラック・レイン』で松田優作さんを使ったりとか。ヴィム・ヴェンダースの『PERFECT DAYS』もそうですけど、逆パターンで小路さんがそれを担っていく夢みたいなのを、今回『辰巳』を観て確信しました。そういう映画作りを3作目4作目ってどんどんやっていってほしいし、2作目の『辰巳』を観て、そういう邦画の楽しさに気づいてもらえるお客さんが増えたらいいなって思いますね。
森田 私はインディーズ映画にも結構参加させていただいてるんですけど、毎現場監督さんとかキャストさんによって空気が違うなかで、ここまでビジョンが強く固まって、キャストの皆さんが同じ気持ちで作れる泥臭い映画っていうのはないと思うので、自分が葵として参加できたことは本当に幸運だったし、観てくださる方の感想が「面白かった」とかそういうシンプルな感想から始まってもいいなっていうぐらい潔さもある。本当にただただエンタメな面白い映画だと思うので、たくさんの人に届いてほしいなと思っています。