Bezzy[ベジー]|アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

INTERVIEW

YouTubeと映画作りの大きな違いを語る

映画『TALK TO ME』若者の“降霊中毒”を描いた監督が考える真の恐怖とは

2024.01.10 17:00

2024.01.10 17:00

全ての画像・動画を見る(全22点)

映画製作の美しさはコラボレーション

──YouTuberとして何年も活動しているお二人だからこそ感じる、自身の青年期と今のZ世代の空気感の違いはありますか?

ダニー (若者の)うつ病率が上がり、孤独を感じる人が増えたように思う。携帯の存在が現実から自分を切り離してしまうツールにもなっているけど、今はより深いレベルで人々が繋がることもできるから良い面もあるよね。

マイケル それに、多くの情報を探して見つけることができる。

ダニー そうそう。自分と同じような人と出会える場にもなったしね。

マイケル でも僕らが若かった時は、インターネット自体は一応あったけど、まだここまで発展する前だったように思う。だからSNSも自分が卒業するくらいまでなかったし、2010年か2011年くらいから始まったんじゃないかな。いずれにせよ、そういうものはやりたいと思わなかったけどね。僕らはYouTuberとしてコンテンツを作っていたけど、そのころのYouTubeも今ほど大きくなかった。

ダニー 僕らの子供の頃はXbox Liveがアツかった。あれが僕らにとって、他人に意地悪をする場所だったね(笑)。話を戻すけど、あなたが言ってくれたようにこの映画はシンプルな作品としても認識されることで、普通の観客にも気軽に観てもらえるような利点がある。しかしそれと同時に、深く作品を観ようとすれば、それもそれで可能な作品に仕上がっているはずだ。一般的なお客さん、映画好き、どちらにも楽しんでもらえると思うよ。

2人がRacka Rackaとして『TALK TO ME』プレスツアーに参加する様子

──YouTubeでもクオリティの高いファンメイドの作品を投稿しているのが印象的でした。特に当時から「Harry Potter vs Star Wars」の動画が大好きなのですが、YouTuberから映画監督デビューを果たした今の心境は?

ダニー 感激しているよ。自分が不十分に感じてしまうくらい。

マイケル そうだね。A24のパーティで他のA24作品の監督やエグセクティヴ、俳優が集まっていたけど僕らだけ何だか浮いていた。まだYouTuberとしての感覚が強くて、他の監督陣は本物のちゃんとした監督に思えて仕方なかったんだ。僕らと違うエネルギーを持っているしね。彼らの方が洗練されていると感じた。

ダニー 全てが非現実的なように感じられて、本作の興行収入の数字を見ても圧倒されているよ。「Harry Potter vs Star Wars」のことを考えるとシュールに思えるね。ああいう動画は友達と話し合って演じるだけだから、いつも作るのが楽しかった。

Racka Racka「Harry Potter VS Star Wars」

──YouTubeの制作と映画の監督において、どんな点に最も違いを感じましたか?

ダニー 主に音響かな。音楽に関してはキメるのが難しかった。自分にとって大切にしていた部分でもあるし、過程がとにかく複雑だったよ。だってYouTubeならだた「オーケー」とその場で言って、そのあと自分で直せるからね。でも長編映画の場合は、それができない。最終的には音響が完成できて嬉しかったけど、次作への大きな教訓としてはもっと早い制作段階から音について考えたいと思った。プレプロダクションの時や、もはや脚本を書き始めるくらいの頃に。完成間近に叩きつけるのではなく、もっと脚本の骨の部分まで音楽が染み込むようにね。

次回の挑戦として楽しみにしているけど、監督としては全てを自分でやる必要がないことにとても安心した。もし僕らが何かをダメにしそうになっても、誰かに渡してクリアにしてもらうことができる。加えて、本作のプロダクションデザイナーのベサニー・ライアンやサウンドデザイナーのエマ・ボードンのように素晴らしいアーティストとコラボすることもできる。自分一人では到底達成できないことを尊敬する人たちが一緒にやってくれる。本当に信じられないことだよ。ヴィジョンを設定して、みんなで実現に向けて協力する。映画製作の美しさとは、コラボレーションだ。

マイケル そうだね、お互いを見守りあって動く。映画を作ることはグループワークそのものだ。決して僕とダニーだけで作っているわけじゃない。脚本でさえダニーがいて、ビル・ハインツマンがいて、コンセプトを持ったダニー・ピアースがいて、メモをくれたサム・ジェニングスがいて。全員が関わっているんだよ。僕は常に現場で学ぶばかりだった。

『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』メイキング写真
©︎ 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

──『Talk To Me』はすでに続編の製作が決定していますが、話せる範囲でお話を聞いてもいいですか?

ダニー いいよ、実は2つのバージョンを書いていて、一つは前作のキャラクターを再登場させて彼らに再び焦点を当てるもの、もう一つは“手”と出会った新しいキャラクターに焦点を当てるものだ。続編の脚本の執筆過程はそんなもんだけど、今はまだどちらに進むか決めかねている。まだ制作が始まって日が浅いからね。

──楽しみにしています。最後に、お二人は誰と“トーク・トゥ・ミー”したいですか?

ダニー ヒッチコックだね! 彼と映画の話をしたい。

マイケル 僕のおじいちゃんかな。やあ、って挨拶したい。

記事トップへ戻る

全ての画像・動画を見る(全22点)

作品情報

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー

© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー

2023年12月22日(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ギャガ

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督:ダニー・フィリッポウ&マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド、ジョー・バード、アレクサンドラ・ジェンセン

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram

COLUMN & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram