tetsuya率いるコピーバンドが歓喜で満たした日比谷野音公演
極上の夢を見せたLike~an~Angelのパラレルワールド、圧倒的名曲群に新たな彩りを加える
2023.10.23 19:00
Like~an~Angel “PARALLEL WORLD 2023” より(写真:岡田貴之)
2023.10.23 19:00
“コピーバンド史上初の日比谷野外大音楽堂ワンマンライヴを敢行!!”と銘打って行われたLike~an~Angel “PARALLEL WORLD 2023”。2023年10月7日の日比谷野外大音楽堂はまさに来場者、演者全てを巻き込んだ一夜限りのパラレルワールドといった様相であった。
一応、改めて当バンドについて説明しておくと、Like~an~Angel(ライク アン エンジェル)とは、L’Arc~en~Cielのtetsuya(Ba)が率いる“L’Arc~en~Cielのコピーバンド”である。2023年4月1日に自身のSNSにて始動を発表。投稿日がエイプリルフールであった事、さらにtetsuya以外のメンバーがシークレットとなっていた事から、嘘か誠か、誠だとして参加メンバーは一体どうなるのかと世間をざわつかせていたバンドだが、宣言の通り去る5月30日に代官山UNITにて初ライヴを敢行。後に本公演の発表となった訳である。
開演時刻を少し過ぎた頃だろうか。日比谷野外大音楽堂に華やかなSEが響き渡る。期待高まる中、どうやら今宵の参加メンバーがSEに乗せてアナウンスされている模様。固定メンバーである事が明言されていないバンドでもある故、ひょっとしたら代官山のライヴとはまた違った編成での登場になるかも知れない。これは聞き逃す訳にいくまいと集中していると、どうやら始動時と同じくドラムはhibiki(摩天楼オペラ)。ヴォーカルはjekyll。そしてベースは勿論、tetsuyaである。……のだが、なんとギタリストが2名アナウンスされているではないか。
周知の通り4ピースバンドであるL’Arc~en~Cielではあり得ないツインギターの特別編成。しかもアナウンスでその名を聞き間違えていなければ、まさか……との筆者の思いは両翼のオンステージで確信に変わり、思わず感嘆の声が漏れ出てしまう。なんと上手にはNEMOPHILAのsaki(その他Mary’s Blood, AMAHIRU, etc)、そして下手にはLa’cryma Christiのhiro(その他Libraian, Creature Creature, Acid Black Cherry, etc.)。マジで凄え!(余談だが筆者はsakiの動画企画の司会を務めさせて頂いた事がある)
ライヴはL’Arc~en~Cielのメジャー1発目のアルバム『Tierra』のオープニングを飾る「In the Air」からのスタート。淡いブルーのオーバーサイズなシャツの上にベージュのニットベストを合わせた秋らしい装いのtetsuyaが早速ベースを唸らせる。jekyllはステージ中央にどっしりと構えて雄弁に歌声を響かせ、sakiはのっけから煽るわ飛ぶわと、全身でLike~an~Angelのステージに立つ喜びを表現している。続く「THE BLACK ROSE」の艶やかな疾走感で場内を陶酔へと誘ったかと思えば「The Rain Leaves a Scar」の終盤ではドラムソロが組み込まれるアレンジとなっており、hibikiがド派手にメタリックかつテクニカルにしてトリッキーなフレーズ(ツーバス踏みまくりでスティック回しまくり)を連発。客席を大いに沸かせた。
MCを挟んでプレイされたのはヘヴィなリフが特徴的な「死の灰」。hibikiが直前とは打って変わって重心を落としたドラミングで魅せると、tetsuyaも負けじとキツく歪ませたベースで応酬。なんとも腰に来る、グルーヴィーなリズムである。原曲よりも一層ヘヴィさを増している様にも思えたのはツインギターが成せる妙なのだろうか。ガノタ(ガンダムオタク)にはたまらない選曲の「DAYBREAK’S BELL」に続く「CHASE」はjekyllの出自を活かす形で英語バージョンでの披露となったが、ここでベースの機材トラブルにより演奏は一時中断。期せずしてのtetsuyaのMCに客席は大盛り上がりで、中には“お誕生日おめでとう!”の声も(tetsuyaの誕生日は10月3日)。しかしさすがのスタッフチームである。程なくしてトラブルは復旧。tetsuyaは“10分くらい喋るつもりだったのに、残念やな”とイタズラっぽく微笑んでいた(笑)。
hiroが弾くハードロック調のリフやプログレッシブな曲展開に思わずLa’cryma Christiをオーバーラップさせてしまった「THE NEPENTHES」とtetsuyaの指弾きに包み込まれる様な感覚に陥った「真実と幻想と」の次はギタリスト2名によるソロコーナー。互いに一歩も譲らずギターを泣かせまくるという熱く美しいバトルだったが、「fate」のメロディを途中で組み込むというsakiの粋なプレイには思わず客席も拍手喝采。これはライヴ後にsaki自身がXにて発信していたが、本家であるkenをオマージュしての演奏だったとの事。同ポストではその他にも本公演についての熱い思いや裏話が長文で綴られているので、是非ともご一読頂きたい。(sakiのポストはこちら)
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