2023.10.15 18:00
2023.10.15 18:00
10月14日に公開された映画『サーチライト -遊星散歩-』主演の中井友望。本作では若年性認知症を患った母との生活を守るために奔走する女子高生という難しい役柄を、初の単独主演にして見事に演じきった。
今年に入り、4本の長編映画に2本のドラマ出演。オファーが後を絶たない彼女は、なぜさまざまな作品で求められるのか。心の内をまっすぐに話す彼女の言葉から、そのヒントが見えてきた。
複雑な事情を抱えた主人公を演じて
──『サーチライト -遊星散歩-』で演じた果歩は難しい役どころだったと思います。脚本についてはどういう印象を持ちましたか?
果歩役に決まってから、脚本の小野さんが当て書きしてくださったんです。現場にも来てくださって、「果歩という役をよろしくお願いします」って言ってくださって、その思いを受け取りながら演じることができました。監督の平波さんと初めてお会いした時は細いことはあんまり話さなかったんですけど、いい距離感で、あんまり言葉を交わさなくてもすごく信頼感がある形で撮影を終えられたと思います。
──複雑の事情を抱えている役だったと思うんですが、ご自身とどうリンクさせていきましたか。
環境はもちろん経験したことがないので分からないですけど、感情的な部分とか、人として元々持っているものは、当て書きということもあってすごく自分と近いと思ったので、そこは私のままでいいかなって思っていました。認知症の問題とか、果歩はそれについて詳しく知らないだろうと思ってたので、難しいことは何も考えず、その時にぶつかる問題に一生懸命に当たっていくっていう感じでした。
──映画は母親役の安藤聖さん、上野輝之役の山脇辰哉さんとの会話にウェイトが置かれていますが、お2人に影響を受けたり、与えたりなどはありましたか?
お母さん役の安藤さんからは若年性認知症という不安定なお芝居を見て果歩が感じることを出せるので、お母さんありきで表立てられているってどの場面でも思わせてもらいました。逆に山脇さんからは、何を言っても受け止めてくれるんだろうなっていう安心感や許容の広さみたいなものを、山脇さんという人としても、上野くんという役柄としても感じていました。感情的になる場面も、ずっとそういうふうに居てくれたからできたと思います。
──役者間の演技においても自由度が高かったのでしょうか。
全体的に自由だった気がします。平波監督がふだんからこういう方なのか、こういう物語だからなのかっていうのは聞いてみないと分からないですけど(笑)。
──細かく演出されてそうな内容なだけに意外でした。今回演じた果歩は16歳という役どころでしたが、中井さんご自身はどんな16歳でした?
性格はすごく似てたかもしれないです。人と関わるのもあんまり好きじゃなかったので。それこそ上野くんみたいな子が来ても壁を作っちゃうとか、あんまり学校も行ってなかったりとか。反抗的でしたね。人に対してというより、すべてのものに対して。
──ミスiDの時もおっしゃってましたね。16歳の頃に素直になれていた存在はいましたか?
犬ですかね? その時実家で飼ってたワンちゃんとずっと一緒に居ましたね。話しかけたりとかして。
──環境が変わった今、同じように甘えられる存在はいますか?
ずっとじゃないですけど、友達とかお母さんとか。いざという時に何か言えたり、遊んだり。甘えるっていう手段ではないですけど……。
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