幻のミュージシャンをめぐる青春映画『PLASTIC』が公開中
宮崎大祐×小川あん、音楽に心酔する監督と役者が振り返る“奇跡の瞬間”
2023.07.27 17:00
2023.07.27 17:00
最後の勢いが誰かの始まりに繋がるといい
──小川さんは状況に応じて演技をライブ的にやっていくタイプですか?
小川 現場に入るまでは核部分だけが作って、それを中から外に広げていきます。結局のところ一番外の部分って、場所や人に触れないとわからないので。でも、どんくさい部分があるから少し苦労しています。宮崎さんが言うようなその場の反応でやってOKなタイプでありたいけど、それがコントロールできない瞬間がよくあるので、そこは修業中です。
──瞬発力、エチュード的なってことですかね?
小川 はい。エチュードは好きだけど、エチュード過ぎると難しい役があって、役と自分の自然の反応はまたちょっと違って非常に難しいと思っています。
──3.5次元的な、リアリティをしっかりと絡めた映画だと難しいですよね。今回脇を固められる小泉今日子さん、鈴木慶一さん、尾野真千子さんがいらっしゃって、尾野さんとは親子の関係ですけどご共演されてみていかがでしたか?
小川 現場に居るときはカチッとされていてインパクトがありました。私もそれを探って撮影してた部分があったんですけど、尾野さんとか小泉さんのカチッと堅いものがあると、こっちはそこにぶつかっていけて、またストレートな反応で返してくれたので、シンプルの中の極みがすごいと思いました。
──このキャスティングの背景は?
宮崎 小泉さんは『VIDEOPHOBIA』の上映会をお友達とやってくださるぐらい気に入ってくださっていて、今回の作品が古い感じのしない、新しいものに理解あるお母さんという役だったのでぴったりだと思ってお願いしました。鈴木慶一さんの役には、ロックの伝説的な方がいいなと思っていました。ジュンの背景の説明はないんですけど、ジュンが達成してきたことに想像が及ぶような人、こういう人に育てられたらジュンみたいな人ができてもおかしくないよなっていうおじいちゃんっていうイメージでキャスティングさせていただきました。尾野さんはもともと僕もファンではあったんですけど、プロデューサーの仙頭さんから尾野さんにお願いできそうだというお話を伺って、ご一緒したかったのでお願いしますとお伝えしました。
──よりグッとレイヤー感が深まるキャスティングですね。
宮崎 かなり幅が出るというか。凸凹な者たちが反響し合ってどこかで美しく響く瞬間がお客さんにあるっていう映画が作りたかったから、全員違うタイプのお芝居をされる方々をキャスティングできてよかったし、皆さん素晴らしいお芝居でした。
──ジュンの夢は学生ミュージシャン志望っていう設定でしたが、お二人の学生時代の夢を聞いてもいいですか?
宮崎 中学生の頃の夢はロックミュージシャンでした。今まで生きてきて初めて人の前で言ったかもしれないです(笑)。音楽は早々に天才がい過ぎて、気力が失せて……聴けば聴くほどやる気が落ちていって、僕がやるべきことなんかないなと思っちゃったんですけど。でも、初めてこういう夢を追いたいなって思ったのはギタリストでしたね。
小川 まさにイブキなんですけど、映画界に入る前まではNASAに入りたくて。宇宙飛行士じゃなくて、NASAで通信するスタッフに憧れていました。博物館とか宇宙関連の場所にいっぱい行ったりして……。あと考古学者とか。
宮崎 かっこいい。アメリカっぽいコミュニティですね(笑)。
──若者の気持ちの移り変わりや外的要因における制限もキーワードだと思うのですが、最後に映画をご覧になられる若い世代に対して、一言ずついただけますでしょうか。
宮崎 普通に観れて、きっと皆さんにも共感していただけるような映画でもあるんですけど、一方でこの映画を観て、音楽を始めようとか、映画を始めようとか、違う街に行ってみようとか、何かを始めるきっかけになるといいなと思っています。まずは観ていただけたら嬉しいです。
小川 私も一緒だった(笑)。ラストカットもそうですけど、そこから始まりの映画でもあるから、最後の勢いで誰かの始まりに繋がるといいなって思いますし、色鮮やかな映画なのでいろんなインスピレーションになると嬉しいなと思います。