庄村聡泰が私見を交えて今年の注目アクトを総括
開催まで4週間!8,000字でも伝え切れないフジロックフェスティバル ’23の見どころ徹底解説
2023.06.30 18:00
2023.06.30 18:00
(文/庄村聡泰)
さて、前回の執筆時から経過すること3ヵ月弱と言ったところか。ついにその全貌がほぼ明らかとなり、あとは皆さんお待ちかねのタイムテーブルの発表を待つばかり(勿論追加アクトなど他にも発表は残っとるだろうけども)となった「FUJI ROCK FESTIVAL ’23」。開催までちょうど1ヵ月を切ったこのタイミングでまたもや私ショウムライターがあれこれと書かせていただく事となった。
6月30日本日時点でタイムテーブルが未発表であるが故に、具体的な動向をイメージする事は難しいのだが、すでにもう気持ちは苗場へと向かいつつある。ステージ割も発表されたことだし、何となくの出順の予測も可能というもの。これは早々にイメトレも始めておかねばならない段階に来ているであろうということだ。
……の前に6月に入ってどどんと大量追加となったラインナップについても触れておかねばなるまい。先ずはFrancois K.である。キャリア初期ではドラマーとしての活動で渡米。70年代中頃、クラブカルチャー黎明期であったシーンとの邂逅を経てDJ、プロデューサーへと転向。その後当時のニューヨーク周辺ほぼ全てのクラブでのプレイが話題を呼ぶ中で80年代にはリミキサー、エンジニアとしてのキャリアも確立。90年代からはDJとしての活動を再開。以降伝説的なパーティー「Body & Soul」の中心人物として世界を股にかける活躍を見せることとなる。クラブカルチャーの生き字引が3日目のRED MARQUEEに出演となった。
そして待ってました!ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA。毎年あっと驚く豪華メンツで繰り広げられるセッションが今年は初日のGREEN STAGEに登場。ルースターズ(その他プロジェクトにも多数参加)の池畑潤二(Dr)を屋台骨とした鉄壁のアンサンブルに加わるゲストとして奥田民生、トータス松本、土屋アンナ、Doulの出演がアナウンスされている。これだけは毎年どうしても観ておきたいというオーディエンスも多いのでは?
加えて同じく池畑潤二を中心とした苗場音楽突撃隊が今年も苗場食堂を大いに盛り上げてくれる。フジロック出演のアーティストから完全シークレットのゲストが飛び入り(文字どうりの”突撃”である)参加でその場限りの演奏をすることがお馴染みなのだが、3日間通しての出演の中、果たして今年は誰がサプライズを届けてくれるのだろうと楽しみでならない。
苗場食堂その他のアクトでは初日にTempalayのドラマーである藤本夏樹のソロ出演やdawgssにilliomoteとデュオのラインナップが熱い。2日目はOchunism、Billyrromm、森大翔と今後この規模では見られなくなるであろう、次なるメインステージアクトの可能性を秘めた面々とRAZORS EDGEやCOMEBACK MY DAUGHTERSが激突するというイカした采配が見られ、3日目はあのクリス・ペプラーがボーカル&ベースを務めるバンドのNONE THE WiSERに、2007年以来のフジロック参加となる大阪出身総合エンタテインメントバンドの赤犬や、“踊れるジャズ”をコンセプトとした実力派ジャズバンドのTRI4THなどが名を連ねている。
昨年のゆらめく蝋燭の中で星空へ突き抜けていった清春の歌声がいまだに忘れられない筆者であるが、そんなフジロックの中でも特に異空間(ヨガのワークショップから始まるステージでもある)が味わえるであろうPYRAMID GARDEN。こちらでは1日目に日本音楽界の至宝、加藤登紀子やPolarisのオオヤユウスケ(Gt,Vo)とROVOの勝井祐二(Violin)が“歌と即興演奏の垣根を越境”するユニットとして登場。2日目はASA-CHANG & 巡礼、君島大空(独奏)、MOROHAとあの空間をそれぞれの色に染め上げてくれること間違いなしのメンツが揃う。服オタでもある筆者としてはHYSTERIC GLAMOURデザイナー北村信彦とUNDERCOVERデザイナー高橋盾がDJユニットとして出演するDJ ZAMIANGの出演も嬉しく、そして驚きでもあるニュースだった。
3日目はGOMAのディジュリドゥが織りなすディープでオーガニックな世界に身を浸すもよし、15年ぶりのソロアルバム『いま』がリリースされたばかりのクラムボンのボーカル、原田郁子の歌声に抱かれるもよしだが、90年代の大ヒット曲「Would I Lie To You」で知られるEDDIE CHACONがまさかの来日、しかも奇跡のカムバック作『Pleasure, Joy and Happiness』と今年の新作(超良かった)『Sundown』のプロデューサーでもあり同日のRED MARQUEEに出演するJOHN CARROLL KIRBYを従えてのステージという事で、これもめちゃくちゃ観たいなあ。
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