関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ! 第14回
実話に基づくストーリーとマ・ドンソクの迫力に痺れる『犯罪都市』
2023.06.25 12:00
2023.06.25 12:00
差はストーリーを支える役者の存在感
最近、予告編はすごいのに観に行ったら全然つまらない韓国映画がありました。主人公が、たとえば『犯罪都市』や『悪人伝』だと三番手、四番手の顔なんですよ。だからストーリーを牽引しきれていないと感じてしまった。ヤクザが組の中で成り上がっていくタイプの映画で、プロットもよくあるタイプですよね。こういうのは『犯罪都市』のような凄い作品を観ると、少し甘く感じてしまう。
韓国映画は復讐もの、ヤクザものが多いのでストーリーも似たようなものが多いんです。ただ、その中で光る作品とそうでないものの差は、やはり役者だと思います。以前紹介した『アシュラ』も、俳優陣が素晴らしいですよね。ファン・ジョンミンに、チュ・ジフンにクァク・ドウォン、そして主演のチョン・ウソン。彼らのような役者がいないと、難しいですよね。
余談にはなりますが、以前話した通り僕はファン・ジョンミンが大好きで、先日彼が本人役で誘拐される映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』(2021年)を観たんですけど、誘拐犯役の人がとにかく気持ち悪くて怖くて素晴らしかったです。主演に限らず、やはりちゃんとストーリーを支えられる役者がいないとダメだなと感じました。昔ね、勝新太郎さんがライバルである市川雷蔵さんの映画を観て「らいちゃんが出ているとさあ、画面がいっぱいになるんだよなあ」と言っていたことを思い出しました。隙間がなくなるんですって。ところが二流三流の俳優だと、(画面が)スカスカになっちゃうんですよ。
改めて『犯罪都市』は韓国映画を普段あまり観ていない方でも観やすい作品です。何故なら、主人公が警察側(善)なので共感できるから。悪い奴しか出てこない『アシュラ』とかになると誰にも共感できないからちょっと難しいけど(笑)。続編の『犯罪都市 THE ROUNDUP』も面白いのでオススメです。最初のシーンから掴みが強く、何よりも舞台がタイになっているので、海外ロケならではの映像が魅力的でした。第1作目に登場したキャラクターとの繋がりもあるので、そこも楽しめると思います。
第3作目が5月22日に韓国を含め海外158ヵ所で先行公開されたそうですが、やはり1、2作目を超えるすごい悪役が出てくることに期待してしまいます。そんな相手に苦戦する、マ・ドンソクを見てみたい。