新しい日本舞踊を提示する未来座『舞姫』が国立劇場で上演
舞踊家として、女優として。多岐に活躍する藤間紫が模索する「未来のかたち」
2023.05.31 18:00
2023.05.31 18:00
女優・藤間爽子としての「日常」
──藤間さんは現在、「女優・藤間爽子」としても幅広い活躍をされていますが、ドラマ出演等も近年とても多くなりましたよね。
……『silent』(フジテレビ)の反響はすごかったですね。どこに行っても『silent』の話を聞いたり、ロケ地が聖地みたいに盛り上がっていて。映像のお仕事って、評判を直に聞くことはなかなか機会がないんです。もちろんSNSを通して知ることはありますが、入ったカフェで近くの席の人が話題にしているとか、そんなことはこれまで経験がなく。なかなか衝撃的な体験でした。
──街中で声をかけられることも増えたのでは?
少し増えましたかもしれません。でも、おでこを出していないと気づかれないこともあります。あとお団子ヘアの時にも話しかけられます。「藤間爽子=お団子」というイメージが定着しているのかもしれないです(笑)。『マイファミリー』(TBS)のときは現場で松本幸四郎さんと1日だけご一緒になりまして、私の役柄もあり、会うたびに「悪い人だ!」と言われて(笑)。日舞の世界で繋がっていた方々とドラマや映画の現場で会えると、また別の嬉しさがあったりします。
──雑誌ではモデル的なお仕事もされていますが、そういったお仕事の広がりが日本舞踊に影響するということはありますか?
いろいろなお仕事をさせていただくことにより、「場数を踏む」ということが自分自身のためになっているな、というのは感じます。あと、ドラマや演劇の舞台等で私を知っていただいて、日本舞踊の公演を観に来てくださる方が増えました。 それは本当に嬉しいです。
──女優、舞踊家と双方の活動をされていると日常はどんな感じなのでしょうか?
お弟子さんに教えること、また自身もまだまだ学ぶ事が多いので、他の方に見て頂く形での「自身のお稽古」というのを合間合間に行っていく、というのが基本です。
──いろいろとプレッシャーを感じたり、お仕事で悩まれたときはどうしていますか?
基本的に、1日たてば忘れるタイプです(笑)。ただ、「人と会うこと」は大好きなので、なにか考えこんでしまうような事があったら、友人や近しい人に話すようにしています。あとは美味しいものを食べる、いい舞台や映画を観る、温泉に入りにどこか旅行に行く、とかもあります。近年は海外旅行にも行けなかったので、そろそろ行きたいな、と思っているところです。
──休日はどんな風に過ごされているんですか?
友達とご飯を食べたり、劇場や映画館、美術館に行ったりしています。例えばお仕事で地方に行って中休みがあると、基本的に全力で楽しみたいタイプなんです。必死になって観光地や美味しいごはん屋さんを見つけて回ります。先日は、仕事で大阪に行った時に1日だけ休みの日があり、初めて吉本新喜劇を観に行きました!
──吉本新喜劇!
お笑いは好きで、浅草で若手のライブを見かけたらふらっと入ることもあります。でも「本場の吉本新喜劇を観たことは無いぞ?」と思い足を運んでみました。実際に行ってみたら、こんな安くてこんなに面白くていいの!? と。客席も皆さんすごく自由といいますか、本当によく笑う。それに感化されて私も、東京では出したことがないくらいに大声で笑いました。笑うことって健康的なんですね! とても楽しかったです(笑)。また、常にそれを上演している劇場がそこにあり、いつでも観にいけるというのもいいなと思いました。
──「舞台」の方ならではの視点ですね。日本舞踊もやはり、もっと身近なものになって欲しい」という思いはあるのでしょうか?
歌舞伎には歌舞伎座があるように、例えば日本舞踊の公演が常に観られる常設劇場があれば、というのも一つの方法ですね。そういう場があれば、今回の未来座公演ではないですが、もっと新しい試みにもどんどん挑戦できるような気がします。私は古典作品も大好きですが、今回の公演のように「みんなで0から1にしていく」という作業もとても好きです。またこれから先、若手がもっと自由に試すことができる場があれば楽しいのにと考えたり。お客様もお稽古ごととして習うでも、気軽に「観に行ってみよう」でもいい。せっかく日本には「日本舞踊」というものがあるのだから、もっと身近に感じてくれたらと思っています。