2023.04.16 17:00
2023.04.16 17:00
曲を作りたいから楽器は何でもいい
──Anabebe的に「これやってやった曲」は?
Anabebe アルバム『微笑』の「東京ミッドナイト feat. Botani」っていう曲ですかね。めちゃくちゃこだわってるキックがあって。あれはPrefuse 73から出たブレイクビーツをメローな日本の曲に入れまして。
OCHAN 興奮しましたね。
──Prefuse 73から引用したって初めて聞いたかもしれないです。『微笑』のドラムラインは初期衝動が詰まりまくってて、やり散らかしている感がすごくあって(笑)。挙げてくださった曲も初期のリード曲みたいなニュアンスでしたよね。
Anabebe そうです。
──タイトルとか完全に……(笑)。
OCHAN ちょっと恥ずくなるような(笑)。
──でも、「東京ミッドナイト feat. Botani」で想起させられる要素が多くて最高だったなと思います。
OCHAN そこが面白いなと思って。「東京ミッドナイト feat. Botani」の歌詞ってクスってなるんですけど、破壊している部分が交わった時に分かる人は分かってくれるのかな?みたいな。「NIKO NIKO TAN TAN」っていう名前も「え?」みたいな。だけどやってる音楽こんなんっていう、ギャップが面白いじゃないですか?
──4人や5人のバンドじゃなくて、少人数編成ならではの曲作りもすごく感じる気がします。2人だからこそ、あそこまでふり切った状態で出せるみたいな。
OCHAN まさにそうかもしれないです。
──最初はバンドだったんですか?
OCHAN Anabebeはドラムで、俺はリードギターやったんですよ。ボーカルがいて、ベースがいる普通の編成ですね。
──それより鋭い遊びができている感覚にうまみは感じてますか?
OCHAN はい、それが作りたくてやってますね。
──過去のインタビューで「ギター散々弾いたしもういいや」みたいな発言も見ましたが(笑)。
OCHAN ギター好きでやってたんですけど、一つを極めるタイプじゃないって自分で思うんですよね。結局曲を作りたいんですよね。その中の一個の音としてのギターっていうのが自分に合ってると思って。楽器は別に何でもいいなって。
──やろうと思えばベースもいけるんですか?
OCHAN うまくないですけど弾けます。
──いつかギターをフィーチャーすることも?
OCHAN 全然やります。去年のワンマンではボウイングやったんですよ。そういう使い方を今してるんですけど、リフ「バーン!」みたいなのやりたいですね(笑)。
──過去のインタビューでルーツに「フレッド・フリス」って名前を出してましたよね。僕はプログレを聴きまくってた時期にヘンリー・カウで知って。
OCHAN フレッド・フリス好きです。速弾きにはまってた時期があったんですけど、その時にフレッド・フリスの動画を偶然見てすごい衝撃を受けました。
──フレッド・フリスとか、ビル・フリゼールもそうだと思うんですけど、手動かすより脳みそをどう回転させるかに行くギタリストというか。それは動画でフリスが「あっ、俺こっちなんだ」って教えてくれたみたいな?
OCHAN そうです。今でも忘れないですね。
──そのフリスとの出会いはいくつの時でした?
OCHAN 18歳とかですね。ギター叩き始めたり。
──すごいですよね。ギターはどこを叩いても一応音は出る楽器なんだっていう(笑)。
OCHAN 初めて見たのが、弦とフレッドの間にドラムスティックを挟んで、ぴょんぴょんずっとやってるやつで。お客さんめっちゃ入ってて、どう聴いてるのかなって(笑)。そこから好きになって。上京したばっかのときに一回フレッド・フリスがMASSACREで下北沢GARDENに来たんですよ。
──あ、それ行けなかったんだよなあ……。
OCHAN インタビューでこの話できるの初めてです(笑)。観に行って衝撃を受けました。曲っていうか、始まりも終わりもよくわからない時間がずっと続く。あの狂気がたまらないですね。
──フリスの動画もAnabebeさんに見せたわけですよね。
Anabebe あんまりわからなかったです(笑)。
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