主演女優2人が明かす映画『ベビわる』舞台裏と人生の分岐点
髙石あかり×伊澤彩織の間にある絆と尊敬、再びの共演で深まった“演技を超えた”関係
2023.03.25 18:30
2023.03.25 18:30
3月24日より全国順次公開された、殺し屋女子2人の日常を描く青春群像映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』。鬼気迫る殺陣やガンアクションなどのバイオレンス描写もある本作だが、髙石あかり演じる杉本ちさと、伊澤彩織演じる深川まひろの“素”のような掛け合いを見ると、鑑賞後はほんわかした気持ちに包まれる。
前作は大好評で、公開後髙石は相次いでドラマや映画に出演するなど躍進。スタントパフォーマーの伊澤は「第31回日本映画批評家大賞」で新人女優賞を獲得し、着実に活躍の幅を広げている。そうした分岐点を経て、再び“ちさまひ”を演じ切った2人はどんな気持ちで公開を迎えたのだろう。撮影の舞台裏、そして映画からも十分に伝わってくる互いの関係性に迫った。
前作で環境が大きく変わった
──前作『ベイビーわるきゅーれ』公開から約1年8ヵ月。再び本シリーズへ出演できたことへの想いを聞かせてください。
髙石 初主演を務めた前作の反響が本当にすごくて、色々な方に「『ベイビーわるきゅーれ』を見たよ」と言っていただいたんです。作品への出演で環境が大きく変わり、お芝居の幅も広がりました。感謝でいっぱいですし、「もう一度“ちさと”と”まひろ“を見たい」という声をたくさんいただき、再び形にできたのがうれしいです。
伊澤 私も前作の反響を受けて、環境が変わりました。アクションの部分だけで映画に関わっていた時代より、色々な方に見ていただけるようになったんです。初主演作で「アクション映画としてすごかったよね」と言っていただける作品に関われたのは誇りですし、このシリーズアクション界隈をもっと盛り上げていきたいなと思います。
──今作では殺し屋の兄弟を演じるゆうり役の丞威さん、まこと役の濱田龍臣さんなど、新キャストも追加されました。撮影現場での変化は?
髙石 お二人とちゃんとお芝居したのは定食屋のシーンぐらいだったかな。撮影現場で会うのに、お芝居で関わる場面はそう多くなかったんですけど、仲だけがどんどん深まっていきました(笑)。
伊澤 撮影の合間でたくさん話したし、ふざけ合っていました。龍臣くんがずっと、韓国のゲーム配信者のマネをしてたのも覚えてる(笑)。
髙石 やってましたね(笑)。
伊澤 撮影現場は和気あいあいとしていて、オフショット撮影中に丞威さんが「何やってんの?」とフラッと入ってきたこともあったり。阪元(裕吾)監督のチーム自体が若かったので、同世代の方々に囲まれての撮影は楽しかったです。
──鬼気迫る殺陣やガンアクションも勿論みどころで、伊澤さんは今作に備えて「身体操作の底上げ」をしたそうですね。
伊澤 本番までの期間は、ひたすらボクシングのミット打ちをしていました。ワンツー、フックを延々と繰り返す、みたいな。
髙石 園村(健介アクション監督)さんと3人でトレーニングしたときも、伊澤さんはひたすらミット打ちしてました(笑)。
伊澤 そうそう(笑)。でも、ミットを力任せに打つのではなく、園村さんの教え通りに自分の骨盤と背骨、肩甲骨の動き方などに意識を集中させながら打ち込んでましたね。トレーニングでは、園村さんは人体についての知識が豊富で「肩甲骨や骨盤をどう動かせば、パンチが強くなるのか」という所から学びました。強いパンチが打てるようになったら、次は、覚えたフォームをもとにアクションへ昇華していくんですけど、本番まではそうした教えを参考に、よりよい見せ方を研究していました。
髙石 私もマンツーマンで園村さんに教えていただく機会があり、アクションの基礎を教わりました。例えば、前鋸筋(ぜんきょきん ※ろっ骨に付いているのこぎり状の筋肉)への意識は新しく学んだことで。パンチをするときに腕をただ前に出すのではなく、前鋸筋を意識して打つと「体の部位が連動しているのが分かる」と教わったんですけど、園村さんの言葉が分かると、殺陣を付けるときの注意点が自分でも分かるようになるんです。アクションに広がりが生まれたので、もっとやってみたいなと思いました。
──特報映像では、伊澤さんが上半身だけのレスラーのような人形に、黙々と攻撃するシーンもありましたよね。
伊澤 阪元監督から「よけるムーブも入れながら、ひたすら連打してほしい」と指示をいただいので、無心でやっていました。上半身レスラーは園村さんの私物で、園村さんの練習場においてあります。よく「ボブ」と呼ばれてます。私も練習の時によく使せてもらっている良き練習相手です。
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