2023年第一弾曲「Enchant」で打ち出す“攻め続ける”モード
THE ORAL CIGARETTESの新たな武器、縛られないことで手に入れた強さ
2023.02.14 18:00
2023.02.14 18:00
貪欲にかっこいい楽曲を作ることにシフトチェンジした
──拓也くんにとっては2022年はどんな1年でした?
山中 コロナが始まってからずっと悩んでいたことの答えを確認していっていた感じでしたね。2020年、2021年っていうのはやっぱり考える時間が多かったんです。もう1回自分のバンドを見直したり、自分たちの音楽について考えたり、30歳以降どうしていこうか、みたいなこととか。「誰に認められたいのか」とか「っていうか認められることってそんなに大事なのか」とか、すごくいろいろなことに考えを巡らせていた2年間ぐらいがあったんですけど、自分の中で去年の頭ぐらいにちょっとずつ答えみたいなのがもう見えてきて、「ほな1回ちょっとその感じでやってみよう」っていう答え合わせを1個1個活動としてやってきたというか。楽曲においてもそういうのがどんどん前向きに出ていくっていう。そういう1年間って感じでしたね。
──「PARASITE DEJAVU 2022」のワンマンの本編ラストで拓也くんが今までの自分に別れを告げてステージから消えるっていう演出があったじゃないですか。あれがまさに辿り着いたひとつの答えだったと思うんですが、あの見せ方に行き着いたのはどのタイミングだったんですか?
山中 うーん、そこまでの1年ぐらいがでかかったですね。アリーナツアーがコロナの影響で中止ってなったときまでは、まだ自分の中でマインドはそこまで変わっていなかったんです。でもその後に──結構俺らって難しいことを言ったり、伏線張りまくって「それをいつ回収しよう」とか、それをお客さんにどうわかってもらうかとか、そういうふうにずっとやってきたけど、そんなことを今伝えるよりも普通にただただライブを楽しんでもらって「楽しかった」って帰れるライブじゃないとダメなんじゃないかって思うようになって。あんまり難しいことを考えず、ただ音楽を楽しむ状況を作っていく、そのためには俺ら自身もそうならなあかんなとか、そう思い始めたのが一昨年の夏終わりぐらい。そこからでしたね。
──そういうマインドで新しい曲も作ってきたわけですよね。でも「ENEMY feat. Kamui」にしろ「BUG」にしろ今回の「Enchant」にしろ、はたから見れば「オーラル、めっちゃ攻めてるじゃん」っていう感じもするんだけど、そのあたりの感覚はどうなんですか?
山中 それは、言い方をずっと悩んでいるんですけど、俺らはお客さんの顔が楽曲を作るときにかなり作用していたバンドだったと思うんですよ。でも去年入ってからは、そこよりも自分たちがどう研ぎ澄ましていくかみたいなことの方を重視している気がするんです。とりあえずかっこいいものにするっていうことに貪欲に楽曲を作っていくっていうところにシフトチェンジしていったっていうのが、たぶん「ENEMY」「BUG」「Enchant」っていう流れに繋がっている感じですね。
──「BUG」は去年の夏にリリースされて、夏フェスでも瞬く間に広まって盛り上がったわけじゃないですか。ああいう受け入れられ方というのは想定内だったんですか?
山中 結構意外やった気がする。
あきら 「ウケたな」って思いました。「こんなに強くなるんや、この曲」って。それこそ拓也からデモが上がってきたときには正直「これってお客さんに伝わるんかな」って思ったし、でもかっこいいからやりたい、やってみようっていう感じやったんです。弾いてても楽しいし、聴いていてもおもしろいけど、ライブではどうなるんやろうっていうのはあって、拓也は「こうやってノったらええねん」ってあの振り付けやって見せてきたけど、「そうやってノるか?」みたいな感じやったんです。でもやってみたらみんなそうやってノってるんで(笑)。いいフロアですね、あれは。
中西 拓也がライブをより自由に楽しむというモードになってきたのが反映されている感じがしますよね。でも昔からそういうライブでの曲遊びみたいなのってちょいちょいやってたなって思うんです。それがさらにパワーアップした感じ、しかもそれがただおちゃらけてるんじゃなくて、ちゃんと楽曲としてその要素があるよねっていうのはファンの皆さんにも伝わっている感じがする。
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