2023.01.29 16:00
どうも小春です。
こちらの連載、私はキッチンにまつわると言いますか食に関するようなものを書いてゆくというコンセプトだったかと思います。
こんなに何度かここに文章を書き記しておきながらいうもんではないかもしれない話ではありますが、私はいうて食にこだわりがあったりするわけではないんですよね。
なのに、今まで仲良くさせていただいていた異性のあれやこれやの方々は何故かどの人もこだわりを持っておられました。違う感性の持ち主と関われているということで良いことだったんだろうとは思うのですけど。なので毎度相手の食の好みによって私も食生活も一緒に変更されてゆく日々でありました。
ジャンクフードが好きな奴、自分で作るのが好きな奴、寿司のえんがわが好きな奴、寿司のえんがわが好きな奴、寿司のえんがわが好きな奴、寿司のえんがわが好きな奴、お金ないのに外食が好きな奴、など、色々でした。
そして直近の相手から逃げ、誰からも縛られなくなった食生活。
さて何を食べれば良いんだ、逆に決めてくれる人がいないので困る。いや、今こそ自分の好きなものというものが見つかるのかもしれない。そして「小春は料理ができないもんね」という謎の決めつけをされたことが頭にこびりついていたので腹いせに料理を始めることにしたのだ。そう、突然。
フライパンというものに油を引かないとこびりついて面倒臭いことになるということも知らない状態で何故かレシピも見ずにオムレツというものを作ってみることにした。とりあえず悲惨だった。なんていうのだろう、黄色い謎の物体がフライパンの端に乗っていた。卵の集合体である。
これはレシピというものを見なければならないっぽいなと思い次はクックバッドというアプリをダウンロードした。
めちゃくちゃ沢山のレシピが載っていて逆に困った。どれにすれば良いんだ。しかも文章で説明されているんだが何のことを言っているのかよくわからない。おすすめはテロンフライパンと書いてあった。何それテロンとしてるのかな。よく読み返してみたらテフロンだった。そんなこと言われても今持っているフライパンが誰なのか分かるはずもない。
菜箸、ホイッパー、ゴムベラを用意してください。ホイッパーがない。それがないとダメなのか。そんなの聞いてないぞ。だけど他のレシピにはホイッパーなどかけらも表記されていなかった。誰を信じたら良いんだ。結局私は恋愛も信じたから上手くいかなかった事が多かった。これは疑った方がいいのか。しかし正解がわからない。仕方ないのでホイッパーの気持ちになりながら混ぜるしかなかった。
フライパンにサラダ油を入れ…サラダ油がない。この家にはサラダ油がない。ていうかサラダ油って何。なんでサラダって名前がついてんのこんなギトギトな油に。代用品はコレでもオーケー!とか代用品の一覧が欲しい。どれが正解かわからない。とりあえずバターをひくしかない。
サラダ油を入れ中火で熱しバターを入れ溶け始めたら回しながら全体に馴染ませます。
まて。もうバターは入れてしまっている。もっとバターを入れろって事なのか。なんで油とバター両方必要なんだ。もう他のレシピにした方がいいのか。でももう進んでいる。他のにしたところでそのレシピも正解なのかがわからない。とりあえずわからない。
弱火にし卵を入れ菜箸の間を空け混ぜながらフライパンも常に動かし半熟を作ります。
終わった。1度にやる事が多すぎる。読み終わった時には前半に何を言っていたのか忘れている。終わった。ていうか弱火だった。終わった。
その後もゴムベラに持ち替えるだとか色々な注文を読み落としつつとりあえず2度目のオムレツが完成した。前よりかはマシだった。そうか。まだレシピを読んだ方がマシなのか。
そこから取得すべく2ヶ月間毎日オムレツだった。凝り始めると止まらない性格をいい加減やめたい。正解が出てくるまで終えることができなかった。そして綺麗にできるようになったのである。
しかしながらもう2度と食べたくないという感じにはならなかった。食に特にこだわりがない証拠なのだろうか。いや、もう2ヶ月も同じ料理にこだわっている時点でとんでもないこだわりが爆誕してしまった。そしてその後も2ヶ月ごとに同じ料理をコツコツと行い続ける日々なのであった。
その後、猫を飼い始めたのだ。
なんかさみし〜、みたいな感情がパタっと消え去り、そして5ヶ月の小さい生き物はちょっと病弱だったのもあり毎日薬を飲ませる日々だった。オムレツから毎日薬を飲ませ猫の世話をするというルーティンに変更になった。
猫の世話もやりがいを感じた。ご飯をあげてトイレを掃除し薬を飲ませたら成長するのだ。生き物ってすごい。そしてその猫らの前で火を使うなんて怖すぎたので尚更料理をしなくなっていた。
さて、そこから2年が経ったのではないか。
猫も成長したというのもあり久しぶりにフライパンに油を引いてみたのだ。
卵を2つ使ったオムレツだった。
とりあえず悲惨だった。なんていうのだろう、黄色い謎の物体がフライパンの端に乗っていた。卵の集合体である。
人間は忘れる生き物なのだ。
また2ヶ月同じ料理か…