本間昭光のMUSIC HOSPITAL 第6回 熊木幸丸(後編)
Lucky Kilimanjaroが提唱する“踊る楽しさ”と“楽しく踊れる”ライブ体験
2022.11.30 12:00
本間昭光×熊木幸丸(Lucky Kilimanjaro)
2022.11.30 12:00
日本を代表する音楽プロデューサー、アレンジャーである本間昭光の対談連載「本間昭光のMUSIC HOSPITAL」。本間氏がホストとなり、毎回現代のセルフプロデュースに長けた若手アーティストを招いての音楽談義や楽曲制作にまつわるトークをお届けします。
前回記事に続き今回のゲストは「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げ、本日最新作となるシングル『一筋差す』をデジタルリリースしたLucky Kilimanjaroのコンポーザー、熊木幸丸。本間に「日本のダンスミュージックの最先端」と言わしめた対談前編に続き、後編では機材に明るい本間と熊木ならではのディープな機材話や、2人が定義する“グルーヴ”の話など、前編に続き音楽ファン必見のトークが繰り広げられた。
本間昭光(以下、本間) 80’sからは何か影響受けてるの?
熊木幸丸(以下、熊木) よく言われるんですけど、直接的に影響を受けているわけではないです。もともとダンスミュージックにハマったきっかけがDaft Punkとかがいたフレンチハウスやフレンチディスコを中心とするエド・バンガー・レコーズで。そういう音楽ってブギーとかディスコとか昔あったものをリエディットしていて、そこからチャカ・カーンとか聴いたりして自分でもディスコミュージックを作ったりして影響を受けてはいるんですけど、トータル的には「80’sがすごく好き」とかではなく、要素を入れていったら上の世代の方に「懐かしい」と言われたりするという感じです。
本間 だから、トレンドってひと回りふた回りするってことだよね。北米でシティポップがウケているのも、トレンドが何回りかして、「使ってる音が新しいな」ってなっているんだろうな。
熊木 別の形での70年代80年代の接続ができるのが日本の歌謡とかポップスな気がしてて、そういうところが今の向こうの感覚とリンクするんだろうなと思います。
本間 そうだろうね。そのぐらいの時代のBPM感ってちょっと遅いじゃん。
熊木 そうですね。BPM120とかいくとちょっと速くて、100〜110でやるって感じですよね。
本間 うんうん。で、今年夏のロッキン2日間観て、そのへんのBPMで踊らせてるアーティストが結構いたの。だからリスナーとしても気持ちよくなってきてるのかなとか思って。昔もっと速かったからさ。BPM128より上とか。そういう話をビッケブランカともしてたんだけど、彼は「今BPMは絶対下がってきてるし、英語の歌詞がOKになってきてる」って言ってた。熊木くんとかずっとアンテナ張ってやってるからさ、そういうのを見逃さないようにしてるよね。作品聴いてても全部新しいもんね。
熊木 そういう面白さはちゃんと作りたくて、「この要素とこの要素を足したものあまり聴いたことないな」という感覚が自分のなかで「楽しそう、面白そう」とかが作曲のスタート地点にあって。ある種の天邪鬼さというか、「踊らせたいけどそれだけじゃない面白さを入れたいな」という思いがあります。
本間 これだったら予定調和になっちゃうからちょっと裏切りたい、とか大事ですよね。それがサウンドなのかメロディなのか歌詞なのかっていうのはあるけれども。それはトータルで考える感じ?
熊木 そうですね。全部並行させてやっています。トラック作りながら歌詞もメロディも考えたりしてます。曲のコンセプトに合わせて文字を並べていって、類語検索して、こういう単語だったらもっとリズムにハマるなとかそういうことをやりながら、徐々に出来上がっていくという制作をいつもしてます。
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