伝説的ギタリストを愛する2人の世代を超えたスペシャル対談
アンドレ・レリス×Katzuya Shimizu、映画『ランディ・ローズ』で呼び起こす自らの原点
2022.11.19 17:00
2022.11.19 17:00
たくさんの人のプレイ動画を繋いでいく見せ方にグッときた(Katzuya)
──Katzuyaさんは今回の映画公開にあたり、熱い推薦コメントを寄せていますが、実際かなり感銘を受けたようですね?
Katzuya 僕がランディ・ローズを知ったのは高校時代のことで、オジー・オズボーンの最初の2枚のアルバムを聴いてものすごく衝撃を受けたんです。以来、すごく影響を受けてきたんですけど、やっぱり何年も経っていくうちにだんだんとギター・キッズとしての感覚が薄れてくる部分というのがあって。この映画はそれを再燃させてくれたというか、改めてもう一回練習しようという気持ちにさせてくれたんです。だからこの映画を観てからというもの、練習しまくってますね。
アンドレ 素晴らしいことだね。この映画が君のギタリストとしてのさらなるレベル・アップにひと役買うことになるのであれば、こちらとしても嬉しく思うよ。
──ランディの練習熱心さも映画の中で描かれていますよね。
Katzuya そうですね。彼がギターを教える側でもあったというのは知っていたんですが、そんなに事細かく生い立ちとかまでは知らずにいたんですね。それこそクワイエット・ライオット時代の作品も聴いたことがなかったし、とにかくオジーの2枚だけをめちゃくちゃ聴きまくっていたという感じだったので。
アンドレ この映画によって知ることが多々あったのであれば、こちらとしても本望だよ。僕自身も制作を通じてたくさんのことを知ったしね。
Katzuya 生い立ちとかについて知ることができたというのもあるし、映画の中でクワイエット・ライオットの曲が流れるじゃないですか。そういった未知の曲を聴けるというだけでもすごいことだなと思って。本当に観て良かったと思ってます。
アンドレ そんなふうに楽しんでもらえて嬉しいし、この映画が日本の数多くの熱心なファンの目に届くことを願っているよ。
Katzuya 僕が特に感動したのが、エンドロールなんです。たくさんの人のプレイ動画を繋いでいく見せ方自体にすごくグッときて。あれは監督のアイディアだったんですか?
アンドレ 僕の発案によるものだよ。実を言うとこの映画の制作を巡っては、オズボーン家との間でゴタゴタが結構あってね。シャロン・オズボーン(オジーの夫人にしてマネージャー)の弁護士と電話で話をしていた時、「この映画はランディの功績を称えるためのものであり、世界中にたくさんいる彼のギターにインスパイアされた人たちに観てもらいたいと思っている」と説明したんだけど、まともに取り合ってもらえなかった。なかなかの暴言も吐かれたよ(笑)。だけどそこで僕の闘争心にも火が付いた。そして映画の締め括り方について考えていた時に思いついたのが、世界中の人たちに動画を送ってもらうことだった。その発想に至ったのが締切りの1ヵ月ほど前のことだったかな。もう少し時間があればもっと多くの動画を集められたはずなんだが、あの映像については自分でも感動をおぼえたよ。
Katzuya 最高のクロージングだと思いますし、僕自身も参加したかったくらいです。
アンドレ 日本に君のような人がいると知っていたら、間違いなくお願いしていたと思うよ。
──いつか何か一緒にできる機会があるといいですね。ところでKatzuyaさん自身のランディとの出会いについて、もう少し詳しくお聞きしたいんですが。
Katzuya 初めて買った『YOUNG GUITAR』誌でギタリスト名鑑みたいな特集が組まれていたんですね。最初はエディ・ヴァン・ヘイレンにすごく影響を受けたんですけど、その名鑑を見ながらジミ・ヘンドリックスをはじめ有名どころから片っ端に音源を聴いていくうちに、ランディ・ローズと向き合うようになって。僕自身、元々クラシックもすごく好きだったので、あのクラシカルな要素とロックの融合みたいな部分にも惹かれて。同じようにクラシカルではあってもイングヴェイ・マルムスティーンとかとはまた違ったあの音楽性が、僕にはかなり刺さってきましたね。しかもギター・ソロだけじゃなくリフも印象的じゃないですか。それこそ“Crazy Train”とかを聴くとギター・キッズ的には「ああ、このリフなら弾けるかも」という気になるし、挑戦してみたくなる。そうやって興味がどんどん膨らんでいくという感じでしたね。
アンドレ わかるわかる。彼はとても複雑なフレーズも弾くけども、そこでパワー・コードが出てくると「これは自分にもできるかも」と思わされる。
Katzuya ただしギター・ソロは真似しようと思っても全然弾けなかったですけどね(笑)。監督も確か、バンドをやっていらしたんですよね?
アンドレ 10年間ほどRUBBER NECKというバンドをやっていた。このバンド名には結構面白い意味があってね。たとえば車を運転してる時に横を美女が通り過ぎたら振り返るだろう? そうやって首を曲げることを「ゴムの首=RUBBERNECK」と呼ぶんだ(笑)。音楽的にはいわゆる南カリフォルニア的な90年代のスケート・パンクといった感じだった。メロディックなパンクをやっていたよ。僕はヴォーカル担当だった。日本のHi-STANDARDとかも知っているよ。
次のページ